独占欲 その2
ゆゆかの驚いた声がして、
ふと顔をあげると、馬村が来ていた。
「猫田、悪ぃ。コイツ借りる。」
と、馬村は再びすずめの腕をとった。
「どうぞ~私そろそろミスコンの
準備しないといけないし。」
ゆゆかはミスコン会場へと去ってしまった。
「馬村、受付は?」
「…アイツと替わった。」
「?」
どうやら自分のクラスの様子を見に来た
獅子尾に、ちょっとトイレに行くと言って
無理矢理受付を変わってもらったらしい。
「馬村、モテモテだね。」
「は?嬉しくねえし。
オマエ見捨てやがって。」
「むぅ…」
わかっちゃいるけど面白くない。
「なんだよ。」
「別に?」
「文句あるならちゃんと言えよ。」
「文句なんて…」
「何か怒ってんじゃん。」
「お…怒ってないし…」
唇を尖らせたまま、
すずめはそっぽを向いた。
「あっあの人、お化け屋敷の受付の!」
「ドラキュラの人じゃん!」
女の子が馬村を見つける声がして、
すずめも馬村もピクッと反応した。
「声かけてみよっか?」
その声にまたすずめはモヤッとした。
そのすずめの様子を見て馬村は、
すずめの腕を掴み、
そっぽを向いているすずめの首筋を
ガブリと噛んだ。
「/////!〇☆Z@!?!////」
キャー!////ッ!
さっきの女子の悲鳴が聞こえる。
すずめは首筋に手をやり、
真っ赤になった。
「い、今、首噛んだ?!」
「あ?だって吸血鬼だし。」
しれっとした顔で馬村が言った。