ファーストステップ
「その顔で写真写ったのかよ。」
馬村がすずめの顔を見て
あきれ顔で言った。
涙で目がすごく腫れている。
「だって…うっ…」
まだすずめは涙腺が緩んだままだった。
「オマエ…アイツ気をつけろよ?」
「アイツ?」
「獅子尾だよ!」
先生の冗談を真に受けて、
馬村は本気で心配していた。
「ないよ。それ冗談じゃん?」
「わかんねえじゃねえかよ。」
「もし何か言われたとしても、
もう前みたいに揺れたりしないよ?」
「っ…///」
「信用できない?わたし。」
「いや…」
信用できないのはすずめじゃなくて獅子尾だ。
「馬村。」
「ん?」
「馬村が好きだよ。」
「何だよ///。突然。」
「いや、信じてもらえないなら
ちゃんと言っておこうと思って。」
「信じてないわけじゃ…」
「揺れないから。絶対。」
「オレも。」
「////なんか照れますね。」
「道の真ん中でな///」
馬村と初めて会った時は、
こんな風に愛を囁き合うことになろうとは
思いもしなかった。
毛虫を見るような態度で、
それはもう感じが悪かったのだ。
「この学校に来てよかったなぁ。」
「馬村と出会えてよかった。」
「オマエここ最近、そればっかり言ってんな。」
「だって!」
もうみんなと高校に通うこともない。
だけどかけがえのない人達に出会えた。
会えなくてもこの関係を
ずっとずっと続けていきたい。
すずめはそう強く思った。