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前期試験も終わり、一段落して
卒業式の日がやってきた。

登校すると、下級生に
胸にリボンをつけられた。

すずめは朝から泣きっ面だ。

「ちょっアンタ、もう泣いてんの?」

「だってぇぇぇ!ゆっゆゆかちゃーん!
 離れるのさびしいよー!」

すずめはゆゆかに抱きついた。

「ヤダ!鼻水つくじゃない!
 私は泣かないわよ。メイクが落ちる。」

と言いながらも、ゆゆかの目にも
うっすら涙が見える。


体育館に集まり、式も無事に済み、
卒業証書をもらった。

3年生になって、獅子尾がまた担任だった。

先生ともいろいろあったけど、
すずめはもうだいぶ吹っ切れていた。
(先生の方はどうかわからない。)

証書を手にするすずめをみて獅子尾は、
「キミ、よく卒業できたね。
 職員室でも先生達の
 心配のタネだったからなぁ。」

と言った。

「はぁ。犬飼くんとゆゆかちゃん様様です。」

定期考査で毎回赤点を出していたすずめだが、
とりあえず一緒に卒業しないとと、
二人が交替で勉強の面倒を見てくれた。

「卒業おめでとう。」

獅子尾にそう言われて、
すずめは飛び切りの笑顔で

「ありがとうございます。
 先生のおかげで楽しい高校生活でした。」

と言った。

「いやオレは…」

と獅子尾が言いかけた時、
馬村がグイッとすずめを自分の方に寄せ、

「オイ、いい加減ホームルームしろよ。」

と睨みながら言った。

コイツは…と獅子尾はブツブツ言いながらも、
馬村の耳元で、
「明日からもう教師と生徒じゃないから
 せいぜい気をつけとけ。」
と呟いた。

「!てめえ!」

そう逆上する馬村をよそに、

「ほら、席つけー。」

と獅子尾は教壇に立った。

獅子尾はもうすずめに何もする気はなかったが、
馬村へのちょっとした意地悪だった。

「卒業おめでとう。
 いろいろあったけど、なんだかんだで
 キミ達は思い出深い生徒達です。
 それぞれ進む道は違うけど・・・」

と、先生らしく、お祝いの言葉と
お別れの言葉をいい始めた。

すずめは本当にいろいろあったので
(主に獅子尾と)先生の言葉が身に染みていた。

それを横目で面白くない風に見る馬村。

後ろの保護者に紛れて
オイオイ泣いている諭吉。

平然とした顔で挨拶をする獅子尾だったが
カオスだな…と密かに思っていた。

挨拶が終わり、
「じゃあ、入試の結果がまだの奴は
 順次報告しに来いよー。」
と言ったところで、

「先生!」と言ってカメが立ち上がった。

「?なんだ?亀吉。」

「これ、みんなからです!」

大きい花束を目の前に出されて
獅子尾は顔を赤くしてビックリしていた。

「お、おお?ありがとう///。」

「3年間、お世話になりました!」

ガタガタと全員が立ち上がり 
男子が獅子尾を囲んだ。

「え、なになに?」

獅子尾は急に男どもに囲まれ、
少しビビリ顔だった。

女子が周辺の机をせっせと避ける。

そして猿丸の「せーの!」というかけ声で、
男子が獅子尾を胴上げした。

「わっ?わーっ!」

「先生、ありがとー!」

「楽しかったーーー!」

生徒達がそう言って
獅子尾の体を宙に舞わせ、
数回ののち、ようやく降ろされた。

「び、びっくりした。」

獅子尾は呆然としている。

「高校生活楽しかったの、先生のおかげです。」

「先生、絶対同窓会呼ぶから来てね!」

「キミら…おう。行くよ。」

「じゃあね!先生、元気でね!」

「おう。キミらもね。」

「またここ遊びに来るから。」

「真面目に大学も行きなさいよ。」

口々に生徒がメッセージをくれて、
獅子尾はちょっと感動していた。

面倒には関わらずできていたが、
こんな風に慕って色々してくれる生徒達は
この学年が初めてだった。

「みんな、ありがとう。」

獅子尾のその言葉を聞いて、
みんな満足そうに、
「じゃー帰りますか!」と机を戻した。

「写真!写真撮ろうぜ!」

その後は笑いと涙の撮影会だった。

プロムで集まる約束をして、みんなと別れた。

作品名:ファーストステップ 作家名:りんりん