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同調率99%の少女(3) - 鎮守府Aの物語

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 隣艦隊の6人が護衛艦から身を乗り出して、海面へと降りていく様子を甲板で見届ける6人。艤装と同調を始めて海上に出た隣艦隊の6人はほどなくしてスピードに乗りあっというまに護衛艦から離れていく。大体100〜110mくらい離れたタイミングで、那珂たちも艤装の同調を開始し護衛艦から降りて海上へと出て行った。

 何もない海上で那珂たちからは隣艦隊の6人はかろうじて黒い点で目視出来る程度。やや曇ってきている。
「なんだか雨降りそうですね。天気の悪い日の戦いって初めて……」
 と五月雨が心配を口にする。那珂や五十鈴たちもそれに頷いた。


 目的のポイントに隣艦隊の6人が到着した模様。深海凄艦が出てきたのか、戦闘が始まった様子が伺えた。敵の集団は駆逐艦級x3、軽巡級x2、重巡級x1と、隣艦隊の戦力と同種類(実際には様々な生物の寄せ集めなのであくまで想定される戦闘能力の種類による分類)だ。

 五月雨は全員に合図し、予定通り3人ずつの分隊に分かれることにした。
 自信家でプライドの高そうな隣艦隊の天龍のことである。もし支援と称して目的のポイントでの戦闘に加わりに行ったら怒る可能性がある。そうすることで隣艦隊の和を乱す可能性があるので、那珂は五月雨に気になったとしても絶対に前に出るなと忠告して分かれた。

 隣艦隊の戦闘開始から十数分経った。まだ終わっていない。そこで隣艦隊の天龍から通信が入った。自分たちの艦隊の羽黒が攻撃を受け、艤装が大破したという。戦線離脱させるために護衛として迎えに来て欲しいとのこと。
 通信を受けた旗艦である五月雨は那珂にもその通信を転送し、どちらの分隊が行くかを相談した。那珂は五月雨らに行ってくれとお願いとも取れる、実質的には指示を出して五月雨たちの方の分隊を隣艦隊の側に行かせた。

 五十鈴、五月雨、村雨は距離を詰めて隣艦隊の戦闘海域まで近づく。向こうからは吹雪に連れられて羽黒が近寄ってきた。隣艦隊の羽黒は聞くところによると、今回が初出撃で練度が一番低い艦娘とのこと。

「すみません鎮守府Aの五月雨さん、うちの羽黒の護衛よろしくお願いします。」
 そう一言お願いして、隣艦隊の吹雪は戦線に戻っていった。

 羽黒は艤装が大破し、同調率が著しく下がっていて海上で浮かぶのがやっとの状態だった。そのため五月雨と村雨は彼女を両脇から支えて浮かぶのを手伝う。
 艤装の同調が安定していれば装着者の腕力や耐久力が向上するので、100kg程度の重さの物であれば、二人がかりでなら問題なく支え持って海上を移動することができる。

 一人欠けた状態で隣艦隊がやりきれるかどうか、五月雨は五十鈴に不安をもらす。彼女らが吹雪から聞いた戦況だと、出撃前の嫌味ではないが後方支援でもっと近づいて援護しなければ多分厳しいだろうと五十鈴は想像した内容を語った。


 羽黒の護衛と護衛艦への連れ戻しは村雨一人が引き受けることになり、五十鈴と五月雨は那珂たちと分かれたポイントまで戻ってきた。那珂たちはあれから隣艦隊のとの距離をやや詰めている。
 五月雨は那珂たちに通信し羽黒を護衛艦まで連れ戻したことと戦況を伝えると、那珂は後方支援のためもう少しだけ距離を詰めようと持ちかけてきた。五十鈴と五月雨もそれに賛成して左右横幅を保ったまま隣艦隊に近づく5人。