機動戦士ガンダムRSD 第5話 癒えぬ傷
ハリダ軍曹は、唐突に言った。
「原因?」
スティーブ少尉もハリダ軍曹が何を言っているのか分からなかった。
「いきなり告白されだした理由です」
ハリダ軍曹が何の理由か言った。
しかしスティーブ少尉は、まだハリダ軍曹が何を言っているのか分からなかった。
「スティーブ少尉は、最近ニール少尉に言いませんでしたか、『私に好きな人は、いない』って?」
ハリダ軍曹がスティーブ少尉に質問した。
スティーブ少尉には、思い当たる節があった。
「やっぱり心当たりがあるんですね」
ハリダ軍曹がどこか納得したように言った。
スティーブ少尉は、何とか反論しようとしたがうまく出来なかった。
「分かってます。
どうせ『教えろ』とかしつこく言われたからでしょう」
ハリダ軍曹が当時のスティーブ少尉の状況を想像し言った。
「うん」
スティーブ少尉は、認めた。
その後ハリダ軍曹がスティーブ少尉を許した。
※
リーンホースJr.は、アメノミハシラに近づいていた。
「アメノミハシラまで1200」
ミハイル副艦長がアメノミハシラまでの距離を報告した。
「光学映像が出ます」
エルヴィン中尉がそういうとモニターにアメノミハシラが映し出された。
「第541遊撃艦隊との通信は、開けるか?」
マーカー艦長は、通信状況を質問した。
「いえ、通常回線はまだ開けません」
エルヴィン中尉が通信不可能と答えた。
※
トリッピー曹長は、哨戒任務を終え帰艦しマールスの整備を行っていた。
(マールスって整備性は、悪くないんだけどやっぱりユーピテルと比べると整備が難しいな)
トリッピー曹長は、マールスの整備の難しさを心の中で嘆いていた。
「余計なことを考えてないでさっさと整備を終わらせろ」
背後から声がしてトリッピー曹長は、びくっとなり振り返った。
「なんだ、ナン准尉ですか」
トリッピー曹長は、安心したように言った。
「びっくりした」
ナン准尉は、ニヤニヤしながら聞いてきた。
※
第541遊撃艦隊は、中隊長の小隊を除いた全部隊でアメノミハシラに近づいていた。
副中隊長は、真剣な目でアメノミハシラを見ていた。
※
「シグマン隊長かと思って肝を冷やしましたよ」
トリッピー曹長は、少々呼吸を乱して言った。
「トリッピーも哨戒任務だったのか」
ナン准尉は、整備作業を初めながら世間話を始めた。
「じゃあナン准尉も?」
トリッピー曹長は、ナン准尉に質問した。
「そうなんだよ、しかも機雷敷設任務もあってめんどくさいったらありゃしない」
ナン准尉は、愚痴りながら言った。
敵がグリーン・ノア1襲撃の際再び隠密兵器を使ってきた以上こちらは、機雷で対処するしかなくナン准尉は機雷敷設艦の護衛任務を任された。
「そういえば1機のマールスが出撃したにもかかわらず整備を受けていない機体があったな」
トリッピー曹長は、思い出したように言った。
「ちょっとトイレに行ってただけだ」
ナン准尉は、言い訳をした。
「そうですか、ならさっさと終わらせましょう」
トリッピー曹長は、さっさと終わらせようと必死だった。
ナン准尉も返事をして2人は、本格的に整備作業に入った。
「この後って暇?」
作業中突然ナン准尉がトリッピー曹長に質問した。
※
第541遊撃艦隊のマン・マシーン隊は、アメノミハシラに近づいていた。
その光景を中隊長は、旗艦マゼランの艦橋から見守っていた。
※
「いつも通り暇だけどどうした?」
トリッピー曹長は、質問に答えて逆に質問した。
「この任務の後俺は、暇だから誰かと遊べないかなと思っただけさ」
ナン准尉は、遊び相手を探していた。
※
アメノミハシラを偵察していた第541遊撃艦隊所属のユーピテル分隊がゲイツハイマニューバのビームライフルの攻撃で撃墜された。
「何?」
その異常は、副中隊長も気付いた。
副中隊長は、命中寸前で機体を回避させたため命中しなかった。
「何だこれは?」
副中隊長は、突然の奇襲にパニックになっていた。
※
それは、マゼランでも確認できた。
「ゲイツだと?
どういうことだ、準旧式機を使うなんて?」
中隊長は、新型機ではなく準旧式機であるゲイツを使ってきた気持ちが分からなかった。
「しかもアメノミハシラ内にオーブ戦艦1隻を確認」
オペレーターの報告に中隊長は、ひどく驚いた。
※
アメノミハシラでは、さらに2機のユーピテルが立て続けにビームライフルの猛攻で撃墜された。
※
それは、ガーティ・ルーでも確認できた。
「ここにコロニー軍のマン・マシーンとは、先を越されましたね」
イアン艦長がそういった。
もともとガーティ・ルーとミネルバは、アメノミハシラで補給を行いそれから地球に降下する予定だった。
「さて、こうなると宿命に因るものなのかもしれないな」
ネオ大佐は、面白そうに言ったが仮面の下の表情はイアン艦長も読み切れない。
「スティング達を出せ。
状況を見たい。
記録も録れるだけだけ録っておけよ」
ネオ大佐は、サトー大佐の奮闘も映像に残し国民の戦意向上に役立てようと考えていた。
※
リーンホースJr.では、マン・マシーンの発進準備が行われていた。
「マン・マシーン発進3分前。
各パイロットは、搭乗機にて待機せよ。
繰り返す、発進3分前。
各パイロットは、搭乗機にて待機せよ」
エルヴィン中尉が艦内放送でパイロットに呼びかけた。
パイロットたちは、各々の機体に搭乗した。
※
ア・バオア・クーでは、ケイト中尉とサリー軍曹が食堂の新しいメニュー評価のための試食会に向かっていた。
「サリー軍曹」
ふとケイト中尉がサリー軍曹を呼んだ。
「どうしましたか?」
サリー軍曹が返事をした。
「試食会って一体何を食べるんでしょうね?」
ケイト中尉は、何が食べられるのかわくわくしていた。
「おいしいものですよ」
軍人にとって食事は、かけがえのない癒しの時間である。
そのため食品や料理も一級品が食べられるようになっている。
ちなみにエリートで構成されている本艦隊には、超一流の食品と料理が出される。
「そうですね」
サリー軍曹の言葉にケイト中尉の期待は、一気に高くなった。
「一応シェフも味見は、しているんですから」
サリー軍曹は、シェフの舌を信じまずいものは出ないだろうと予想していた。
「確かに」
ケイト中尉は、納得した。
「でもあえて一流のシェフの舌に合わせるのではなく私たちに合わせてくれる体制って素晴らしいわ」
サリー軍曹は、コロニー軍の食事体制を褒めた。
「私たちの意見が反映されるならただおいしいでは、意味がないわね」
ケイト中尉は、料理を食べてちゃんと意見が言えるか不安になった。
※
α艦隊では、マン・マシーン隊が発進寸前であった。
作品名:機動戦士ガンダムRSD 第5話 癒えぬ傷 作家名:久世秀一