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同調率99%の少女(3) - 鎮守府Aの物語

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 3人が来たのは甲板だった。護衛艦には少なからず海上自衛隊の隊員も乗り込んでいるため、見つからないように甲板に出て、人にみつからなそうな設備の陰まで来て座り込んだ。


プシュッ


「さー、あたしたちの大勝利に、かんぱい!」
「かんぱーーい!」
「……乾杯」
天龍が乾杯の音頭を取り、那珂と五十鈴がそれにノる。

「あら、これ結構イケるわね。私はこの味とアルコールの弱さなら好きかも。」
「あたしも前にダチとこれ飲んでさ、気に入ったから今回こっそり持ってきちまったんだ。」
 五十鈴は初めて飲むアルコール飲料を気に入った様子を見せ、天龍は持ってきた経緯を口にする。ただ、一人だけ違う様子を見せたのは那珂だ。

「うぎぃ……あたしは苦手だわこれ〜。飲めないこともないけど……お酒ってこんな味なのぉ?」
「ハハッ。こんなの大人に言わせるとお酒に入らないんだと。」
「CMとかで見たことはあるけど……進んで飲みたいとは思わないなぁ。……あ、これ果肉?ちょっといいかも。」
「まぁせっかく開けたんたし、この1本みんなで飲みきろうぜ。」

 将来アルコールを飲む大人になるのに一抹の不安を覚える那珂だったが、ジュースみたいなお酒ということでまったく嫌でもなかったので、天龍の言うとおりせっかく開けて分け合った1本を飲み切ることにした。

 天龍と那珂、そして五十鈴は静かな海の潮風に当たりながらチビチビと飲み、それぞれの鎮守府のことや自身の学校のことなどを語り合う。

「へぇ〜あんたらの鎮守府ってまだ出来て4ヶ月くらいしか経ってないのか。うちはできてから4〜5年経つっていうぜ。」
「そちらって艦娘何人いるの?」
気になったことを那珂は聞いた。
「あんまそのあたりのこと提督や総務の人話してくれねーけど、大体60〜70人はいるんじゃないか。鎮守府のいたるところで見るし、訓練も一緒にするし。さすがに全員は見たことねーや。そっちは?」
「うちはまだ9人よ。ここに来てる6人と、あとは鎮守府に待機してる3人。」
 天龍からの質問返しに答える五十鈴。

「天龍ちゃんのところって大きいんだね〜。ね?仲良い艦娘って何人くらいいる?」
 那珂も天龍に質問をする。
「あ?うーん、龍田とあと駆逐艦の何人かくらいだな。ぶっちゃけ艦娘同士で仲良くするって、プライベートでも知ってない限りはしないのが普通らしいぜ? 駆逐艦のやつらも、あたしの行ってた中学のやつらで一応顔見知りだし。」

 五十鈴はさきほど天龍が何気なく言った龍田のことを聞いてみた。
「ねぇ、龍田さんってさっき従妹って言ってたけど、詳しく聞かせてくれない?」
「あ〜。龍田もあたしが行ってた中学校の生徒で、今回の吹雪たちの同級生なんだ。けど一人だけ軽巡洋艦担当。さすがあたしの従妹だけあって素質あると思ってるよ。」

「へぇ〜従姉妹同士で艦娘か〜。なんか縁あるんじゃない?」
「さ〜ね。あたしあまりそういうの気にしないんだけど、龍田とは普段から仲良くしてるし、一緒で良かったと思ってるよ。」

「ね?ね? 天龍ちゃんたちの本名教えて!」
 那珂は天龍たちともっと仲良くしようと思って何気なく聞いてみた。天龍は快くそれに答え、従妹の龍田の本名まで口にする。さらには吹雪たちの本名を言い出しかけたが、全員の本名を聞くのはプライバシーの問題もあるため、さすがの那珂もその先は丁重にことわりを入れて聞くのをやめておいた。

