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同調率99%の少女(1) - 鎮守府Aの物語

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--- 6 嫉妬する同僚



 那美恵は生徒会の仕事も忙しかったが、その合間や休日で鎮守府Aにある演習用のプールで訓練を続けた。提督からは休日の鎮守府勤務は学生は禁止と言われたが、どうしてもと願い出た。熱心な那美恵に心打たれたのか、提督は自分も休日出勤するその付添という形で那美恵を出勤させることにした。

 演習用のプールで海上を進む練習、砲雷撃する練習、その他立ち居振る舞いを何度も練習する日々が続いた。
 もともと運動神経がよく、アイドル目指しているためダンスの心得があるなど、立ち居振る舞いの自信やセンスがあった那美恵は、自身の能力を活かしてあっという間に鎮守府Aの艦娘の中でもトップクラスの艤装の操縦の実力者になっていた。
(とは言え那珂を入れてもまだ10人もいない集まりである)
 

--

 鎮守府Aの最初の軽巡洋艦である五十鈴こと五十嵐凛花は、那美恵と同じく自分の学校で艦娘部が作れなかったため、普通の艦娘として所属している身だ。あとから入って自分を超える実力を発揮し始めた那珂に嫉妬していた。

((なんなのよあの子・・・。私の方が先に入って軽巡として司令官に大事に思われてたのに、なんであんなにメキメキと上達できるのよ。納得行かないわ。))

 五十鈴は提督のところに行き、那珂について聞くことにした。提督と秘書艦である五月雨以外には、着任した新艦娘の試験結果等の詳細は知らされていない。そのため五十鈴は那珂がとんでもない同調率とセンスの持ち主であることを知らなかった。

 
 執務室には提督だけがいた。そのため五十鈴はすぐに質問し始めた。

「ねぇ司令官。なんで那珂ばかり訓練施設使わせてるんですか! わ、私はいいとして五月雨たち他の子だって使いたいでしょうし。ちゃんと配分考えて下さい!」
 実はそんなに那珂に専有されてもいないのだが、使用頻度は確かに多かったため、五十鈴はあえて誇張して言うことにした。でないと理由付けに困るし、単に嫉妬していることが提督にバレてしまうことが恥ずかしかった。

 そんな五十鈴の裏の気持ちを知ってか知らずか、提督が答えた。
「そんなに使わせてたっけか? だとしたらすまなかった。五十鈴、君にも早く強くなってもらいたいからね。今度からきちんとみんなが使えるようにするよ。」

 素直に謝ってきた提督に、五十鈴はドギマギして横髪をクルクルといじりつつ言葉を返す。
「わ、わかってくださったなら、いいです……。」

 五十鈴に謝ったあと、提督は思い出したことがあり、五十鈴に熱い口ぶりで説明し始めた。
「そうそう、君には言ってなかったが、那珂はちょっとすごい子でね。彼女は早めに実戦に出してみたいんだよ。実はね、同調率の試験が98%で合格だったんだ。」
 その数値に五十鈴も驚いた。なんだそのとんでもない数値は。自分でさえ92%程度だったのに、おかしいと。

「それ、本当なんですか?信じられないわ……。って! それが那珂って人に訓練施設を使わせる理由ですか!? 私……たちのことはどうでもいいんですか!?」
「いやいや、どうでもいいとは言っていないぞ。ただ……」
 続けようとする提督の言葉を遮って、五十鈴は思うところがあるのか、提督に提案をした。
「あの、司令官。那珂と演習させて下さい。いわゆる練習試合というやつです。」

 なんだかんだで自分のほうが(わずかだが)経験があり分があると五十鈴は考えていた。以前提督から、うちの鎮守府に配備される艤装は特殊であり、自分の気持ちしだいで性能を発揮できると教えられていた。同調率が違っても艤装さえ使いこなせばどうにかなる。新人である那珂を見返せるというもくろみだ。
 その裏では、実力を見せて司令官に振り向いてもらおうという気持ちもわずかにあったりする。

 まだ人が少ない鎮守府なので仲違いされると困るが、駆逐艦達に対するよい刺激にもなるだろうと考え、提督は五十鈴と那珂の演習を許可した。