英雄プルート
大きな物音にミッキーは駆けつけました。
その音は目の前の大きなオーブンのようなものから出ていました。
急いでストッパーを外してドアを開けました。
すると、奥のほうにぐったりと横たわるプルートの姿が見えました。
ミッキーは躊躇なく中に入り、プルートの元へ急ぎました。
するとすぐにドアが閉まってしまい真っ暗になってしまいました。
ドアは重く、抑えていないと閉まってしまうのです。
そんなことは気にせず、小さく這いながら手探りでプルートを探します。
手に柔らかく暖かい毛が触れました。
それがプルートのものだとすぐに分かったミッキーはプルートを引っ張りながら、まっすぐ引き返しましたが、ドアの場所がわかりません。
そして、変な匂いのせいでミッキーも鼻と喉が焼けるように熱く痛みだしました。
それは毒ガスだったのです。
腕の中のプルートの呼吸はとても浅く、ミッキーは急いでプルートの口輪に気付き、それを外してやり、壁という壁を押しました。
この中にドアがあるはずだ。
そう信じ、急ぎつつ力強く壁を押しました。
とうとうミッキーの手がしびれはじめ、体が言うことを聞かなくなりました。
その場にどさっと倒れました。
「ごめんよプルート。助けられなかった…」
ミッキーがか細い声でいうと、プルートはミッキーの鼻を舐めました。
そのままミッキーの腕の中に自分の体をうずめました。
ミッキーは残りの力でプルートを抱きしめました。
「君は最高の親友だよ、ずっと…一緒だよ」
プルートは幸せな気持ちになりました。
残りの力で、尻尾をありったけ振りました。
床にあたる尻尾の音を聞き、ミッキーは微笑みました。