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こらぼでほすと プラント17

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「トダカさんと、あんたが出てから買い物に行ってきます。食事したら、そのままオーヴに行くのて空港まで見送りに行ってきます。」
「やればできるじゃねぇーか。」
「ちょっと不本意ですがね。今日は、トダカさん、来ないつもりだったのに、わざわざ来てもらうことになった。」
「それは親孝行だから遠慮すんな。舅は嬉しいはずだ。」
「そういうもんかな。」
「おまえが炎天下で干からびることを想定すればな。いきなり、夕立に遭遇したら、おまえ、動けないだろ? 」
「そうだけど・・・でも。」
「だから、そうなるくらいなら、舅は付き合うほうが安心だ。」
「それは屁理屈だと思うなあ。」
「くくくくく・・・屁理屈上等だ。おら、メシにしろ。」
「はいはい。」
 もう、近寄ったらいちゃこらと・・・と、ハイネは遠い目で観察している。なんだかんだと言っても、坊主は女房の心配はしているのだ。一人で出かけて干からびるのは心配だから、舅を付き添わせるほうがいいらしい。

・・・・でも、そういうことだと荷物は店の冷蔵庫預かりだな・・・・

 今日か明日に、差し入れが届くだろうからトダカーズラブの協力がないと消費は難しい。年少組が帰ったら、とりあえず食事させることにして入りきらない荷物は店に運ぼうとハイネも予定に組み込んだ。




 レイは、プラントに一端、戻った。名目は議長様の手伝いだから、プラントから戻らないとおかしいからだ。そして、議長様にも挨拶に出向いたら、一枚の紙を差し出された。そこに書かれているのはプラントのお菓子の名前だ。
「とりあえず、有名どころを網羅しておいた。荷物が大きくなったので、レイのママさんのところへ送っておいたよ。ラーメンも、いくつか入れておいたので、気に入ったものがあったら連絡してくれるかい? レイ。」
 丸々、紙一枚にずらりと書かれたリストの数は、相当なものだ。絶対に驚くだろうな、と、レイはママの様子を予想して微笑んだ。この時期、必ず、カガリからの差し入れも届くので、毎回、驚いて慌てているからだ。このリストのものは賞味期限が長いので、年少組が戻れば、徐々に消費できるだろう。
「ありがとうございます、ギル。もし、悟空たちが気に入ったら連絡させていただきます。・・・それから、俺は、あなたの護衛として傍に居たということでお願いします。」
「わかっている。・・・ところで、天上人の作り出した魔法は説明してくれるのかな? 」
「ええ、説明させていただきます。お時間はありますか? 」
「ああ、今夜は予定がないので公邸で、ゆっくりと聞かせて欲しい。」
「了解しました。では、ここから護衛につかせていただきます。」 そのつもりでザフトレッドの制服を着ていた。とりあえず、今日一日、議長に張り付いておけば、議長の公務の様子も見られるので、寺に戻っても、それなりに話もできる。イノベイドについての説明ぐらいはしておけばいい、と、リジェネからも許可を貰った。脳をイノベイド体のレイの身体に移し変えた、という、ざっくりとした説明をしておくつもりだ。別に、間違ったことは伝えていない。レイは、イノベイド体とリンクしているので、違和感なく過ごしている。リンクが切れることはないはずだが、切れた場合は緊急連絡がリジェネに入り、そちらがレイのイノベイド体を動かしてくれる。特区内なら、リンク切れをすることはないので、宇宙空間だけらしい。それも相当な辺境地域だけだと言うから、ほぼ、レイは自分の身体を使える算段だ。

 手持ちの荷物は空港に預けてあるから、そのまま議長の公邸まで従った。着替えは、用意してくれているので着替えたら書斎へ足を向けた。食事の前に説明だけしておくつもりだ。
「簡単な説明で、ご容赦ください。いろいろと組織の先進的な技術を用いているので、詳細までは口外できないのです。」
「もちろんだ。・・・それで? 」
「今、あなたの目の前に居る俺の身体は、以前、あなたがクローニングからコーディネートした身体ではありません。これは・・・」
 レイは、自分を見回して、微笑んだ。
「イノベイドという組織の持つ技術で構成された身体です。それに、俺を移し変えて貰いました。脳自体は俺のものですから、それは老成しますが、身体的には変化しません。とりあえず、二十年、この身体を使える確約は貰いました。」
 と、続けた。そこで、議長様は、はっとして、まじまじとレイの身体を上から下に、ゆっくりと眺めた。作ったリジェネでも違いは感じないほど似ているので、議長様でも判別は難しいだろう。うーん、と、議長様も、しげしげと眺めたが違和感はないらしい。
「遺伝子情報を基にしているので、あなたでも差異は感じないはずです。いかがですか? ギル。」
「まったく違和感は感じないな。人工体なのか? 」
「ええ、組織構成物質は完全に人間と同様のものなので、検査しても違いはないそうです。これからは、クスリも必要ではありません。今まで、ありがとうございました、ギル。」
 テロメアに作用する薬を用意してもらっていたが、それもいらなくなった。レイにとっては、以前と感覚も何もかも変わらないので、どこがどうとは感じないが、そういうところで実感できる。ただ時を過ごして緩々と死んでいくだけだと思っていたのに、とんでもないところから救いの手が舞い降りた。
「私のほうこそ、リジェネくんに感謝だな。きみに生きる目的を遂行できる手段を与えてくれた。でも、彼は私の感謝なんて一言もいらないんだそうだ。きみのママが悲しまないためなので、きみのためでもないと言い切ったよ。」
「ええ、俺も、そう言われました。・・・・俺のママは偉大です。今まで、考えたこともなかったのですが、ギルにも感謝します。ここまで俺を育成してくれたから、今の俺は存在します。」
「それにしても酷い養育者だったがね。」
「はははは・・・確かに、そうかもしれません。でも、生きていたから、今の俺の気持ちはあるのだとママから教わりました。」
「ん? どういうことだい? 」
「ママは誕生日のお祝いを必ずやりたい人なんです。その日その場所に生まれたから、今があるのだと。今、出会えている人たちとは、生まれていなければ出会えなかった。だから、生んでくれた人、育ててくれた人が、どういう人であろうと、そこまで生きていたことの最初は、その人たちにあるのだと言います。・・・・あの人の人生も、けっして平坦なものではなかっただろうに、そう言うんです。今があることを感謝するなら、その人たちに感謝すべきだと。」
 まあ、確かに酷いことばかりだったが、それでもシンと出会い、キラと出会い、最後にママに出会った。今は、とても幸せだと感じている。その最初の切欠は、ギルバート・デュランダルという男だ。だから、それには感謝する。深くお辞儀して心から感謝の意を示した。
「では、私からも感謝させていただこうか? レイ。きみが、そうやって自らで選択した人生を見せてくれるのは、私にも驚きだった。人間は成長するのだと実感させてもらえた。・・・・以前のきみなら、黙って時間を使い切ったはずだ。だが、今のきみは、時間に抗った。それは感動している。」