甘えてほしい
「重…」
「ふふふふふふふ」
すずめが急に笑い出したので
馬村はビクッとした。
「何?気持ち悪いぞ?」
「なんで甘酒と日本酒の試飲のコップが
同じなんだよ。ていうかオマエも
中身の見た目で違うってわかるだろ?」
思わず馬村は説教を始めた。
さっきの男はすずめに
日本酒を飲ませて何をしようと
してたのか。
そういうイライラを
すずめにぶつけてしまっていた。
「私の前でぇ~ちょうろなくなって…
10分待っれっれ言われれ…
そしたら両手(りょうれ)に
コップもっれるおじさんが
俺のやるよっれ言うからん…」
ホントに間違っただけか…?
それにしてもあんなちょっとで
こんなに酔っ払うとは。
「馬村ん…」
すずめの目がトロンとしている。
馬村はドキッとした。
「顔が熱い…」
お酒のせいで、すずめの顔は
真っ赤だった。
「酔っ払ったんだ、それ。
ふぅ、しばらく帰れねえな。
こんな姿見たら、オマエのおじさん、
発狂するぞ。」
「それはコワいれす…ん…暑…」
すずめは、馬村から昔もらった
マフラーを首から外して、
コートも脱ぎ、さらに
ワンピースのボタンをプチプチと
外し始めた。
「なっオマエ何やってんだよ///!」
馬村が酔ったすずめ並に赤くなった。
「ん…らって暑い…」
「この酔っ払い!」
馬村は冷えた自分の手のひらを
すずめの顔を挟むように当てた。
「あ…冷らい…気持ちいい…」
すずめに脱がれては困るので
とっさにやってしまったが、
トロンとした顔で
すずめに見つめられて
馬村は理性が飛びそうだった。
「早く冷めてくれよ…」