「ま〜ガチで仲良いやつっつったらあたしは今回参加してるメンバーと、残りの吹雪型の担当になった中房の娘たちくらいだなぁ。他は……ま、仕事の付き合いってやつ? なんか大人っぽい発言じゃね、今の!?」
「アハハ!なんかそんな感じだよね〜。」
天龍が最後におどけて発言すると、那珂はそれにノった。


「うちはそう考えると、全くの知らない者同士だけど、比較的みんな仲良くしてるわね。提督がそうしたがりな人なようだし。」
「それは言えてるかもね〜。」
五十鈴の発言に那珂が相槌を打った。

「まー、9人じゃなぁ。そっちも早く人増えるといいな。」と天龍。
「増えてもあの提督が人回しきれるかどうか怪しいけどね……」
「あはは……それは言えてるかも〜」
皮肉をいうように五十鈴が言う。那珂もノる。

「人少ないから今は秘書艦の五月雨ちゃんと、みんなでわけあって仕事したりしてるよね。」
 何気なく今の状況の一片を語る那珂。
「へ!?そっちの鎮守府じゃ秘書艦の艦娘以外にも鎮守府の仕事させてんのか!!?」
「だって人少ないもの。」
 那珂の答えたことを反芻するかのように同じ言葉を使って答える五十鈴。
「いやまあそりゃそうだろうけどさ、どんだけダメな提督なんだよ……」

 呆れるように言う天龍に、那珂と五十鈴は顔を見合わせ、同じようなことを言った。

「「あまり、よそにうちの提督のこと変に言われるのはちょっとね……」」

「あ……わりぃ。うちじゃあ平気で提督や大本営のことあれやこれや言ってるやつ多いし、そういう雰囲気あるからつい。鎮守府の運用って、提督の性格にすごく左右されるっていうしな。あんたらがかばうくらいだ。そっちの提督は良いやつなんだろうな。」


「良い人っていうか……なんだろうね、五十鈴ちゃん?」
 急に那珂から振られて焦りを隠せない五十鈴。
「へ!?あ、あぁ〜え〜っと……ってなんで私が答えなきゃいけないのよ! あなた答えなさいよ!」
「もー、五十鈴ちゃんは恥ずかしがり屋だなぁ〜 ……ぼそっ(提督のことになると)」
「なんか言った?」
なんであんたが私の気持ち知ってるのよと焦りや憤りの混ざった睨みをギロリと那珂にぶつける五十鈴。カマかけて言ってみただけなのに当たりかぁ〜と内心気づいた那珂。全然恐ろしくはないがわざと焦る仕草を見せておいた。

「あ、あはは〜 ま〜頼りなさげってのはあるけどね〜。真面目だけど気さくで、あたしたちのことよく見てくれている人かなぁ。けど人さばいたりするの苦手そうだから、助けたくなっちゃう。生徒会長やってるあたしの経験が役に立てればな〜って思って、提督や五月雨ちゃんのこと助けてあげようと思ってるの。結構好きで気に入っているんだ、今の立ち位置。」
「あんたは素直に話せて羨ましいわ……」
軽快に答える那珂を密かに羨ましがる五十鈴だった。


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 五十鈴は艦娘自体のことを聞いてみた。
「ねぇ。そちらの鎮守府に五十鈴や那珂を担当してる人っているのかしら?」
「ん?えーっと……すまねぇ。あたし知らねぇや。さっきも言ったけど、プライベートでも知り合いじゃない限りはうちの鎮守府じゃあ、あまり仲良くしないし。訓練とかで五十鈴や那珂って人と一緒になったことないけど、60〜70人もいりゃあ、多分いるんじゃないかな?そっちには天龍っているのか?」
「いえ。うちにはまだ天龍は来てないわ。」

「そっか。天龍ってさ、艤装面白いんだぜ? 眼帯型のスマートウェアと、センサーだか通信のアンテナがついた角みたいな機械と、剣が配られるんだ。眼帯や角はよくわかんねぇけどかっこいいからいいし、剣はさ、接近戦だぜ接近戦!あたし天龍になれてすっげぇ楽しいもん。」