二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

こらぼでほすと プラント7

INDEX|2ページ/3ページ|

次のページ前のページ
 

「生卵は無理だから出し巻き卵を作ればいい。他は、うちから運んでくれる。おや、ギルさんは? 」
「レイと個人的な話があるそうです。・・・さて、どうします? トダカさん。」
「野菜が煮えたら居間で、のんびりさせてもらおう。私は、もう少し飲みたいんだけど付き合ってくれますか? タリアさん。」
「ええ、喜んで。」
「ゲームとかないからトランプでもやるか? 悟空。」
「それならビリヤードはどう? シン。ここにはビリヤード台はあるわよ。悟空くんも、それでどうかしら? 」
「ああ、そういうのがいいな。リジェネ、おまえもできるのか? 」
「うん、できる。」
「じゃあ、そちらに移動しましょう。」
 鍋が煮えるまで待って、遊戯室に案内してもらった。お酒やらジュースやら、おつまみなんかも運んでもらう。



 議長様とレイは書斎に移動した。この間の検査の結果やら今後のことだとわかっているから、レイも大人しくついていく。書斎の椅子に落ち着いて、早速、養父は口を開く。
「二年が限界だよ? レイ。」
「これから、それについての解決方法を試すことになりました。結果が出てから詳しく話しますが、延命できたら、そのまま特区に居座ります。キラさんがプラントに戻る時に一緒に戻ろうと思うので、そのつもりでいてください、ギル。」
「なんだって? そんな方法は、こちらにもあちらにも存在しないはずだ。オーヴで新しい方法でも開発されたのかい? 」
「いいえ、オーヴではありません。あえて言うならソレスタルビーイングの技術ということになります。・・・それから試験運用してから、キラさんたちにも説明するつもりなので、誰にも伝えないでください。特に、俺のママには厳禁です。あの人は、まだ精神的に弱っているので俺の話はできません。」
 この旅行が終わったら、そのままヴェーダへ移動してリジェネが推奨した方法を試すことになっている。万が一、そのままレイが消えてしまったら、その場合は、リジェネとリンクさせたレイの素体で一端、特区に降りて、そのままプラントに戻るということにして消えるつもりだ。そういう可能性は低いとリジェネは試算しているが、どうなるかはわからない。最悪の場合も考えて、プランは練った。いずれ、プラントに戻るのは確定しているのだから、どうしても緊急の要件が入った、ということにすれば、どうにか騒ぎにはならない。だから、今回の旅行は楽しいものにして思い出にしたいとレイは熱望している。
「だが、レイ、そういうことなら、まず私に教えてくれないか? 試算して完璧なものだと確認したい。」
「ギルでも無理でしょう。かなり特殊な方法です。」
「まだキラくんにも伝えてないのか? 」
「ええ、試してみないと、どうなるかわからないので。成功すれば二十年延命できるそうです。」
「失敗したら? 」
「寿命は、そのままです。ですから、可能性のある方法を選択することにしました。できれば、キラさんの手伝いもできるし、俺のママも悲しませなくて済む。」
「それならレイのママさんも、こちらに引っ越してもらって、うちで暮らしてもらえばいいんじゃないのかい? ずっと一緒に暮らせる。私と結婚した形にすれば、きみのママは法律上も本当のママさんだ。それを提案したいと思っていたんだ。」
 議長の考えでは、レイは、これからの三年で老化が加速する段階がくる。そうなったらプラントに戻って本格的な治療を受ければ、もう少し延命が出来る。レイが、ママと離れたくない、というなら、レイのママさんも来てもらえばいい。こちらでレイが満足のいく終わり方をさせるなら、結婚ぐらいは容易いことだ。その意見にレイも苦笑した。レイのことを考えてくれているからの言葉だ。もちろん、それも理想的ではあるのだが、緩々と老化していくレイを看取ってもらうと、レイのママは弱るだろう。もしかすると、壊れてしまうかもしれない。それだけはしたくない。最後までレイのことを笑って可愛がってくれるママでいてほしい。そう決めたから、リジェネの提案に乗ることにしたのだ。
「感謝します、ギル。でも、その方法は却下でしょう。そんなことをしたら、ママの奪還にキラさんたちだけでなく他の面々も動きます。ママの旦那さんは、本当に強いので、あなたでは殺されます。」
「その旦那さんにも移住していただくというのは無理なのかい? 」
「無理ですね。宗教家で、極東の大陸に本拠地がある方です。そちらと特区を行き来していらっしゃるので、プラントでは遠すぎる。こちらでは、旦那さんの仕事が成立しません。それにラクスやカガリもママが近くにいることを望んでいます。とても俺のために移住はしてくれませんよ。」
 もちろん、刹那たちも阻止することだろう。刹那たちもママの亭主を認めているから、寺が一番だと思っているからだ。ニール自身が来ると言っても、周りが認めない。それだけの存在価値が、レイのママにはある。それは残念ではない。そんなママがレイも大好きだ。自分たちが持ち得なかった普通のただの日常を作り出してくれるニールがいなければ、きっと自分たちは普通の日常の大切さを忘れてしまうだろう。そうなったら以前のように、目的のために心を殺して戦うことに傾倒してしまう。今は、戦闘になったとしても帰れる場所と守らなければならないものがあるから、冷静でいられる自信がある。
「俺のママは、『吉祥富貴』にもソレスタルビーイングのマイスターたちにもオーヴにも必要なものです。それを独占することはできません。あなたが俺のためにママを、プラントに留まらせようと画策してくれるのは嬉しい。・・・けど、それはやってはいけないことなんだ。それだけは諦めてください。」
 誰だって、ニールが作り出している日常は大切だ。それを独占することはできない。ある意味、ニールがいることで『吉祥富貴』に関わる人間は、歪んだ戦いに突入することなく暮らしていられる。
 真面目な顔で言いたいことを吐き出したら、養父は苦笑した。いままでのレイにはなかった強い意思がみえた。レイをキラの許へ送り出したことは間違いではなかった。レイが自分の意思で、自分の帰し方を考えるようになったからだ。ただ終末をあるがままに受け入れるのではなく、足掻くことを考えた。それだけでも人間らしい。
「それでは試験運用して結果が出たら報せてくれ。・・・レイのママさんとの結婚は諦めるよ。」
「ありがとう、ギル。・・・あなたのために生きていることが何よりだったはずなのに、今は、それよりも優先したいことができました。申し訳ありません。」
「それでいいんだ。私としては嬉しい誤算だ。おまえの心を鑑みなかった私が悪かった、と、今は反省している。おまえがやりたいようにすればいい。おまえの人生だ。」
「ありがとうございます。俺も『吉祥富貴』に参加してよかったと思っています。アカデミーでの勉強も、ホストの仕事も経験してよかった。」
「そうか。・・・ところで、リジェネくんはソレスタルビーイングの関係者なのかい? 」
「ええ、そうです。今回の最後、彼と行動します。一応、俺はギルの仕事で残るということにしてありますから口裏は合わせてください。リジェネは、組織のほうへ戻るということになっています。」