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こらぼでほすと プラント8

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「納豆は無理だって、悟空。なあ、ねーさん、出汁巻き卵だけじゃなくて野菜炒めとかもやる? 」
「うーん、悟空、一杯食べるか? 」
「もちのろんっっ。なんかオーヴの朝飯のおかずも届いてんだ。ほほほほ・・・肉がある、肉が。」
「えーっと、基本的な朝のメニューとオーヴの代表的なメニューをチョイスしてくれたみたいですよ? ママ。・・・・しかし、なぜビールも届いているのかな? 」
 保温バックでごはんとおかずと届けられていて、保冷パックでオーヴのビールとか果物も届いている。朝から酒ですか? と、レイは首を傾げている。
「それは、とーさんがいるからだろ? てか、とーさんは? 」
「さっき、朝の散歩に出かけたわよ、シン。おねーさま、出汁巻き卵は多めにっっ。あたし、結構食べます。」
「ルナマリアもごはんでいいのか? パンもあると思うけど。」
「せっかくだからオーヴ流を楽しみます。果物バラすぐらいは手伝えますよー。」
 台所には、たくさんの食材が準備されている。まあ、朝ごはんでデザートに果物ということになるから、ニールが適当に段取りして、みんなが動き出す。味噌汁は出汁の素と味噌を入れれば完成するから、こちらは悟空。タッパーからおかずを移すのがシンとリジェネとルナマリア。出汁巻き卵はニールとレイだ。
「さすが、大使館。味噌汁用のお椀も入ってる。うっひゃあー角煮うまそーっっ。パパイアのサラダもいいなあ。久しぶりだぁっっ。・・・うめぇーーーーーっっ。」
「シン、ツマミ食いすんならルナマリアにも分けてやれ。ルナマリア、適当に味見しろよ。悟空、タッパーごと食うなっっ。まだっっ。」
「腹減ったもんっっ。」
「そっちのパンでも食ってろ。リジェネ、それ、かぶれるかもしれないから持つな。」
「マンゴーマンゴーっっ。僕、食べる。」
「あとで剥いてやるから。」
 いつもの日常風景なので、ニールは動じないが、私邸のスタッフはびっくりだ。叫びながらもニールが玉子焼き器(大使館から届いた)で、くるくるとタマゴを焼いている。これには少し砂糖が入っている。亭主の好みだからだ。本来は出汁と塩少々らしいが、少し甘みを足せ、と、命じられて、それからは、この味に定着している。
「うわぁーふわふわぁー。」
「冷ましたら切るよ。とりあえず、2パック分は、これにして・・・誰か目玉焼きとか欲しいか? 」
「ママ、それならナタネにして。」
「ナタネ? なに、それ? リジェネ。」
「スクランブルエッグの硬いやつ。お醤油と塩が入ってて、ごはんの上にかけるとおいしい。」
「それもいいなあ。」
「じゃあさ、そぼろもしてもらえば? ルナマリア。そぼろとナタネのミックスもいいよ。」
「すいませーん、ひき肉ってありますか? えーっと、ねーさん、あれって牛か? 」
「合挽きでもいいけど。おまえら、どんだけ食うんだ? 大使館のおかずもあるんだぞ? 」
「楽勝楽勝、俺、一杯食うし、シンもいけるよな? 」
「もちろんだ、悟空。」
 そぼろなんて大したことではないので、スタッフから出してもらったひき肉をフライパンで炒める。ある程度、炒めたら醤油と塩で味付けする。それを乾煎り状態まで弱火で炒めれば完成だ。
 大使館のおかずも皿に移し変えて、テーブルに並べる。ごはんは、なんと炊飯器でやってきた。それも一升炊きで、これもスタッフさんが机の横にワゴンで設置してくれた。
