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同調率99%の少女(3) - 鎮守府Aの物語

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 五月雨がなんとかかわしていたその光景にほっとしつつも、危なっかしい行動した五月雨への呆れとも心配ともとれる感情と、やはりあいつは狙ってきたかという軽い怒りが混じっていくのを那珂は感じていた。その瞬間は本人は気づいていなかったが、艤装がその怒りと心配という人を思う気持ちを検知して、動的性能変化が発生していた。

 砲撃は効かないとわかってはいたが、軽く頭にきていたため那珂は連装砲で砲撃する以外のことを考えていなかった。


ドゴゥ!!ドン!ドン!


その軽巡級めがけて砲撃したとき、普段よりも高出力で発射されたため那珂は気づいた。艤装の本当の力を発揮できたのだと。

 高出力で発射された那珂の連装砲の砲弾はカツン!とは弾かれず、ドン!という鈍い音の直後に軽い爆発を起して軽巡級に命中してダメージを与えることに成功した。
 同時に撃たれた2発めも同じように命中し、軽巡級の目を潰す。
 さらに連装砲を撃ちこむ。いずれも同じように軽巡級の鱗・甲羅のような装甲を突き破って身体に突き刺さるように当たり、内部で爆発を起こす。もはや軽巡級は動けない様子だった。

 それを確認すると、那珂は再び村雨に魚雷を低めに撃つよう指示を出した。トドメをさすのだと村雨は理解する。


「これでトドメよ!」
 撃破予告をしつつ先ほどの撃ち方通り魚雷を発射し……


ズドドオォーーーーン!!!


 那珂の狙いと、村雨の予告どおり魚雷は横わたって動けない軽巡級の身体の大部分を吹き飛ばすように炸裂し、爆発と波しぶきを起こした。

 改めて確認するまでもなく即死である。


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 軽巡級を倒してしまった那珂と村雨のことを天龍は逃げつつ見た。というよりも那珂を見ていた。自分たちが連装砲で何度やっても弾かれてダメージを与えられなかったのに、鎮守府Aの那珂のはなぜ弾かれずに炸裂するように当てることができたのだ?そんな疑問を感じていた。何が違うのかと。

 旗艦はあのぽわんとした雰囲気の五月雨という艦娘だが、実質的にはあの那珂がリーダーだろうとも推測し捉えていた。仲間への的確な指示あってこそのあの撃破なのだろうと。那珂自身は変なテンションと明るさがあるのをこれまで垣間見ていたので、そんな雰囲気とは裏腹にどうもすごそうなやつだと。
 天龍はそんな鎮守府Aの那珂が気になり始めていた。

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 軽巡級を倒し、残すところはあと重巡級2匹となった。しかし鎮守府Aの面々は重巡級の深海凄艦と対峙したことはなく、さすがの那珂でも艤装の本当の力をもってしても倒せるか不安であった。それに今は天候も各自の状態もよろしくない。

 那珂たちも無理せず、素早く撤退することにした。

「あたしたちも撤退しよ!五月雨ちゃん、みんなをまとめて!」と那珂。
「はい。みんな!私達も撤退します!縦一列の並びでお願いします!」

 隣艦隊の天龍たちに続き、那珂たちも護衛艦に至る海路を全速力で戻る。

 帰路につくさなか、その周辺には那珂たちの周囲をうろうろしていた不気味な重巡級のキュイーという鳴き声だけが雨の中かき消されかねない小ささで寂しげに響きわたっていた。