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同調率99%の少女(3) - 鎮守府Aの物語

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 そう言って那珂が五月雨たちに説明したことは次の内容だった。
 自分らの周囲を回っている重巡級は様子を見つつ無視する。隣艦隊が戦っている深海凄艦にターゲット変更。隣艦隊が逃げられるように援護する。隣艦隊が無事に逃げはじめたら後追いで自分たちも帰る。帰還中、敵が追いかけてきたり距離を見計らって一斉に雷撃する。

 五月雨は旗艦として那珂の考えを受け入れ、その旨隣艦隊の天龍らに連絡する。天龍もそれに了解し、撤退の意をメンバーに伝えた。

 うろちょろしている重巡級は無視し、前方の戦闘海域に進むことにした那珂たち。ひとまずそれは成功した。重巡級は那珂たちが離れてもその場をウロウロしている。そして隣艦隊と彼女らが戦っている深海凄艦をはっきり目視できる距離まで近づいてきた。
 五月雨は天龍らに自分たちの威嚇射撃の方法を伝え、1匹でも引きつけられたらその隙に逆方向から逃げるよう提案した。それを聞き天龍たちは撤退の準備をし始める。


「狙うならあのちっこい方にしよう。弾薬多い娘誰?」那珂が尋ねた。
「私です。」
 皆各自のスマートウェアで確認して見せ合い、村雨が答えた。
「じゃあ村雨ちゃん、あたしが狙いつけて教えるから、そこめがけて単装砲何回か撃ちこんでね。あと念のために雷撃もしてもらうかもしれないから、心の準備だけしておいて。」
 那珂がそう伝えると村雨は頷き、二人は隣り合って横に並び、軽巡級に狙いを定めた。五十鈴と五月雨は両人の脇にいる。そうしてる間にも、軽巡級は天龍たちに付かず離れずで何かを発射して天龍を攻撃している。彼女らと軽巡級がはっきりと離れるのを待つ。


 軽巡級が方向転換して天龍らから離れたのを那珂は確認した。

「今だよ!村雨ちゃん!あいつの頭の左っかわ狙って!間違って当たっちゃってもいいから!」
 合図とともに村雨が軽巡級めがけて砲撃した。


ドン!ドン!


 当たっちゃってもいいからの言どおり、軽巡級の左側頭部と思われる部分に当たったがやはりカツン!と弾かれた。それに気を引かれた軽巡級は那珂たちのほうに向かって進みつつ、何かを発射してきた。引きつけるのには成功したのだ。
 その隙に五月雨は天龍たちに向けて手で合図をして逃げるよう促した。

 今回は事前の情報もあったため、発射された何かを4人は回避した。軽巡級はその後も連続で発射してきたが那珂たちはいずれもなんとかかわす。

 発射された何かをかわしつつ那珂は村雨に近寄り、村雨に次の攻撃を指示する。
「待って待って村雨ちゃん。あなたの雷撃であの軽巡級を倒すよ、いい?」
「えー!?また私ですか〜?」
 少し怖がっていた村雨は不満を言うが、那珂はそれを聞かない。
「これから教えることはね。時雨ちゃん、夕立ちゃん、村雨ちゃんの艤装でしかできないの!私や五十鈴ちゃん、五月雨ちゃんの艤装では体勢や狙い的に厳しいのよ〜だからもう少しだけ頑張って!」

 那珂は五十鈴と五月雨に通信し、少しの間射撃等しないよう伝える。そしてすかさず村雨に、さきほど夕立にさせたような体勢をするよう指示し、軽巡級を真正面に引きつけるように村雨の背後に立って自身の連装砲で注意をひきつけ始める。軽巡級がまた何かを発射してきたらすぐ避けられるようにしておき、軽巡級が近づくのを待つ。

 村雨が向いている方向、射程方向の直線上に軽巡級が入った。しかしすぐはずれ、蛇行しながら近づいてくるので何度も直線上に入ってくる。那珂は次に直線から外れた時が狙い目だと判断した。
 そして軽巡級が直線上からはずれ、再び村雨の真正面に入ろうとする手前で。

「村雨ちゃん、2本発射して!」
 那珂の合図を受けて、村雨は魚雷を2本発射した。1本は予備として撃たせた。狙い通りに魚雷は進み、村雨の直線上に入ってこようとした軽巡級に1本めが当たった。


ズドドォーーーン!!


 夕立に撃たせた時と同じく、海面にかなり近い浅さで真っすぐ進んだ魚雷は狙いつけやすく、今回も命中した。しかし当たりどころが甘かったのか、魚雷の爆発で軽巡級は宙を舞うように吹っ飛び2本目は空振り。吹っ飛んだことが幸いしてしまったのか、致命傷を与えるには至らなかった。

 空中に投げ出された軽巡級が着水すると、致命傷ではないにしろかなり苦しいのかもがくのみ。そのとき、動けないように見えていたため、五月雨は村雨の雷撃に喜び近寄ろうとする。
「真純ちゃーんやったねー!倒したねー!」


 慌てて那珂が五月雨を制止する。
「ちょっと待って五月雨ちゃん!近寄ったらダメ!そいつまだ動けるんだよ!」
 那珂たちの位置からは軽巡級がもがくのが見えていたが、五月雨はそれが見えていなかった。那珂が懸念した通り、軽巡級は海中に逃げて体勢を取り直そうと動き始めたところだった。

 そのさなか、結果的には当たらなかったが軽巡級は横たわった状態でありつつも五月雨めがけて何かを発射してきた。

ボフン!!


「きゃっ!」


 那珂の警告を受けずに近寄っていたら、命中して大怪我をしていたかもしれない。五月雨は注意を受けてそのまま進むのをやめており、すんでのところでその何かをかわしていた。とはいえバランスを崩して横から海面に倒れる形になっていたので海水を少し飲んでしまっていた。
 ちなみにおりからの雨により、制服はもちろんのことすでに下着までびしょ濡れだったので、今更身体がさらに濡れようがもはや気にするところではなかった。