 おまたせしましたーと声をかけたら居間から大人組が現れた。そしてタリアと議長さんは絶句した。ものすごい量のおかずが鎮座していた。
「これ、作りすぎなんじゃないの? ニールくん。」
「大丈夫です、タリアさん。みんな、かなり食べますから。俺が作ったのは、出汁巻き卵とそぼろとナタネぐらいで、あとは大使館から運んでもらったものです。」
 ごはんのお茶碗も用意されていたので、盛り上げて渡す。悟空は、お茶碗をふたつ用意する。
「やっぱ、朝飯はこうでないとな。いっただきまーす。」
 悟空を皮切りに、若者組が箸を動かす。ものすごい勢いだ。それを見てから、トダカのお茶の用意をしてニールが渡している。
「どこいら辺りを取りましょう? 」
「とりあえず娘さんの出し巻きと一夜干しあたりでいいかな。それとサラダ。」
「了解。ギルさんとタリアさんも取り分けましょうか? 」
「いえ、自分でやるわ。」
 おかずのほうは大きな皿に盛って小皿に取り分ける方式なので、ニールがテーブルを動く。若者組は勝手にやってるからスルーだ。タリアも適当においしそうなものをチョイスする。もちろん、議長様も同様だ。
「娘さん、きみの分は? 」
「そのうち配達されますよ。とりあえず、俺はサラダあたりから始めます。」
 味噌汁をずぞーと啜って、議長様はへぇーという顔をした。味噌汁なんて、あまり食べることがない。
「これはあっさりしてますね? レイのママさん。」
「味付けは薄めにしておきました。慣れないと味噌汁は飲みにくいかと思いまして。ここいらはオーヴのメニューですが、これも薄くはしてあるみたいです。シンがチェックしてくれました。」
「野菜がたっぷりで身体に良さそうだわ。」
「朝は身体を温めるものがいいそうですよ? タリアさん。それに、これだと野菜が摂れますんで健康にはいいかもしれません。」
「そうね。野菜たっぷりのスープだものね。オーヴは野菜も豊富なんですね? トダカさん。」
「気候が温暖なので収穫量は多いです。それに海洋国ですから海藻類なんかも豊富です。悟空くん、出汁巻き取り過ぎだよ? 貴重なんだから独り占めしない。」
 悟空が大皿からばくばくと出汁巻きタマゴを食っているので注意する。見つかって苦笑いで、ちぇーと悟空が別のものに走る。
「まあわかるけどさ。一週間ぶりだもんな。・・・俺も、やっぱ、ねーさんの玉子焼きは絶品だと思う。」
「それは三蔵さんの好みだ。俺が上手いわけじゃないよ、シン。それに半分はレイの作品だ。」
 それを聞いて、え? と、議長様も立ち上がって玉子焼きの皿に向かう。どれだい? どれが、レイの作品なんだい? と、小皿を手にして尋ねている。義理の息子の手料理は食したいらしい。
「こっちが俺の作品です。・・・て、ちょっ、ギルッッ、全部取らないでっっ。しばきますよ? 」
 どんどん小皿に玉子焼きを盛り上げるので、レイは、その手をペシッと叩いた。それからレイも小皿に玉子焼きを移してニールの許へ運んでいる。
「動物性たんぱく質は必要です。リジェネ、干物を頼む。」
「あ、海藻サラダも用意してるよ、レイ。」
「ねーさん、もずく酢。それと角煮。揚げ物はいける? 」
「揚げ物は勘弁してくれ、シン。悟空、おかわりか? 」
「ママは食え。自分でやる。この豆腐みたいなの甘くて美味かったぞ。はい。」
「それはジーマミー豆腐。ピーナッツで作った豆腐だ。身体に良いから食べなさい、娘さん。これはフヨウ豆腐。チーズみたいに熟成しているからクセがあるんだが、ビールのアテには最高だ。」
 すでにトダカは勝手にオーヴのビールを開けている。ちゃんとトダカの酒の肴まで用意しているらしい。
「朝っぱらから飲んでるし・・・・」