独占欲
あまり店などのない校舎の裏側まできて、
ジリジリと馬村はすずめに近寄る。
「馬村?なんか怖い…」
馬村はすずめの左肩に額を乗せ、
反対の肩を抱いて
「はぁぁぁぁぁ。」
と大きく息を吐いた。
「だ、大丈夫?馬村。」
「それはオレのセリフだ。バカ。」
「えっ。」
馬村は顔を起こしてすずめにすごむ。
「何ナンパされてんだよ。」
「あ、あれやっぱりナンパ?
ハハ、初めてされたよ。」
「喜んでんの?」
「ちがっ///…初めてされたからびっくりして。」
「……」
馬村はすずめのわかってなさに
少しイラついていた。
「獅子尾に何言われて赤くなってんだよ。」
「え?先生?!赤い?」
「赤らめてたじゃん。顔。」
「あっ。えと…き、綺麗なんだから気をつけろって言われて…」
「くそ…アイツコロス…」
そうつぶやくと馬村は
青ざめた顔で無言になった。
「あの…ごめんね?」
「なんで謝んの?」
「いや、なんとなく…」
「なんとなくかよ。」
しばらく二人は無言のまま立っていたが
馬村はぎゅうぅぅっとすずめを抱きしめた。
「馬村?!ここ学校!」
しかも今日は文化祭で誰が来るかわからない。
「悪ぃ…オレ、余裕ねえな…」
すずめが危険にあったというのに
助けられず、いいところは獅子尾にとられ、
なおかつすずめに謝らせてしまった。
馬村は自己嫌悪に陥っていた。
トン、と馬村はすずめを
校舎の壁にもたれかからせた。
まっすぐすずめを見つめるので、
すずめはドキドキと鼓動が速くなる。
「オレも思ってるから。」
馬村が言った。
「何を?」