帰る場所
辰「今帰ったぜよ」
桂「おぉ、戻ったか」
高「お前もなかなか強運だよな」
辰「なんじゃ～折角勝ってきたのにその言い方は酷いぜよ」
桂「無事に帰って来たならそれで良い」
辰「まあ…全員無事とまではいかなかったきに…」
高「…んな顔してんな。士気に関わる」
桂「高杉、お前という奴は…！」
辰「ええんじゃヅラ。わしとてわかちゅう。それに、高杉も本心では…」
高「うるせぇよ」
桂「高杉、少し落ち着かんか」
辰「なんじゃ、おまんどうしたぜよ？」
高「別に俺はいつも通りだ」
桂「嘘をつくな。数刻前からずっとイラついておるだろう」
辰「何があったんじゃ？…そういえば、銀時はどこじゃ？」
高「………」
桂「………」
辰「おい…おまんら……冗談はやめとき」
桂「いや、そうではない…。ただ…予定の時間になっても戻ってこないのだ」
辰「なんじゃと…！？たしか、一番に帰還してくる予定じゃったはず…。まさか…っ」
高「あいつはこんな所で野たれ死んだりしねぇ」
桂「だが誰一人戻ってこないのはさすがにおかしい」
高「それ以上言うと許さねえぞ」
辰「落ち着け高杉。今喧嘩しても仕方ないきに、それよりも探しに行っ…」
辰馬が言い切る前に慌ただしい足音が響いた
「…っはあ…っ、桂さん…高杉さん…、坂本さん…！こちらに居ましたか…っ」
桂「ん？お前は銀時の隊の…」
辰「今戻ったんか？」
「はい…っ、生きてるものは全て戻りました…っ」
桂「そうか、ご苦労であったな、それで銀…」
「ですが…！！！！坂田さんが、まだ一人で殿を務めています…っ、俺たちに…生きて逃げろと…っ！」
桂・辰馬「なん(だ)じゃと！？」
高「あの馬鹿…っ！」
銀時の話を聞いた途端走り出してしまった高杉
桂「おい待て高杉！！！」
辰「待たんか…！！！」
桂「くそ…っ」
「すみません、俺ら、坂田さんの足手まといにしかならなくて…っ、でもやっぱり最期まで一緒に戦うべきでした…！！！！」
辰「いや、銀時の判断は正しい。おんしらがこうして無事戻ってきてくれたから銀時を助けに行ける。大丈夫じゃ、あとはわしらに任せとき」
「でも…！！！！！！」
桂「俺らが出る間ここを守ってくれ、頼んだぞ」
「は…い…っ、」
辰「行くぞ、まずは高杉を止めんと、あのままじゃ冷静な判断なんぞできん」
桂「ああ…っ」
最後に別れた場所を聞いた二人は高杉を追いかけるように走り出した。
高「あの馬鹿…っ、何考えてやがんだ…、なんでいつも自分一人で突っ込んでいくんだ…っ」
桂「高杉…！」
高「ふざけるなよ…っ、俺たちは…仲間だろ…」
辰「止まるんじゃ…！」
高「銀時……っ」
辰「止まれと…言ってるじゃろう…が！！！！！！」
ガシッと高杉の腕をつかんだのは辰馬だった
高「！？…離せ！急がねえと！！！」
桂「落ち着け！」
高「急がねえと銀時が…！！！」
辰「晋助！！！！！」
高「！？」
ドスッ……
辰馬が思いっきり高杉の頬を殴った
高「な……」
辰「落ち着いて話を聞かんか！おまんは銀時の事となるとすぐ頭に血が上ってしまうきに、こげん冷静さを失ったままじゃとおまん死ぬぜよ」
桂「坂本…」
辰「おまんの気持ちはわかちゅう。銀時を思うなら尚更冷静にならんか！このドアホ！」
本気で怒鳴る辰馬の姿を初めて見たかもしれない…
高杉はおろか、桂まで固まっている。
高「…悪かった」
辰「分かればええ」
怒鳴っていたのが嘘のように次の話に切り替わり
辰「銀時が敵にやられるとはわしも思っちょらん。おそらくどこかで倒れてるんじゃろ。場所は多分…この森じゃ」
地図を見せながら簡潔に説明する。
桂「お前、走りながらここまで割り出していたのか？」
辰「時間がないきに。簡単にじゃがな」
やはり辰馬は頭が切れる。そんな辰馬の次の言葉に耳を傾ける
辰「とにかく今は銀時を見つけることが最優先じゃ。3人で手分けして探すぜよ」
高「わかった」
辰「じゃが敵が居るとも限らん。くれぐれも注意するんじゃ。ほいで、これを渡しておく」
桂「花火…？」
辰「そうじゃ、紐を引けば打ちあがる。銀時を見つけ次第上げて知らせるんじゃ。…敵に場所を知られるかもしれんが、おまんら、負けんじゃろ？」
確信を得ている目で二人を見る
桂「当たり前だ」
高「分かりきったこと聞くな。…行くぞ」
今度こそ3人で銀時を探しに走り出した――――――。