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こらぼでほすと プラント19

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「もう、リジェネったら、ほんと、ママには甘々ちゃんだよね? まあ、それで、レイが存在できるなら、僕も大歓迎。」
「レイ、鷹さんは、おまえのことを知ってるけど何も言わないと思う。あの人も、人生経験豊富な人だ。気にはかけてたから、その必要はないってだけ言っておけ。」
「了解です。知ってたんですか? 鷹さん。」
「まあ、見ればわかるだろう。あの人、クルーゼ隊長の若い頃の素顔を知ってるからさ。」
 今はいないが、レイの先人が存在した。その素顔を鷹は知っている。だから、レイのことも気付いてはいたらしい。キラは、その先人の顔は知らなかったが、鷹から事情は聞いていた。時間がないことも鷹からも聞いていたのだ。
「全然、気付かなかった。」
「そりゃ、レイ。ムウさんは、じじいーずだもん。そんなの顔にも出さないよ。じじいーずは気付いてても、何も言わないと思うよ。僕のことも知ってるけど、それは言われたことはない。」
「最近、おまえが沈んでたから、そこいらの確認は俺たちに入ってたけどな。それだけだ。」
 ママだけではなかったか、と、レイも苦笑する。さすが大人組は、何も言わないがレイの表情は読んでいるらしい。
「参りました。」
「あははは・・・うちのじじいーずは百戦錬磨の猛者ばっかりだ。俺たちでは太刀打ちできないよ。・・・議長との確執云々と説明はしておいた。」
「ありがとうございます、アスラン。それも片付けてきました。今後は、緊急でない限り、あちらに出向くこともありません。『吉祥富貴』での仕事を優先させますので、そのつもりで俺を使ってください。」
「くくくく・・・・違うでしょ? レイ。きみ、ママ優先じゃない? 」
「それはもちろん、最優先です。あの人と暮らせるのが、俺には何よりのことですから。」
「あははは、言い切った。すごいね? レイ。」
 今までのレイは命令優先、仕事優先の考え方だった。余暇など必要はないと言っていたのに、思い切りの方向転換だ。それでいいのだとキラもアスランも思っている。それが人間として必要なものだと、二人も思うからだ。


 店の近くのショッピングモールでレイは下ろされて、適当に流動食になりそうなものを用意して店に戻ったら、シンが店の掃除に出ていた。トダカの手伝いだそうだ。
「おかえりーレイ。」
「ただいま、シン。掃除、手伝おうか? 」
「いや、いいよ。ねーさんに早く逢いたいだろ? それにキラさんたちは出勤だから、早く行って戻ってもらってくれ。」
「おかえり、レイ。娘さん、たぶん、もう起きてると思うよ。大したことはなかったからね。」
 トダカもシンも、今まで通りだ。この人たちにはバレないと思っていた。見た目には何も変わらないからだ。だが、トダカはレイを見て目を細めた。それから、レイの頭を撫でた。
「疲れただろ? 今日は、娘さんのところでゆっくりしておいで。」
「はい、ちょっと忙しかったです、トダカさん。」
「アレルヤくんたちが居てくれるから、それほど心配はないと思うけど、まあ、きみが帰ると聞いてるから待ってるだろうさ。」
 そんな話をしていたら、荷物を積み終えたアスランが戻って来た。出かけるぞーと言うと玄関から出て行く。
「シンも顔を出してくるかい? 」
「うんにゃ、俺は明日にする。行って来い、レイ。」
「じゃあ、行ってきます。」
 今日は、レイが戻るので、大人数で出向く必要はない。だから、シンは翌日に顔を出すつもりだ。そろそろ、アレルヤたちが移動するらしいから、その後は居候するつもりもしている。



 寺まで帰ると、少し遅いおやつの時間だった。店から運んだ荷物をアスランと手分けして運ぶと、台所からニールが顔を出した。レイの顔を見ると、にっこりと笑った。
「ただいまぁーママ、おやつ食べさせてー。」
「はいはい、ハレルヤ、おやつ二人前。」
 台所はハレルヤが担当していたらしい。おーと返事が戻って来る。きゃあーとキラは廊下を走る。アスランも、お邪魔します、と、大きな発泡スチロールの箱と歩いていく。残ったのは、レイだ。
「おかえり、レイ。お疲れさん。」
 きちんとレイと視線を合わせてママは挨拶してくれる。いつも通り、何も変わらない。それを眺めていたら目が霞んだ。荷物を下ろすと、びっくりしているママに抱きついた。
「ただいま、ママ。」
「はい、おかえりさん。どうした? おまえさんまで、ホームシックか? 」
 トントンと背中を軽く叩かれた。それだけで、涙が止まらない。帰れたんだと思うと、なんだか気持ちが溢れて、どうにもならなくなる。あれから二週間ちょっとだというのに、とても長いこと、逢っていなかったみたいにママが懐かしい。もしかして二度と逢えないかもしれないと覚悟したから、時間が長く感じられる。
「なんだか、長い旅から・・・帰ったみたいで・・・」
「うん。」
「ママに逢ったら気が抜けてしまいました。・・・・どうしてかな。二週間なのに。」
「そりゃ、ギルさんとこで働いて忙しかったからだろ。・・・そうそう、おまえさんの保護者も性質が悪いぞ? 差し入れにお菓子を送ってくれたんだけどさ、本堂の半分が埋まる量で難儀した。」
「はい? 」
「さすがに置く場所がなくて、適当に配分して残りはラクスとカガリの関係している養護施設に送ったんだ。くれるのは嬉しいけど、加減するように言っておいてくれ。お菓子とラーメンで埋もれるのは勘弁だ。」
 そういえば、議長から差し入れリストは貰った。ああ、あの人も世間知らずだった、と、呆れたら笑えてきた。全てに完璧だと思っていた養父が実は、ボケている世間知らずだと知ったからだ。
「すいません・・・・単位が間違っていたんですね? 」
「そういうことなんだろうな。」
「気に入ったものがあったら、また送ると言ってました。」
「それが・・・悟空もシンも特区のお菓子のほうがいいんだって。」
「そのままメールしておきます。・・・ママ、スコールでダウンしたんじゃ? 」
「ああ、午前中にな。もう大丈夫。気圧さえ安定してれば、いつも通りだ。」
「アスランに聞いたので、流動食を用意してきました。食事は? 」
「マリーとリジェネのダブル攻撃を食らわされた。もういらん。・・・・あいつら、容赦なく詰めてくるから酷いぞ。」
「それは、しょうがありません。ママは、そうしないと食べてくれないんだから。」
「おまえさんは? メシ食ったのか? 」
 そう言われて記憶を振り返ると、オーヴに到着して何も食べていない。精神的なプレッシャーのほうに意識が向いていて、空腹なんぞ感じなかったのだ。
「そういえば、食べてません。」
「くくくくく・・・よしっっ。レイのおやつも用意してる。ちゃんとミカンゼリーもあるからな? 」
 レイの好物は、缶詰のみかんで作る簡単なゼリーだ。涙が止まらなかったはすなのに、ピタリと涙が止まって、レイは笑い出した。
「ええ、お腹が空きました、ママ。・・・・ただいま。」
「おかえり。チキンピラフなんだけど、オムレツにしようか? 」
「はい、ぜひっっ。」