もしもの話
朝になり、大輝はグラグラする頭を起こした。
「マジ頭痛ぇ…」
でも今日は一限から授業があるし、
必ず出席をとるやつなので
行かないわけにいかない。
「気分悪…」
ふとスマホをみると、チカチカしていて、
すずめから『ちゃんと家にたどり着いた?』
というメールが来ていた。
「は?なんでアイツから?」
猿丸ん家から帰って、歩いて、
そのまま家に帰ったよな…
いや?
なんかアイツ抱きしめたような
そんな気がしないでもない…
大輝はサーーーッと青くなった。
『オレ変なことしたり言ったりしてねえ?』
すぐすずめに返信した。
『自分の言ったこと覚えてないの?』
という返事がきて、
これはまずいかなと思いつつ
『記憶がない…』
と打ち返すと、
既読はつくのにそのままスルーされた。
「返ってこねえ…」
一体オレは何を言ったんだ…
覚えてねえんだけど!
ただでさえ二日酔いで痛い頭が
さらに痛む気がした。
大輝はその日一日は上の空で、
学校終わってすぐ、
今日会えないかすずめに連絡をし、
バイトが終わって
また夜中に会いに行った。
「よお。」
「バイトお疲れ様。」
「オマエもな。」
「…」
心なしかすずめの顔が赤い。
しばらく2人で無言になった。
「昨日さ、オレここ来た…よな?」
「えっ、そこからもう覚えてないの?」
「悪ぃ…いろいろ飲んで悪酔いして…」
「そっか…」
そう言いながらすずめは顔を赤らめた。
怒ってはなさそうだ。
「オレ抱きしめた…よな?」
「あ、うん。」
「何か変なこと言った?」
「ほんとに覚えてないんだね。
なんか、大事にできてるかとかなんとか
聞いてきて…」
ゲッ。
「…好きだって言ってくれた。」
「マジか…」
酒に酔った勢いで言うとかサイアクだ。
「他には?」
大輝が尋ねるとすずめの顔が
みるみるうちに真っ赤になった。
え、なんだよ。
すずめは真っ赤になりながら、
「こ…」と言葉に詰まった。
「?言えよ。」
「もし子どもできたら結婚しよって言った…」
真っ赤になってすずめは小さい声で言った。
「……は?…」
ボン!
すずめは久々に顔が真っ赤になる馬村を見た。
「うっ嘘だ!」
「嘘なの?」
「いやっそうじゃなくて!」
かぁぁぁっと湯気がでそうなほど
馬村は慌てている。
「マジで?オレそんなこと言った?」
「うん///」
「う…わ…何言ってんだオレ…」
大輝は頭をガシガシ掻いた。
恥ずかしさで穴があったら
入りたい気分になった。