二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
靴ベラジカ
靴ベラジカ
novelistID. 55040
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

魔法少年とーりす☆マギカ 第十話「グリーフ・ラッシュ」

INDEX|3ページ/11ページ|

次のページ前のページ
 

 ときわ町が、十字軍が守って来た現実の世界が、魔女の結界と共鳴していく。 魔女を目前に我を忘れて悲鳴を上げるサラリーマン。 目の前で片割れを喰われ失神した元・多国籍カップルの女房役が呆気なく魔女に喰われ、黒ずんだ紅が舗装された歩道や古文書にぶち撒けられている。 老若男女が喚き散らし、何とも付かぬ有機物の欠片が転がり、持ち主を失ったスマートフォンが孤児の様にただ点々と転がり落ちる、この世の地獄と化したときわ繁華街の一角。 暴れ回り人間を啄む猛禽類の様な化け物目掛け飛ぶ銀と琥珀の構造物。 ナイフを回転対称に、刃を互い違いに組み付けた様な非現実的でしかない、巨大なバズソー状は化け物に突き刺さり、

 《スペルノーヴァ!》
うら若き少女の声を起爆剤に、サラリーマンの目の前で明らかな指向性を持って化け物諸共爆発四散した。
 「逃げて」
厚着のロリータ風に似合わぬ、胸元の大胆な切れ込みとホットパンツ姿の異様な少女は淡い茶髪を振り乱し、三十前と思しきスーツ姿の男に促したかと思いきや、琥珀に輝く風となって去って行った。

 《《イェット・アーフ(さあ行こう)! イン・ベルゲン・ウンド・クリュフテン、トブト・モルゲン・デル・フリューディゲ・クリーク(明日は山超え谷を超え、愉しい愉しい戦いがやって来るよ)ー》》
魔女の結界同然となったときわ町に、たおやかに響く歌。 エリゼベータは泣いていた。 逞しい狩人達が合唱する、勇ましい鼓舞の歌が、何処か懐かしくも、悲しい。 旧い友人のそれに良く似た、拙くも可愛らしさの残った歌声。 魔女との戦闘マシンと化した今でも、忘れられない親しい人達との思い出が彼女自身と共に、彼女の心、ソウルジェムを駆け巡っていた。
 「ローデリヒさん…!」
水晶の様に素朴な大粒が、美しい横顔を伝って散った。