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同調率99%の少女(1) - 鎮守府Aの物語

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--- 3 那珂との出会い



 学校との提携の話を進める一方で、那美恵は一応普通に艦娘の試験を鎮守府Aに受けに言った。たまたま、新しい艤装が配備されたのだ。軽巡洋艦那珂、川内の艤装だ。
 学校が鎮守府と提携するにしろしないにしろ、艦娘に興味を持ち始めたので自分を試す意味も込めて、試験を受けに行った。

 一般常識や最低限の学問知識の筆記試験、運動能力の試験そして、艤装との同調試験があった。筆記試験も運動能力の試験もなんなく合格し、那美恵はいよいよ本物の艤装を目にし、同調と呼ばれる、いわばその機械とフィーリングが合うかどうかの最終試験を行うことになる。

 那美恵は艤装に使われている技術の仕組みをまったく知らないが、次の内容のように簡単に教わった。
 艤装には海上で多彩な活動ができるように様々な機能や情報がインプットされている。その情報を人体に伝達させてあたかもなにも装備をせずに直接行っているかのようにスムーズに高度な活動できるようにするために、その艤装からの伝達を受け入れられる健康的な精神や性格の持ち主である必要がある。深海凄艦と呼ばれる化け物には、同調を通して放つ武器でしか、致命傷を与えられないということ。
 昔のアニメや特撮にあった、パワードスーツやヒーロースーツと同じか、と那美恵は考えておくことにした。中の仕組みや技術的なことには大して興味がない。彼女にとって大事なのは、今艦娘になれるかどうかだけだ。

「それでは○○番、光主那美恵さん、艤装を装備してください。」
 鎮守府Aの技師だか整備士の人が案内する。那美恵はまず川内の艤装を装備した。整備士が艤装のスイッチを入れる。艤装の稼動状態が高まるとともに、那美恵の身体に軽い電撃のようなものが走った。とても恥ずかしい感覚だったが、彼女はそれを我慢した。

 同調率の結果が出された。軽巡洋艦川内の艤装との同調率は、91%。十分すぎるほどの合格圏内だ。その時点で試験を終えても良かったのだが、彼女はまだ試していない那珂の艤装も試したかったので整備士に申し出た。

「あの。那珂の艤装も試させて下さい!」
 整備士は承諾し、次は軽巡洋艦那珂の艤装との同調試験が始まった。

 エンジンがかかってないにもかかわらず、不思議な感覚を覚え始めた。なんだこの感覚はと。そして整備士がスイッチを入れ艤装との同調が始まった。


ドクン


 さきほどの川内の艤装よりも、はるかに強い電撃のような感覚が全身を駆け抜けた。腰が砕けそうになったが、耐える。身体が燃えるように熱くなり、艤装をつけていないかのような一体感を覚えた。あとで下着を替えなければと思った。
 その直後、整備士が声を上げて驚いた。

「うわっ!98%!?なんだこの数値・・・やべぇ!」
 那珂の艤装との試験結果は、さきほどの川内の艤装をはるかに超える合格圏内であった。その異常に高い数値を確認した整備士は近くにいた係員に話をし、誰かを呼びに行った。那美恵はその光景を特に気にせず、試験を終えて待機室に戻る準備をする。
 ちなみに他にも受験者はいたが、他の受験者は合格圏内の同調率を示せず不合格だった。結局のところ、艦娘になるには最後にこの同調という相性をチェックする試験があるため、あまり自由に人を増やせない存在なのである。


 係員と整備士から光主那美恵の那珂との同調率を聞いた提督は同じく驚いていた。そばにいた五月雨も口に手を当てて驚きを隠せないでいる。
「98%!?すごいな・・・他所では改二の艤装でやっと95,96%だというのに、彼女はそんな数値なのか!」
「あの人、すごい相性ってことですよね!私はついこの前の定期チェックで91%が最高でしたもん。」と五月雨。

 同調の試験の結果等は大本営にも報告するようになっており、その旨報告して、提督は光主那美恵を軽巡洋艦那珂として迎え入れることを即決した。

 光主那美恵は那珂として鎮守府Aで活動することが決まった。