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同調率99%の少女(1) - 鎮守府Aの物語

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--- 4 着任



 着任が決定し、那美恵は提督から直々に合格の連絡を受けた。その日は学校で午前の授業が終わり、お昼を食べている最中だった。生徒会とは関係ない普段仲の良い友人たちとしゃべりながらお昼を食べていると、那美恵の携帯が鳴った。

「はぁい。」
「もしもし。私、鎮守府Aの提督の西脇と申します。こちら光主さんの携帯電話でしょうか?」
「あ、西脇さん?はいそうです光主那美恵です。」
 相手は鎮守府の総責任者ということと、電話越しということで普段のノリは控えめに提督に挨拶をする。

「光主さん?この前受けていただいた試験ですが、あなたは合格です。正式な案内は後ほど致します。あなたには軽巡洋艦の艦娘、那珂として着任してもらうことになるから。これからよろしく頼むよ。」
「ホントですか!?やったー!こちらこそ〜!よろしく西脇さん!」

 その電話でのやりとりを聞いていた友人たちは興味津々で那美恵に尋ねてきた。
「ねぇねぇなみえちゃん。電話の人誰?彼氏?」
「えー、どうだろ〜?将来そうなるかも〜な人かな〜」
 那美恵の普段のノリをわかっているのか、友人たちは冗談だと捉えて話を進める。
「なにそれw ね!ね!どんな人?何歳?」
「うーんとね。33とか言ってたかなぁ」
「うわっおじさんじゃん!で、どういう人なの?」
「うーん、ある意味、社長職な人かなぁ。あたしその人のところに挨拶しにいくの。」
「えー!玉の輿!?マジで?」
「挨拶に行くとか結婚かよ〜」

 キャハハと、黄色い声を上げて那美恵の話を聞いて笑って楽しむ友人たち。
 あえて艦娘とか、鎮守府などとは言わずに話を進める那美恵。本当は話したかったのだがまだ着任しておらず、艦娘部を立ち上げるための準備もこれからというところだったので、状況をわきまえて伏せることにした。


--

 那美恵は連絡された日に鎮守府Aに赴いた。その日は正式な着任日ではないが、事前の準備で書類なり確認すべきことがあるため那美恵は呼び出された。

 その日は執務室ではなく、小さな会議室に西脇提督、五月雨、時雨、那美恵の4人が集まった。
「これから軽巡洋艦那珂の着任に向けた準備をします。必要書類はのちほど書いてもらうとして、那珂含めて川内型の艦娘には制服が支給されるから身体測定をしてもらうよ。」
「はぁ、制服ですか。……って身体測定?えー提督に測ってもらうの〜?」
 もちろん冗談で言ったのだが、那美恵は両腕で自分を抱きしめるような仕草でイヤンイヤンと上半身を左右に振り、おちゃらけた。

 女子高生が苦手なのか、それとも若い子にそういう冗談を言われることが苦手なのか、提督は照れながら反論する。
「そ、そんなわけないだろ……。本当にやっていいなら、やってあげるけどいいのか〜?」
 かなり精一杯の冗談で那美恵にノってきた感じがする提督。無理しちゃって……と那美恵は思った。そんな提督の様子を五月雨と時雨はジト目で無言で睨みつけている。
 それに気づいた提督はゴホンと咳払いをして続ける。

「君の身体測定は五月雨と時雨にやってもらうから。終わったら3人で執務室に来てくれ。」
 そう言って提督はそそくさと会議室から出て行った。


 女3人だけになった会議室で那美恵の身体測定が始まる。が、3人共気恥ずかしいのか、なかなか始める一声を出せないでいる。さすがに那美恵も恥ずかしく、普段のおちゃらけた雰囲気が急になくなった。

 最初に五月雨が口を開いた。
「それじゃあ、光主さんの測らせていただきます。ええと、改めて。五月雨っていいます。秘書艦やってます。」
「時雨といいます。さみ……五月雨とは同じ学校の同級生です。」
「私は光主那美恵といいます。これから那珂になります。よろしくね、二人とも!」

 年下の女の子に自分の体型を測られる妙な感覚を覚える那美恵、学校が違うとはいえ学年が上のいわゆる先輩の体をお触りして彼女の体型を測る五月雨と時雨、三人ともなんとなく無言で作業をした。

 身体測定が終わり、執務室に戻った3人。提督は那美恵に書類を書かせ着任に向けて準備を進めさせる。那美恵が書類を書き終わったら、提督は秘書艦の五月雨と一緒に大本営(防衛省艦娘統括部)まで行き那美恵の着任の届けを出しに行く。時雨は出かけている間の代理の秘書艦として鎮守府にいてもらうために、五月雨から引き継ぎを受けていた。