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同調率99%の少女(3) - 鎮守府Aの物語

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 近づいていったその時、隣艦隊の5人の後方、鎮守府Aの5人の前方から新たに4体の深海凄艦が海中から浮上してきた。それをまっさきに確認した五十鈴と五月雨。

「背後から深海凄艦!?隣の鎮守府の人たち気づいてないわ!行くわよ、五月雨!」
「はい!頑張ります!」
 五十鈴が五月雨に合図する。一方離れた位置にいる那珂たちも深海凄艦に気づき、時雨と夕立に合図をした。
「あいつらをやっつけるよ。二人とも、準備はいいかな?」
「はい!やれるだけやります!」
「はーい!ワクワクするね!」
 時雨と夕立は違う反応を見せるが、戦いに対する意欲は同じだ。

 まだ村雨が戻ってきてない五十鈴では戦力的に不利と判断し、那珂は自分らが隣艦隊と距離を詰めて新手の深海凄艦と隣艦隊の間に入るようにすると指示を出す。時雨と夕立はそれに頷き、3人は速度を上げて進む。
 那珂からその旨通信を受けた五月雨は了解し、五十鈴に話して深海凄艦の集団の真後ろに来るように針路を横に向けつつ移動することにした。そのうち後方から村雨が戻ってきたのを確認した五月雨と五十鈴は3人に戻ったところで、改めて速度を上げて深海凄艦、そして那珂たちとの距離を詰めていく。

 五月雨から通信を受けていた隣艦隊の天龍は、自分らの戦況が好転していないからそちらは任せるとし、新手の深海凄艦の撃破は鎮守府Aの6人の任務とするように指示を出していた。



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 新手の深海凄艦は重巡級x1, 軽巡級x3と、数は少ないが那珂たちにとってはやや重量的に上の相手である。いずれも各部位が巨大化しており魚やカニの奇形、砲の発射管のようなものが融合されている個体もいる。


 深海凄艦はちょっとやそっとの銃撃や爆発を怖がらないタイプが多い。そして巨体に似合わず異常に小回りが効く動きをするため、普通の護衛艦の射撃や軍艦からの砲雷撃では当たらない。そして同調をした上での砲雷撃しか効果は望めない。同じように小回りが効く艦娘の武装でやっと対応ができる。しかし護衛艦などの普通の砲撃よりも艦娘の扱う砲弾や魚雷は小さく(圧縮技術により同程度の威力になるとはいえ)威力は低いため、数人の艦娘でそれ以下の数の深海凄艦を撃破するのが常となっている。

 深海凄艦の行動パターンは大体が体当たりや体液を放出して艦娘の服や艤装を溶かしたり破壊してくる。鎮守府Aのメンツも隣艦隊の者たちもまだ遭遇したことはないが、激戦の海域では人型の個体もかなり前から確認されてきている。人型は、どこかから奪ってきたとされる銃や砲筒を持っている。見た目がただ人に近いというだけで、明確な理性はなく人語をしゃべらないので紛らわしい。見た目を気にして人型の個体への攻撃をためらう艦娘も多い。


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 新手の4体を挟み撃ちの形で囲んで距離を詰めていく6人。横から大きく回りこんでいたので那珂たちはすでに深海凄艦に気づかれていた。那珂たちめがけて4体の深海凄艦が泳いで突撃していく。それをまずは単装砲、連装砲で威嚇射撃するように打ち込む那珂、時雨、夕立。
 向かいから進んできた五月雨たちは威嚇射撃の邪魔にならないよう、スピードを落として一定の距離を保つ。

「個体の戦力的にあたしたちのほうが不利だから集中して各個撃破狙うよ、いい?」と那珂は時雨たちに指示を出した。
 五月雨たちに対しては通信で自分らの行動方針を伝えるのみ。
「……ということだから、そっちも無理しないで確実な撃破を狙ってね。五月雨ちゃんの判断に任せるよ?五十鈴ちゃんは彼女の判断を助けてあげてね。」
「わかったわ。任せて。」と五十鈴。

 4体の深海凄艦は那珂たちのほうに向いていて五月雨たちのほうにはまだ気づいてない。五月雨は自分たちはどう行動するか悩んだ。未だ少ないが重要な経験を思い出し落ち着いて考えた結果、五十鈴のアドバイスもあり、那珂たちと同様に各個撃破を狙うことにした。まずは軽巡級。五月雨たちも1体の軽巡級めがけて威嚇射撃を行ない注意を引きつけた。
 その間、那珂たちはすでに軽巡級と戦っていた。