一番
夕飯の時間が近付いてきたから忍術学園に戻った。
すると、
「今日のテストどうだったー、庄ちゃん?
「ん?そうだねー…。
は組のみんなが集まっている。
その中心には庄左ヱ門。
ああ、ぼくもあの中に入りたい…。
庄左ヱ門と話したい。
最近忙しかったみたいだし、特訓もしてたしで授業以外で会うことが減ってしまっていたから。
でも、テストの話はしたくない…。
いつの間にか涙が浮かんできた。
「庄ちゃんなら、あれくらい楽勝だったよなー。
団蔵が庄左ヱ門の肩に腕を回して話しかける。
「団蔵だって余裕そうだったじゃない。
「へへへ、まーね。
「さすが!
「よっ!は組のツートップ!
…胸が、ちくちくして痛い。
それから、墨を零したみたいに真っ黒に染まっていく。
ぼくは、全然楽勝じゃなかったし余裕なんてなかった。
現実を突き付けられて苦しくてたまらない。
「…あ。
庄左ヱ門と目があった。
ぼくは咄嗟に逃げ出した。
「庄左ヱ門?
「どうしたの?
「……。
部屋に戻って、誰もいない部屋の真ん中で正座して声を上げずにぼくは泣いた。
ぼくががんばって努力したところで、団蔵には勝てない。
団蔵はいつも通りで庄左ヱ門と同じ場所に立てる。
ぼくは庄左ヱ門とは同室だから隣にいるだけ。
忍術学園に入学した時に『偶然』同じ部屋割りになっただけの一人の『クラスメイト』。
十人いる友達の内の一人でしかないんだ。
もしぼくが同室じゃなかったら、庄左ヱ門がぼくの隣に立ってくれることなんかないに違いない。
ぼくは…庄左ヱ門と同室で……よかったの…?