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同調率99%の少女(3) - 鎮守府Aの物語

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 しかし那珂だけは別のことも思っていた。発射してくる"何か"が体液のようなものだとすると、いくら巨大な生物であっても、連続で放出するのには限界があるはず。一度に大量の体液を放出しているから、そのうち弾切れならぬ体液切れを起こすはず、と。

 那珂の考えがあたっていたのか、最初のうちは短い間隔で発射していた"何か"は、第7波、第8波、第9波、第10波と連続で発射されていくうちに、その間隔が長くなってきていることがわかった。すかさず那珂は3人に指示を出す。

「みんな!少し距離を開けて魚雷を撃ちこんで!急げば次の攻撃が来るまでに間に合うと思うからぁー!」

 その意図はわからないが、那珂が言うことなら確かだろうと五十鈴たちは信頼した。そのためその指示が伝わってすぐ、3人とも普通の魚雷の撃ち方に必要な距離まで後退し、魚雷を撃つ準備をし始める。

「「「了解!」」」

 そして第11波となる複数の"何か"が発射された。それが3人のところまで届くかなり前、五十鈴たちは一斉に魚雷を双頭の重巡級めがけて発射していた。
 那珂は双頭の重巡級が動かないよう、あえて探照灯をその場で上下左右にぐるぐる動かして自分に注意を引きつけて、魚雷が到達すると思われるギリギリまでその場にとどまり、頃合いを見計らって急速に後退した。
 そして……


ズド!ズドドオォーーーーン!!!


 3人が発射した魚雷は双頭の重巡級に全弾命中した。尾ひれ、脇腹、片方の頭と、破裂により原型をとどめないほどえぐったり、尾ひれ付近に至っては完全に吹き飛ばしていた。

「やったぁ!気持ち良いくらいめいちゅー!みんな!あとすこしだよ〜!」
 探照灯を持っていない方の腕でガッツポーズをして喜び叫ぶ那珂。

 しかしそのとき、すでに瀕死と思われたが、双頭の重巡級は最期の力を振り絞ったのか半分潜りかけていた半身をさらに沈ませ完全に海中に潜り、速度をあげて前方にいる那珂めがけて急浮上した。

ザバアァァア!!!


 海面に勢い良く飛び出したので、上にいた那珂はポーン!とボールを投げたかのように空中に放り出された。

「ひゃあああ!!!」


「那珂!!」
「那珂さん!!」
「那珂さん!!」


 3人が那珂の名を叫んだ。空中に投げ出された那珂は約2回転し、持っていた探照灯の照射がその回転に合わせて辺り一面に当たる。少し離れた位置で戦っていた天龍たちはその意外なところからの照射により、那珂の身に何かがあったことを察知した。

 空中に放り出された那珂を食らうべく破壊されていないほうの頭部で口を開けて真下で待ち構える双頭の重巡級。そのまま那珂が落ちれば、誰の目にも死亡という、最悪の事態が待っている……はずだった。


 しかし那珂よりも先に、双頭の重巡級めがけて落ちてきたものが2つあった。
 一つは想定されたよりも低速な魚雷(の元となるエネルギー弾)と、もう一つはその真上に続く海水の水滴である。那珂は探照灯をその時は真上に向けて持っていたため、他のメンバーは落とされたものを誰も確認できなかった。海水の水滴が魚雷のエネルギー弾に浸透し、急速に縮みだしてスピードを上げて落ちていく。

 そして双頭の重巡級は大きく開けたその口で、那珂ではなくその落ちてきた魚雷をまっさきに飲み込んだ。そして……


ゴアッ!!!
……バァァーーーン!!!


 那珂以外の3人が確認したのは、海中・海上で見るよりも大規模で激しい爆発と爆炎で、その直後飛び散った双頭の重巡級"だった"肉片。爆炎の光で辺りが一瞬照らされたことで全員が目の当たりにした。

 3人と、離れたところで戦っていた天龍たちは何が起きたかわからなかったが、五十鈴はすぐに察しがついた。那珂がまたあの奇抜な撃ち方をしたのだと。普通の艦娘ではまず思いつかない、やらない。それをやってのけるのは那珂だけ。
 五十鈴はやれやれという呆れを込めて口の端を上げて苦笑いをした。表情はそうだったが、心のなかでは彼女が決めた勝利によりにこやかな笑顔をしていた。