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同調率99%の少女(3) - 鎮守府Aの物語

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--- 5 仲直り



 護衛艦に戻った全員は被害状況を確認した。
 隣の鎮守府の艦隊は次の通り。
 旗艦天龍(小破)、龍田、吹雪(小破間近)、深雪(小破)、白雪(中破)、羽黒(大破)

 鎮守府Aの艦隊は次の通り。
 旗艦五月雨、五十鈴、時雨(中破〜大破)、夕立(小破)、村雨、那珂


 護衛艦の臨時の会議室には天龍、龍田、五月雨、那珂、五十鈴が集まった。全員あらゆる艤装のパーツは帰還後のメンテのため外して身軽になっている。隣の鎮守府側としては短髪の少女がいる。角のような艤装の部位と眼帯型のスマートウェアを外しているため印象が異なるが、間違いなく最初に五月雨を恫喝したあの天龍である。
 龍田も独特な艤装、王冠型の部位を外しているため、装着者本人の印象がストレートに伝わってくる。背格好は天龍より低く、鎮守府Aの中学生のメンツで一番低身長の五月雨とほぼ同じだ。身長の低い高校生は普通にいるだろうから、自分らと同じ、天龍と近い年代の学生かもしれないと那珂と五十鈴は想像した。彼女に関してはそれくらいしか判別できない。

「被害状況はこの通りか。うちらで戦えるのはあたし、天龍と龍田の2人だ。他のやつらはビビっちまってダメだ。もう戦闘に参加させらんねぇ。」
「私達は、那珂、五十鈴、ます……村雨、そして私五月雨の4人です。」

「ちょうど6人か。」と天龍。
「大本営が取り決めた艦娘の艦隊の推奨構成人数ピッタリね。」
 教わったことを思い出すように五十鈴も言う。

 天龍は頭を掻きながら五月雨たちに近寄り、口を開いた。
「あのよー……なんつーか。あんたらの支援がなかったら死ぬかもしれない轟沈が待ってたわ。天候のことまで頭になかったしよ。助かったぜ。」
 五月雨たちからは怖そうに見えた彼女が、鎮守府Aの面々を見直したのか素直に謝ってきた。わずかに照れを見せるその様子を見た那珂と五十鈴は、天龍が間違いなく自分らと同じ学年だと再認識した。

「ちょうど6人だしよ、その6人で臨時で艦隊組まねぇか?あとはデカブツの2匹だけだろ?こっちには軽巡が4人もいるんだ。ま、なんとかなるだろ?」
 となりにいる龍田も黙ってコクリと頷いた。

 五月雨は那珂と五十鈴に視線を送り、どうしようかと目で訴えかけた。
「わたしは賛成よ。」
「じゃあ……はい! 私も賛成です。」
 五十鈴が賛成の意を示したので五月雨も賛成する。そして那珂も笑顔で天龍と龍田に向かって意を示した。

「うん、賛成かな!」

「改めてよろしくな。あたしは○○鎮守府、軽巡洋艦艦娘の天龍だ。○○鎮守府の今回の旗艦だ。」
 天龍が丁寧に挨拶をしたのでこれまで黙っていた龍田も挨拶をする。
「……同じく。私は……軽巡洋艦艦娘の……龍田です。」
 龍田はものすごくとろっとしたしゃべり方で、ぼそぼそと自己紹介したので那珂たちはあまりよく聞き取れなかったが、とりあえずよしとしておいた。

「私は鎮守府Aで秘書艦やってます駆逐艦、五月雨です。今回の旗艦です。よろしくお願いします!」
「同じく、鎮守府Aの軽巡洋艦、五十鈴よ。よろしく。」
「同じくー。鎮守府Aの軽巡那珂でーす!」

 残りの深海凄艦撃退に向けて、臨時で2つの鎮守府の艦娘たちによる艦隊が組まれた。

--

「ところでさ、臨時で組むのはいいんだけど旗艦誰がするの?」
 気になっていたことを五十鈴は全員に尋ねた。その場にいた全員が考えこむ。

 ふと天龍が提案した。
「あたしはそっちの那珂ってやつがいいと思う。さっきの戦場でチラリとしかみてねーけどよ、あんた実は結構頭切れるだろ?はっきりいってそっちの五月雨よりも旗艦に向いてると思うぞ?」
 ズバリ言われて五月雨はショックを受けたが、那珂のほうがすごいのは事実だったのでうつむきつつもゴメンナサイと小さな声で謝った。

「いやいや。別にあんた自身を責めてねぇよ。俺は冷静に見てそう思ったから言っただけだし。なぁ龍田?」
 同意を求められて龍田は頷いた。隣艦隊の天龍は歯に衣着せぬ言い方をする人物らしいと、那珂たちは理解する。

「でも、私も那珂さんが旗艦がいいと思います。私、人をまとめあげるのやっぱムリです……。」
「仕方ないわよ。五月雨は優しすぎるしのんびり屋だもの。それに本格的な戦闘の経験が私達にはまだまだ足りない。」
五十鈴が慰める。

「あのさー、あたし五月雨ちゃんや五十鈴ちゃんよりも艦娘のキャリア短いんだけどー、そこ忘れてないよね〜?」
 そういやそうだった!と五十鈴と五月雨はハッと口に手を当てて気づいた。


 結局その場にいた4人の賛同を得たので、那珂は仕方ないなーなどと口元を緩ませて言いつつも旗艦をする意思を示した。
 こうして、臨時の艦隊が編成された。


 その日は雨が上がるまで待つことになった。その間各自艤装のメンテナンスを同行している技師に頼んだり、雨で濡れた衣服を乾かすなどして身の回りを整えたり、休憩を取った。

 雨があがったのは夜となった。