機動戦士ガンダムRSD 第4話 星屑の戦場
「タンホイザー照準、前方敵艦」
それは、アーサー副艦長も同じでミネルバの武装の中で一番強力なタンホイザーの使用を決めた。
※
デブリは、ジャンヌ・ダルクにも迫っていた。
「回避。
取り舵いっぱい」
フレデリック艦長が回避命令を出した。
※
「撃て」
タリア艦長の命令でタンホイザーが発射された。
※
ビームがジャンヌ・ダルクの右舷に飛来した。
出力は、強力で辺りに漂っていたデブリを一気に消滅させマン・マシーンカタパルトを損傷させた。
その衝撃は、ブリッジや船内を襲った。
ボギーツーは、ジャンヌ・ダルクの右舷を通り過ぎて行った。
「あの状況からよもや生き返るとは」
フレデリック艦長は、敵艦のしぶとさに呆然としていた。
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1機のガイヤス・ギヤがミネルバを狙おうとしていたのでレイ少尉は、その機体に向かってビームライフルを撃った。
しかし回避された。
ガイヤス・ギヤ隊とザク隊は、こう着状態に入った。
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ガイヤス・ギヤのビームライフルによる猛攻を受けていたネオ大佐は、帰艦信号を上げた。
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それは、イアン艦長も確認した。
「オークレー達に帰還信号を。
宙域を離脱する」
イアン艦長が艦載機の帰還命令を出した。
※
カラミティEは、一足早くガーティー・ルーに向かっていた。
「またいつの日か出会えることを楽しみにしているよ。
死神君。
そしてコロニー軍のエース諸君」
ネオ大佐は、また会えることを楽しみにしていた。
その時帰艦信号が上がったのをレイ少尉、スティング少尉、アウル少尉、ステラ少尉、シン中尉にルナマリア少尉が気付いた。
※
それは、サオトメとサイジョウ元帥も確認した。
※
ステラ少尉は、その光に見とれていた。
「3点負けで終了か」
アウル少尉は、悔しがった。
「仕方ない。
ステラ、ネオが呼んでるぜ。
帰って来いってさ」
スティング少尉は、ステラ少尉に帰還命令を出した。
「うん」
この前と打って変わってステラ少尉は、素直に従った。
5機は、帰艦の帰路に着いた。
※
それは、リーンホースJr.でも確認できた。
「ボギーワンおよびボギーツーが離脱します」
ヘルマン中尉が敵艦の動きを報告した。
「ジャンヌ・ダルクが右舷カタパルトを損傷しましたが損害は、軽微とのことです」
通信長のハリーヌ・スラー中尉が僚艦の被害報告をした。
α艦隊は、帰艦信号を出した。
サオトメとサイジョウ元帥がそれに気づいた。
※
ミネルバでは、損害報告がされていた。
「艦長、さっきの爆発で更に第二エンジンと左舷熱センサーが損傷しました」
アーサー副艦長がさらなる損傷を報告した。
※
ア・バオア・クーでは、駐留艦隊が親睦を深めるために運動会が開かれていた。
それをサオトメに代わってη艦隊のマン・マシーン隊長に任命されたシグマン少佐とジャック中尉が見ていた。
「シグマン隊長」
その時ジャック中尉が何かに気付きシグマン少佐を呼んだ。
「見てください。
女子の短距離走でマーネリー軍曹が走ってますよ」
シグマン少佐とマーネリー軍曹の関係は、良好で一部の人からは嫉妬の目で見られているがそれ以外問題なかった。
「本当だ」
シグマン少佐は、美しいフォームで駆けるマーネリー軍曹に見とれていた。
「断トツでゴールか」
ジャック中尉は、一緒に走っていた他の選手がかわいそうに見えてきた。
「身体能力は、高いんだよ」
シグマン少佐は、マーネリー軍曹の特徴を述べた。
「しかし特別体を鍛えているというわけでもないのによくあそこまで走れるな」
ジャック中尉は、マーネリー軍曹の素質に感嘆していた。
「確かに不思議だ」
シグマン少佐は、ジャック中尉に言われるまで気にも留めていなかったが言われてみればそうであった。
「こっちにくるぞ」
マーネリー軍曹がこっちに走ってきた。
「マーネリー、見事一位を獲得しました」
マーネリー軍曹は、2人の前で敬礼しながらそういった。
「やったな、マーネリー」
「良い走りっぷりだったぜ」
シグマン少佐とジャック中尉も敬礼しながらマーネリー軍曹をねぎらった。
「見ててくれたんですか?」
マーネリー軍曹は、走りに夢中で2人がいることなど気付いていなかった。
「ああ、ちょうどこっちの試合が終わったところだったから」
シグマン少佐とジャック中尉は、バスケの試合を行っていた。
「一緒に走ってた選手がちょっと気の毒に思えたよ」
ジャック中尉は、マーネリー軍曹が走っていた最中に感じたことを言った。
「それは、仕方ないですよ。
私は、η艦隊最速の女ですから」
ちなみにη艦隊で男女問わず最速なのは、シグマン少佐だった。
「そうだな」
それは、シグマン少佐も異論がなかった。
その時驚きの喚声があがった。
「どうしたんですか?」
シグマン少佐とマーネリー軍曹は、状況を判断できなかった。
「どうもマーネリー軍曹の記録が抜かれたようですよ」
状況を把握したジャック中尉が報告した。
それには、マーネリー軍曹も驚いた。
「走ったのは、ケイト中尉だな」
シグマン少佐も状況を掌握でき誰が走ったのかわかった。
マーネリー軍曹は、嫉妬の炎を燃やしていたがシグマン少佐もジャック中尉も気づいていなかった。
「すごいな。
まさかマーネリー軍曹の記録を抜くとは」
配属艦が違うためあまり交流がないためケイト中尉がどれほどの実力を持っているのか未知数だった。
「操縦技術、ルックスに加えて運動もできるとは恐れ入りました」
ジャック中尉は、皆の羨むもの全部を持っていると感じ敗北感を味わっていた。
「残念だったな、マーネリー軍曹」
シグマン少佐もマーネリー軍曹が敗北感を味わっていると思った。
その時小さくマーネリー軍曹が何かを言ったがシグマン少佐は、聞き取れなかった。
「こんなのは、準備運動です。
私の本気を見せてあげる」
そういうとマーネリー軍曹は、着ていたジャージを脱いだ。
「お、おい。
何をする気だ?」
その下は、プロの選手が着るユニーフォームを着ていた。
「これは、本気だぞ」
ジャック中尉は、マーネリー軍曹が本気を出したと思った。
シグマン少佐は、マーネリー軍曹の目を見て記録更新があると確証した。
「シグマン少佐の目の独占権は、私にあるんだから」
嫉妬内容は、シグマン少佐の視線にあった。
しかしシグマン少佐もジャック中尉も聞こえなかった。
「行ってきます」
そういうとマーネリー軍曹は、トラックに走って行った。
「マーネリー軍曹、頑張れよ」
ジャック中尉がマーネリー軍曹を応援した。
「ありがとうございます」
マーネリー軍曹が礼を言った。
「マーネリー軍曹」
作品名:機動戦士ガンダムRSD 第4話 星屑の戦場 作家名:久世秀一