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靴ベラジカ
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魔法少年とーりす☆マギカ 第十話「グリーフ・ラッシュ」

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 暗雲のもと、不愉快な鳴き声を発する猛禽に似た魔女が数十匹は飛翔し、悲鳴を上げ逃げ惑う生きた鳥葬候補を品定めしている、この世の地獄と化したときわ町の繁華街外れ。
 ときわ中男子セーラーを靡かせる茶髪を庇い立てし、もう一人の茶髪は柘榴のコロイド光を纏い、魔法少年として目前の魔女を正面に見据えた。
 全身を容易く覆えるマントの様な赤黒の液状の下、欧州の将校の如き、豪奢な軍服風ノースリーブの上衣と灰茶のスラックスと言う奇妙な取り合わせを、蜘蛛の巣を想起する黒のレースや、黒を透かしたオーガンジーで纏められた装束。 懸章を斜めに掛け、肩にはエポレットと一体化した奇妙な半袖ジャケット、足下にはマニッシュなショートブーツ。 独特でぶっ飛んだセンスの魔法装束をトーリスは目に焼き付ける間もなく、彼の周囲は赤黒いゼリー状の被膜に覆われた。
 誰とも知らぬ若い女性を啄みながら魔女は柘榴の魔法少年目掛け旋回、急加速し突進を決める! イオンは食い縛った歯と八重歯を覗かせ、目にも留まらぬ俊敏性で魔女突進を回避!
 そのまま巨大猛禽魔女の背後を取り、右腕に収束させた赤黒をドリルめいて高速回転、右翼の根元を貫通! 気色の悪い悲鳴を上げる魔女の片翼を魔法少年はそのまま切断せしめた! バランスを崩し飛行不能となった魔女に一気に止めを刺し、不死鳥の魔女は水風船の様に爆発四散した。 転がる被害者のハイヒールを一瞥し、新たなる駆除対象を探し回るがどれも遠い。
 非対称にじろりと半目で柘榴の魔法少年は囁いた。
 「一匹一匹は大したことない… コイツら、普通に【魔法少年の魂一人分】を費やして、普通に産まれた魔女じゃ、ないからサ」
球状に波打つ赤黒のオーラを纏いながら、トーリスはもたもたと駆け寄る。 魔女が吐き出した井桁のグリーフシードを拾おうとするがイオンに止められ、クローン魔女の卵は赤眼の中学生がケースへ厳重に回収した。 魔女の結界の様になってしまった彼らの日常。
 そう高くない低空を飛来する大型猛禽魔女の群れが恐怖を煽る。
 「でも、この数じゃ…」
 「…お前は」
柘榴の魔法少年が振り向くと、もたつきながらも、時に足を滑らせ小さく跳ね回りながらも、球状ゼリーの赤黒を纏った姿でも、真剣に頼りの綱を追おうとする間の抜けた姿。 イオンは溜息をつき、赤黒ボールをマントに吸収し、碌に身動きの取れぬトーリスを解放した。
 状況は何一つ良くなっていない。 一般人全員を守り切るなど一人ではとても不可能。 あいつの支援はまだか? 思索の後、焦り奔って駆け寄ったトーリスを拾い上げ、再び柘榴の魔法少年は飛んだ。