初音ミクと僕の終焉
――なにがこれでいいんだろう?――
ふと足を止める。最後に割ろうとしていたCDは『消失』
これを割ったら、ミクは消える。ミクは……――――――。
ポロポロと、僕の眼から涙がおちる。
さっきあった時のミクの顔…。あの眼、笑顔。
あれ以上に心に残るものはあっただろうかいや、ないだろう。
ミクは…みんなのもとから、本当に去ったのだろうか?
ふと、周りに浮かび上がるたくさんのコメント。
『誰かミクの曲作ってよ!』
『嫌だ!ミクちゃん消えないで!』
『俺頑張ってミクの時代を取り戻す!!』
『初音ミクがオワコンとかいってるやつマジおかしい』
『ミクが大好き』
愛であふれたコメントがたくさん流れる。
そのコメントが集まり、僕が刺した跡へ流れた行く。
するとミクの姿が再生、する。
でもまだ足りなかった。心臓がなかったのだ。
『牙狼…サ、ンおねがい…ッ!!』
そうだ、何を言ってるんだ、僕は。
いつもいじめられたとき、傷ついた時、死にたいと思ったとき。
誰が、隣にいた?
親友――?…違う。
家族――?………違うっ!!
いつも傍にいたのは――――――!!
「ミク、初音ミク…。君だったよね、僕の支えは」
『牙、狼さん、お願い』
「…………でもね、ミク、僕はもう一度君を殺した」
『―――――――』
「だから、さ…我儘かもしれないかもしれないけど……」
そうだ、僕の心は、…いや、『私の心は』
「私の隙間を埋めるために君をもう一度、作り直させてくれ」
『―――!はい、マスター!!』
ミクと手をつないだ。
このままいけばミクはきっと滅びるであろう。
それでも私は…ミクが、初音ミクが大好きだ。
ミクが大好きなんだ。
これは遺書だ。
私とミクの、遺書だ。
でも、きっとこの遺書はいつか、焼き払われる。
もう一度、私をミクが、道を歩いた時。
それがまた新たな革命となる――――。