こらぼでほすと プラント1
キラに呼び出されたリジェネはラボで簡単な打ち合わせをしていた。悟空は、以前にIDカードは偽造してあるが、リジェネはしていなかったからだ。プラントは、コーディネーターの本国で、さすがにシステムで統制された場所だから、きっちりしたIDカードが必要だった。ラボの管制室で、キラがデータを展開させて、リジェネに経歴やらを教えている。
「ディランディさんちの親戚って感じでいいよね? 」
「それでいい。なんなら、履歴は用意しようか? 」
「ううん、適当なのは作ってあるから大丈夫。あとね、ギルさんが、いろいろとややこしいことを言い出したら、直通で連絡して。僕のほうで黙らせるから。」
「議長閣下が、なに? 」
「ママにご執心なんだよねぇ。一応、僕の部隊にも連絡しておくけど、間近にいるリジェネが阻止してくれるほうが安全だから。なんなら、銃かスタンガンでも携帯する? 」
「なんで? 」
「変態なんだよ、あれ。ママを押し倒すとかしそーだから。悟空とシンとレイがいるから大丈夫だとは思うけど。」
「え? レイの後見人って変態だったの? うーん、じゃあ、スタンガンぐらいは持っていこうかな。」
あー心が痛い、と、管制室で仕事をしているダコスタは胃の辺りを擦っているが、事実なのでツッコミできない。為政者としては一級品の男なのだが、他人のものを奪うのが大好物という変態なので、キラの言葉に間違いはない。ないのだが、プラントの代表者だから、プラント市民のダコスタには、とても心には痛い。
「あっちの空港に着いたら、ルナマリアから渡してくれるように手配しておくよ。ああ、殺さないぐらいの衝撃にしておいてもらうから。存分に使っていいよ。」
「了解。まあ、大丈夫だとは思うけどね。悟空は強いし。」
「うん、僕もそう思う。万が一の場合って感じだから。あと、ママのクスリは用意してもらうから持っていってくれる? あっちのドクターにも連絡しておくけど、一応、毎日のは飲ませて。それと関係者の情報はデータチップで纏めてあるからプラントに着くまでに読んでおいて。」
「キラの関係者ってこと? 」
「うん、あと、要注意人物とかも。ヴェーダから監視してもらえばいいよ。」
お騒がせな第三勢力だったキラたちは、プラントで全面的に受け入れられているわけではない。保守的な関係者は、キラたちの関係者というのに懐疑的だ。攻撃されることはないだろうが、用心に越したことはないので、それも準備した。データチップをリジェネに渡せば、大体の準備は完了だ。今回は、シンとレイの関係者という括りになるので、そちらは用心という程度だ。
リジェネのほうは、貰ったデータチップを機械で読み込ませてヴェーダへ転送してチェックする。まあ、襲われる心配はしていない。トダカの娘ということになっているニールと、その孫みたいなリジェネだ。襲ったら国際問題になる。はねっ返りが、暴れなければ問題はない。あとは、変態だけだ。
リジェネを送り返してから、プラントの部隊に連絡した。シンから話は聞いていたので、そちらも二つ返事だ。
「そういうことなら、私が案内役をやりますよ、キラさん。シンとレイも、そのほうが楽だろうし。」
「そうしてくれるかな? それで変態のほうを、なんとかしてくれる? なんか、二日も時間が空けてあるんだよねぇ。」
どっかの変態さんは、きちんとスケジュールを空けている。ここに、会食とかがプライベートで組み入れられていると思われるので、キラも注意だ。レイとは家族なのだから、顔を合わせるのは構わないのだが、酔ったママを拉致されると困るので、そこいらは阻止してもらうつもりだ。もちろん、アスランからイザークたちにも連絡してもらった。
「え? 二日? とりあえず変態のほうは、部隊で、なんとかしておきます。久しぶりだし。・・・ああ、指令書、送ってください。それで部隊は単独で動けますから。」
「わかった。すぐに作って提出しておく。イザークとディアッカも、途中で顔は出してくれるはず。」
相手に指令書と言われた段階で、書類を呼び出して会話しつつ書きこんで、ザフトへ送りつけるぐらい、キラには朝飯前だ。
「助かります。そっちはイザークたちと連絡をとって調整しますね。なんなら、動けないように医療ポッドに叩き込みます? キラさん。」
「うーん、二週間も留守させたらマズくない? 一応、仕事はしてもらわないとさ。やらかしたら、適当に凹にしといてよ。」
「了解。そういう方向で段取りは組みますね。」
自分の国のトップではあるが、とっても有名な変態なので、誰もが容赦はない。まあ、何かしでかしたら、キラも報復攻撃はする。もちろん、変態にのみ被害が出るような内容だ。ラクスからも、ママに危害を加えられないように関係者には連絡が届いている。
「キラ、イザークたちにも連絡しておいた。指令書は? 」
「提出したよ、アスラン。フェルトは、いつ降りてくるのかな? 」
「今のところ、まだ連絡がないから不明なんだが・・・念押ししておくか。お盆ウィークあたりにカガリとラクスが予定を空けてるんで、そこいらも伝えておく。」
夏に降りて来る、と、フェルトが言ってたので、そのつもりでカガリとラクスも予定は空けている。なるべくなら合わせていただきたい、と、アスランも考えているので、そこいらの念押しだけはしておくことにした。そろそろ組織の新しい機体のほうもロールアウトはしているが、再々始動については予定は未定だ。ロックオンやティエリアが、企業体のチェックはしているが、それもMSを使うような大きなものにはならないだろう。特区から出発したロックオンは、ただいま欧州方面で情報を確保している最中だ。おそらく、そこからチェックする企業体を絞ることになるだろう。
プラントへの遠征は期間は二週間、七月中旬から後半ということで予定されている。アカデミーの夏期休暇で、寺の繁忙期を外すと、こういう日程になる。オーヴからシャトル便でプラントまでの往復ということになるので、移動にかかる日数が三日から四日で、実質、プラントへの滞在は十日というところだ。一口にプラントといっても、いくつかのコロニーの集合体なので、国家としては大きなもので、さすがに十日で、それを網羅するのは難しいから首都あたりをメインにするつもりで、シンとレイは予定を組んでいる。ザフトのアカデミーとか軍事関係の施設も見学はできる。シンとレイは、ザフトを休職という形にしているから、現役軍人様でもあるからだ。
「首都辺りの綺麗なところをブラブラするとしたら、やっぱ公園とかだろうな。」
「そうだな。少し離れているが、人工湖をボートで遊覧してもいいんじゃないか? 悟空は遊園地を希望してたことだし。」
「ああ、そうか。真ん中辺りに、そういう予定も入れとくか。・・・・あとさ、レイ。ギルさんと食事どーする? 」
「しょうがないから、一回くらいは予定しておこう。公邸とか私邸じゃなくて、ホテルのレストランにすれば被害は少ない。」
作品名:こらぼでほすと プラント1 作家名:篠義