庄ちゃんのゲリラ攻撃
さてと、夕飯までどうしましょうか。
夕飯は各クラスで作ります、てれびでは夕飯も食堂で食べることがあるようですが、それは一旦忘れてください。
今日の夕飯の当番はぼくとしんべヱ…なんかとても不安です。
他の忍たまと遊ぼうにも、忍術学園は広いのでどこでみんなが遊んでいるのか探さなくてはいけません。
まあ適当に歩いていましょう。
…とか言っていると、会うんですよね~。
喜三太に。
こら!喜三太、ペットのナメクジさん達がこっちの方までお散歩してるぞ!
誰かに踏まれない内にナメ壺にしまえよ。
「は~にゃ~~~…。
聞いてるのか?…喜三太!
「うわあ!びっくりしたー!
なんだよ、気付いてなかったのか?
あーそうだ。庄左ヱ門が喜三太のこと探してたよ。
今日の掃除当番、サボっちゃ駄目じゃないか!
「ほえ?庄左ヱ門なら来たよ。
じゃあなんでこんなところでぼけーっとしてたのさ?
「あの時、庄左ヱ門がぼくを見つけて…、
『きさんたー!
『あ、庄左ヱ門。
『ってうわー!な…ナメクジさん……。
『今日はね、ちょっとじめじめしててナメクジさん達にはいい天気だから、いつも部屋で遊ばせてる子達も連れてきたんだー。
『こ…こんなに飼ってたの…?
『初めましての子がいるだろうから紹介するね!この小さい子がナメ也でしょ。で、あそこのちょっとおしりが上向いてるのがナメ嗣でしょ。それから…。
『うんわかった!喜三太、みんなかわいいし、ナメ也くんはかっこいいね…。
『そーでしょー!さすが庄左ヱ門。ナメクジさん達のビジュアルがわかるんだねー!
『はは…。だけど、喜三太。
『はにゃ?どしたの?
『掃除当番の仕事はどうしたの?
『ふえ…?あー!忘れてたー!ぼく、掃除当番だったー!
『兵太夫と虎若が教室で待ってるから!ちゃんと伝えたよ。
『はーい。それじゃあナメクジさん達、ナメ壺に戻ってね。
『あー喜三太。そっちの塀にまでナメクジさん登ってるよ。ちゃんとナメ壺に戻してね。
『えー!そんなところまで!もう、やんちゃなんだから。ぼくが構ってくれなかったからって、そういうことしちゃ『め!』だよ!
『喜三太、ちゃんとナメクジさんをしつけてるんだ。
『うん。忍ナメとして鍛えるためにもね。
『えらいね。ふふ、そうやってナメクジさん達に愛情を注いでる喜三太を見てると
ますます好きになっちゃうよ。
『は…にゃ~……。
『じゃあ、掃除お願いね。さーて部屋に戻って学級日誌ーっと。
「まさか…庄左ヱ門が……、ぼくのこと…好きだったなんて…、嬉しくて…嬉しくて…。
喜三太ー!
泣くほどかぁー!!?
「みんな準備できた?それでは…
「「「「「いっただっきまーす!!
夕飯は何事もなく、当番のしんべヱがおかずを食べてしまったので白飯だけになりました。
今日、朝ご飯以外まともに食事できてないよー!
さてと、もう寝る時間になってしまいました。
土井先生の授業の宿題があるのですが、半分もわからなかったのでそのままにしました。
え?庄左ヱ門に教えてもらえばいいって?
それは…うん、そりゃあ庄左ヱ門に聞けば宿題わかると思うんだけど…。
ぼくは、部屋では敢えて庄左ヱ門に宿題を教わらないようにしてるんです。
その理由はまた今度ね。
それにしても庄左ヱ門遅いですねー。
先生のところに相談か、それとも委員会の仕事か、どっちにしろ忙しい忍たまです。
とりあえず庄左ヱ門が帰ってくるまで起きてなきゃ…。
…でもトイレくらい行っとこ。
部屋を出て、右手に乱太郎、左手に厠……って!?
乱太郎!!?
乱太郎が、寝間着姿で倒れてるー!
おーい、大丈夫か?!
「ふあ~あ、だれ~?
伊助だよ!
それより、なんで倒れてたのさ!
…て、ここまでくるとなんでだか予想つくけど…。
「うう…確か…庄左ヱ門が…。
……。
…やっぱり。
『はあ~、宿題あるけど、眠いから寝ちゃお…。
『あ。
『あ、庄左ヱ門。どうしたの、なんでぼくの部屋から?
『きり丸の内職の手伝い。宿題するのを条件にね。
『えー、庄ちゃん、あんまりきり丸を甘やかさないで。調子乗ってどんどん頼まれるよ~。
『そこのところも今回だけっていう条件。それに、あのままだと乱太郎としんべヱが寝られないだろうから。
『ははは、だったらぼくがやったのに。何も庄左ヱ門がやらなくても。
『部屋を覗いたら布団敷けない状態だったから、ほっとけなくて。
『庄ちゃん優しすぎ!
『乱太郎こそ、昼間はありがとね。学級日誌。
『あれは、勝手に持ち出しちゃ悪いとは思ったんだけど、あのまま置いとくと埃被っちゃいそうだったから。
『大丈夫だよ。日誌は部屋で書くつもりだったから丁度よかったしね。
『よかった。ぼく、その人のためと思ってやったことが余計なお世話だったりすることがあるから。
『そこが乱太郎のいいところじゃない。ぼくはすごくいいことだと思うし、
そんな乱太郎が好きだよ。
『は…ふぇ…。
『じゃあ、おやすみ。ぼく、先生のところにプリント持っていくんだ。
『お、おやすみー…。
「なんでかな、冷静でみんなから頼りにされてる学級委員長の庄左ヱ門から…好きだって言われるだけで、今までの不運な気分も嫌なことも吹き飛んで、嬉しすぎて体の力まで抜けるんだよ…。
うん、ぼくはそれを今日八人分見てきたからわかるよ。
「今日、庄左ヱ門、忙しそうだったけど、すごく楽しそうだった…。きり丸ががんばるんだから、ぼくも少しだけ宿題やっとこうかな…。しんべヱはもう寝てるかな…?
おやすみ、乱太郎ー。
明日寝坊するなよー。
「おやすみ、伊助。庄左ヱ門によろしくー。
作品名:庄ちゃんのゲリラ攻撃 作家名:KeI