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同調率99%の少女(1) - 鎮守府Aの物語

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 その後3〜4日ほどして、那美恵の体型にあった艦娘那珂の制服ができあがった。鎮守府Aに届けられ、鎮守府から那美恵へと連絡が行った。翌日に那美恵は鎮守府に行き、制服を受け取って試着する。
 那美恵が更衣室で着替え、会議室に行くと、そこには先日身体測定を手伝った五月雨と時雨の他、二人の同級生の顔もあった。プラス、提督や他の艦娘も顔を見せている。人が少ないので、みんながみんな新しい艦娘の事が気になっているのだ。

 誰ともなく声が漏れる。
「うわぁ〜華やかな制服!」
「どぉーかな、みんな?」
 初めて着る学校以外の制服に戸惑いつつも、軽くポーズを決めたりスカートをたくしあげてクルッとまわったりとちょっとしたアイドルばりの仕草をする。着て数分後にはもう着こなしている様子だった。

「光主さん、すごく似あってます。ポーズもなんだかアイドルみたいに決まってます。」と艦娘の一人。
 五月雨たちとは制服が異なる中学生と思われる学生艦娘の子は、しゃべりこそしないがその艦娘の言葉に同意している様子で、コクコクと頷いている。
「そりゃあたし、もともとアイドル志望ですもの。こういう着こなしもしっかりやるよん。」
 那美恵の言葉に皆アハハとにこやかに笑って反応する。その笑いには納得の意味がこもっていた。



「私の五月雨も制服ありますけど、可愛さが全然違いますよ〜いいなぁ〜」
 と五月雨もちょっとうらやましげに感想を言う。

 那珂の制服にそれぞれの反応を見せる艦娘たちに提督は解説をし始める。
「元になった軍艦那珂とその姉妹艦はね、150年ちかく前の第二次世界大戦で、日本海軍の軍艦のうちでもかなり活躍した軽巡洋艦らしいんだ。それにちなんで那珂や姉妹艦の艤装装着者の制服は明るい色で華やかなデザインにしたんだそうだ。○○っていう有名デザイナーのデザインらしい。
 見た目の美しさもそうだけど、機能性にも優れていて、艤装の機能を補助する小型チップを入れる専用のポケットもたくさんついているんだ。」
 那珂の制服の説明書を読みながらその場にいる皆に説明する提督。

「艦娘専用の制服があるのってうらやましいっぽい〜そういうかわいいの着たいよ〜」
 悔しそうに不満を漏らす夕立。白露型は初期艦である五月雨以前の連番の姉妹艦は服装自由となっている。そのため夕立たちはとくに考える必要もない学校の制服で来ている。

「いいじゃない夕ちゃん。思い切って可愛い服で来ちゃえば。私なんか制服固定されちゃってるもん〜」
 友達たちが学校の制服できてるのに自分だけが艦娘指定の制服なことに不満を持っている五月雨であったが、それは夕立からすると、学校以外の制服を着れるだけでも逆に羨ましい存在なのである。

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 そして那珂の着任日、生徒会の仕事は副会長らに任せて早めに鎮守府に来た那美恵は更衣室で那珂の制服を着、ロビーに皆と一緒に集まった。まだ建物のところどころが建設途中の鎮守府Aでは、着任式などをするための講堂もないため、一番広いロビーで行うことになっていた。


「なんかドキドキするー」
「君は生徒会長やってるんだっけ。普段は今の俺みたいに前に立って何かする立場だから今日は逆だね。」
 那美恵は提督と軽い雑談をする。

 ロビーには五月雨たち他の艦娘もいる。各自プライベートの予定もあるため、何人かは不参加だ。

「ねぇ提督。なんでロビーなの?会議室でもいいんじゃない?あっちのほうがいいと思うんだけどなぁ。」
見学時に会議室があるのを知っていた那美恵はなぜ会議室ではなくロビーを着任式の場に選んだのか提督に尋ねた。
「本当はさ、執務室で着任証明書渡してハイ終わり、でもいいし、会議室でやってもいいんだけど、俺はこういう儀式を通じて雰囲気とか、気持ちを大切にしたいんだよね。それにロビーでやるのは、これからその人がこの鎮守府に通って艦娘として活動し始めるというスタート地点になるからさ。だから本人が嫌がらなかったら、こうして着任式を開いているのさ。光主さんみたいにノってくれる娘は大歓迎だよ。」
 提督は嬉しそうに言う。提督の言うことが示すように、鎮守府Aでは今までほぼ全員にこうして着任式をやって気持ち新たに艦娘の仕事を彼女らができるよう、計らっているのだった。初期艦である五月雨以外、時雨たちは全員こうして着任式を開いてもらっている。

 頃合いになり、本館のロビーにてささやかながらも、本人らの気持ち的には大規模な、艦娘那珂の着任式が執り行われた。


「光主那美恵殿、あなたを鎮守府Aの軽巡洋艦艦娘、那珂としてここに任命し、着任を許可致します。
 これからあなたには深海凄艦との戦いに参加していただくことになります。怪物との戦いはあなたにとってつらいものになるでしょう。ですがあなたは一人で戦うわけではありません。ここに、そしてここに今いない人もいますが、あなたには同じ艦娘の仲間がいます。うちは激戦区の鎮守府ではありませんが、ここにも深海凄艦の魔の手は迫っています。
 どうか日々精進し強くなり、仲間たちとともに、暁の水平線に勝利を刻みましょう。我が鎮守府に、そして俺の仲間たちにどうか力を貸してください。」

「はい。頑張ります。これからよろしくお願いいたします。」
 真面目な着任式、普段のおちゃらけは一切なしに真面目に取り組む那美恵。その雰囲気と表情を一番近い位置で目の当たりにした提督には、彼女から本気が伺えた。