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同調率99%の少女(2) - 鎮守府Aの物語

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--- 4 初勝利、気になること




 那珂の初戦闘はなんなく勝利であった。那珂は確かに怖くはなくなったが、深海凄艦のその生体が気になった。
 その深海凄艦の生体が(一般的には教えられていないとはいえ)子魚のような特徴と、蟹の幼体のような特徴を持っていたように見受けられたからだ。大きさは普通の魚類とは違うとはいえ、あきらかに成長途中だ。撃破する前にところどころ観察していた那珂はふとそう感じた。

 無人島裏側から本土よりの方に戻る途中。駆逐艦の二人と五十鈴が勝利に喜んでいる最中、旗艦である那珂は三人から少し遅れて進みつつ、観察結果を思い出して考えていた。
((もし深海凄艦も成長するのなら、あれらは子供?だとすると親の深海凄艦がいるかもしれないってことだよね。まっずいかなぁ〜……))


「ねぇ、みんな。ちょっと早いけど今日は引き上げよっか!深海凄艦を3匹も倒したし、今日のノルマ達成ってことでさ!」
 那珂がそう提案すると、五十鈴たちは那珂の提案に疑問を抱かず賛成する。
「ちょっと物足りないけど、あなたがそういうなら従うわ。」
 駆逐艦の二人も賛成した。

 那珂はその日、午前からの無人島付近探索で燃料と弾薬の補給をせずに午後の調査をしてしまっていたことを思い出した。月火水と何事もなかったので、週の折り返しもすぎて少し安心していたためだ。もし親の深海凄艦がいるとしたら、帰りの燃料も考えると、今遭遇すると危険かもしれない。
 駆逐艦二人は(那珂が以前聞いたところによると一応は出撃を経験しているとはいえ)まだ戦闘に慣れていない様子が伺え、かなり無駄撃ちが多かった。おそらく二人の弾薬のストックはもうほとんど残ってはいないだろうと那珂は推測した。

「ねぇ五十鈴ちゃん。あなたの弾薬とか魚雷のエネルギー、ストックどのくらいある?」
 駆逐艦二人に聞こえないよう、こっそり五十鈴に尋ねた。
「え?私は……このくらいよ。」

 艦娘はなんらかのスマートウェアを着用することが推奨されており、電子管理された弾薬や燃料の情報をスマートウェアごしにアプリで確認することができるようになっている。
 五十鈴がつけているスマートウォッチを見せてもらう那珂。彼女はまだかなり弾薬と魚雷のエネルギーが残っているようだった。

「ちょっと気になることがあるからさ。……ってことで。」
 那珂は五十鈴に気になっていたことを話した。そして弾薬や燃料が残り少ないであろう駆逐艦担当の中学生二人を鎮守府に戻すことにした。残りの調査は軽巡の二人であと少しだけするから先に戻っていなさい、と言われた駆逐艦二人は先輩のいうことならと、特に疑問や不満を抱かずに帰っていった。

 そして無人島の本土寄りの海岸には那珂と五十鈴の二人だけが残るかたちとなった。