もしもの話
「妊娠か…」
ちょっと想像して大輝はブルっと身震いした。
すずめと肌を合わせるのは嬉しいし、幸せだ。
だけど猿丸にはああ言ったが、
自分も今はまだ責任を取れる立場にない。
でもいつか…そうなることができたら
自分は幸せな家族を築けるのだろうか…
そう考えながら歩いていて、
いつの間にかすずめの家の前まで
来てしまっていた。
「1時…」
一応メールしてみる。
『すぐ下行く!』
と返事が帰ってきた。
バタン!と玄関のドアが開いて、
すずめがでてきた。
「急にどうしたの?」
嬉しそうな顔ですずめが言う。
ふわっとほどけるような笑顔を見て、
大輝は思わずすずめを抱きしめた。
「大輝?…わっ酒くさっ!」
はーっと大輝はすずめの顔に
わざと息を吹きかける。
「ぎゃっ。すごい飲んだ?!」
くすくすくすとすずめの反応を
大輝は面白がっている。
珍しい光景だ。
「猿丸んちでいろいろ飲んで…」
「…何かあった?」
大輝の様子がおかしい。
酔っ払っているせい?
すずめの腰に手を回したまま、
大輝は少し据わった目ですずめをみつめた。
そして、
「オレ、オマエを大事にできてる?」
と尋ねた。
「何?急に。充分してもらってるけど?」
すずめは大輝が急になぜ
そんなことを言い出したかわからない。
「これからもずっと大事にしたい…」
「どうしたの?変だよ、大輝。」
「好きだ…」
「えっ///うん…」
「もしも子どもができたら結婚しよう…」
「・・・・・・は?/////」
いきなり耳元でそんなことを囁かれて
すずめは腰が砕けそうになった。
「だっ、大輝?なんの話?
相当飲んでるね?
うちで休んでく?」
「ん?…いや帰る…
子どもできたら今は困るし…」
「は?だから子どもって何?!///」
そうブツブツと言いながら
「じゃあな。」
と大輝は帰って行った。
「何のこと?!
大輝、大丈夫なのかな…」
すずめは自分はお酒を飲んでないのに
体中がカッカと熱くなった。