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オダワラアキ
オダワラアキ
novelistID. 53970
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あなたの優しさに包まれて 後編

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それでも出産したのは卒業してからだったから、大学を卒業するまでは敢えて子どもは作らないでいたのだとみんな思っていた。

「こんなの楽しい話ではないし…そういうの忘れて友達とこうやって息抜きランチするのが、ストレス発散だったからね。だから、言わなかっただけよ」

今まで聞き役に徹していた鶴谷が、潤んだ瞳のまま、実は私も…と話し出した。

「私…出産大変だったんだ…。胎盤早期剥離でね…。旦那は母体か子どもかということになったら、母体の命を優先しますっていう同意書にサインしたって言ってた。ほんと、私もかなり危ない状態だったみたいでさ、妊娠して普通に出産することが当たり前じゃないって初めて知ったよ」

「ツルちゃんも大変だったんだ…。なんか、私…みんなは簡単に子ども出来てるのに…とかそんなことばっかり考えちゃって…ごめんなさい…」

「わかるよ〜。私だってそう思ってたもん。出産後に子どもが救急車で大きい病院に運ばれていくのとか見てたらさ…何でうちの子だけって思ったよ!でも、産んだ時は大変だったけど、それからは元気に育ってくれてるし」

すずめは子どもがいるゆゆかと鶴谷にはわからないと、意固地になっていたことを恥ずかしく思う。
みんなそれぞれ苦しいことも悩みもあり、それを乗り越えて今の幸せな暮らしがあるのだということを気付かされた。

「人に話せば、気持ちが軽くなることもあるからさ。私もね」
ゆゆかはいつものように笑って言った。

「そうだね…私もだよ。カメ以外に初めてしたよ、この話」
「うん…ほんとだね。ありがとう、ゆゆかちゃん、ツルちゃん、カメちゃん」

ゆゆかはそろそろ病院に行くと言って、先に会計を済ませて店を出た。
残った3人は亀吉の結婚の話や、旦那との惚気話を打ち明け、久しぶりにみんなと笑って話が出来たように思う。

(大輝に話をするのは、やっぱり怖いけど…)

ゆゆかが店を出る前、すずめは医師から言われた男性の検査のことを聞いた。
男の人はやはり嫌なものなのだろうかと。
3人は一瞬悩んだような顔を見せたが、口々にこう語る。
「普通の男の人は…分からないけど、馬村くんなら、あんたのためなら何でもするわよ」
「すずめちゃんのこと愛してるからね〜お願い検査してって上目遣いに言えば一発じゃん」
「ね〜絶対そう!馬村がすずめちゃんのお願い断るとかありえない!」

かなり深刻に聞いたような気がするのだが、3人ともに馬村が断るなんてありえないと言い切られてしまって、不安に思っていた気持ちが幾分軽くなった。



家に帰ったすずめは、久しぶりに楽しい気持ちで夕食の準備を始めた。
今日は大輝の好きなメニューにしようと、諭吉直伝のレシピノートを開く。


夕食の準備があらかた出来たところで、玄関の鍵を開ける音が聞こえた。

「ただいま」
「おかえり〜今日ね、グラタンにしたよ〜」

大輝は何故か驚いたような顔をしたが、すずめは楽しそうにテーブルに焼きたてのグラタンを置いていった。
「へぇ、美味そうじゃん。着替えてくるな」
頭をポンポンと撫でるように叩き、優しく笑う大輝に、安心したようにすずめも笑う。

(きっと…大丈夫)

夕食を食べ終わり、片付けは大輝がしてくれるというので、先にお風呂に入る。
寝室で肌の手入れをしていると、大輝が話があると入ってきた。

「ちょっと待って…。私から話してもいい?」
「ああ」

すずめは自分の気持ちを正直に話した。
やはり子どもが欲しいと思う。
だけど、子どもが出来ないことに、もし理由があるならハッキリさせたいと。
もしかしたら、それで諦めがつくかもしれないし、希望も持てるかもしれない。

だから、検査を受けて欲しいと。

「わかったよ」
すずめの話に、特に嫌悪感を示すことなく受け入れてくれた大輝にホッとする。


大輝は、すずめを抱き締めると続けて言った。
「俺は、おまえが幸せならいいんだよ。毎日、楽しそうに笑ってくれればそれでいいんだ。今日帰ったら、久しぶりに笑ってたから、何かあったのかって聞こうと思ったんだ」

「大輝…」

「最近…ずっと子どものことで悩んでたよな?だから、おまえにそんな顔させてまで…そこまでして、子どもって作らなきゃならないのかって思ったんだよ…開き直って2人だけで生きていく選択肢だってあるんじゃないのかって」

すずめの目から涙が溢れる。頬を伝う涙を大輝が手で拭う。
こんなにも大切に思われていたことを、結婚してからは忘れていた。
大輝の優しさが当たり前のように感じていた。
私はたくさんの人に大切に思われている。
本当はそれだけで十分だった。


「検査受けるけど、俺、病院で1人でやるのとかゴメンだからな」
「え…」
「病院に行く前に、おまえが手伝えよ?」
すずめが真っ赤になると、大輝は頬を優しく包み唇を重ねた。
「分かった?」
そう言って薄く笑う大輝に、小さく頷いた。

いつからだろう。
高校の頃はカッコいいと思ったことのなかった相手に見惚れるようになったのは。
笑った顔にドキドキして、もっと見ていたくなる。
髪をかきあげる仕草や、ネクタイを結ぶ
大きな手を見てると、背中がゾクゾクして触ってほしくて仕方がなくなる。

「すずめ…触ってほしい?」

顔や態度に出やすいすずめの考えていることなどお見通しで、いつも先回りしてすずめを愛おしそうに抱き締めてくれる。
すずめも返事の代わりに大輝の背中に腕を回した。
ゆっくりとベッドに押し倒すと、まだ涙で濡れる目尻をペロリと舐める。

「あ、俺…風呂入ってねーや」
「いいよ…大輝の匂い好きだし」

そう言って、すずめから首に手を回し深く口付けると、大輝もそれに応える。
同棲していた時から、同じシャンプー、ボディソープを使っているはずなのに、大輝の発する香りにいつも酔いそうになる。
徐々に深く激しくなる口付けに、すずめが先に音を上げた。

「あ、はぁ…ん…もぅ…」
「まだダメ」

すずめのワンピースタイプのパジャマを肩から下ろすと、下着を着けていない胸が露わになる。
深く口付けながら、焦らすように突起を弄るとすずめの身体は歓喜に震えた。
「あっ…ん」
触っているかいないか程度に、突起を擦られると、敏感になったそこはプッツリと立ち上がる。
もっと激しくしてほしくて、大輝の手を掴むが、指はまだ焦らすように動き続ける。
「ん…っあ、はぁ…大輝…っ」
「なに…?」
「おねが…いっ…あぁっ」

「ちゃんと言えって」

耳元で囁かれると、背筋がゾクゾクして敏感になった身体はいてもたってもいられない。

「もぅ…っ、舐め…て…ん、はぁ」
大輝は、すずめに色々と言わせるのが楽しいらしく、行為の度にどんどん意地悪くなっていくような気さえする。
「どこ?」
「こ…こっ…」
胸元を指差すが視線でちゃんと言えと促される。
すずめは潤んだ瞳で大輝を睨む。

「その顔…逆効果だから。すっげぇ可愛い。もっと、虐めたくなる…」
すずめは、いつも焦らされ続けるのも悔しくて、たまにはと反撃に出る。

「も…お願い…意地悪しないで?」