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機動戦士ガンダムRSD 第7話 混迷の大地

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「ずいぶん待たせた挙句にもうちょっと待ってだもんな」
 シグマン少佐は、我ながらひどいことをしていると思っていた。
「でも最低限のことは、言ってくれたからまだ待ってあげる」
 ハイマン曹長は、シグマン少佐を許した。
「ありがとう」
 シグマン少佐は、ハイマン曹長に感謝した。
「その言葉ももう少し遅かったら許さなかったんだから」
 ハイマン曹長は、シグマン少佐にギリギリであったことを言った。
「ねえ、シグマン」
「うん?」
 ハイマン曹長の呼びにシグマン少佐が返事した。
「私、人を好きになるという気持ちがどういうものなのか初めてちゃんと理解できた気がします」
 ハイマン曹長は、自分の心情を語った。
「そっか」
 シグマン少佐は、自分のことのように喜んだ。
「うん」
 ハイマン曹長も喜んでいた。
2人は、しばらく抱きしめあった。
「今日は、もう少し一緒にいていいですか?」
 ハイマン曹長は、このまま離れるのが忍びなかった。
「もちろんだ」
 シグマン少佐は、即答した。

              ※

 ケルベスは、マハルの邸宅の地下にある幾つものモニターで他のロゴスメンバーと会話をしていた。
コロニー側では、グリーン・ノア1へのテロ攻撃を受けて同時株安が起きていた。
それは、ロゴスメンバーも同じだった。
「やれやれ、やはりだいぶやられたな」
 ロゴスメンバーの1人がぼやいた。
「ミンスリー社が倒産してしまったよ」
 ロゴスメンバーの1人が会社の倒産をぼやいた。
この企業は、コロニーにある会社の中で鉄鋼業においてトップ10に入る優秀な企業だった。
そのためこの会社の倒産は、軍事面においてとても痛手だった。
「あんな古くさい会社がなくなったところで何も変わりは、しませんよ」
 しかしケルベスは、危機感を持っていなかった。

              ※

 ア・バオア・クーのリクリエーションルームではモーリス少尉、エリオット少尉とフリック少尉がη艦隊の中で一番人気の女性パイロットを決めていた。
エリオット少尉は、ミサキ中尉を挙げた。
「さすがエリオット。
分かってるね」
 それにモリース少尉がうなずいた。
「うん、きれいでデスクワークもできてその上運動も出来て皆に公平で優しいしまさに才色兼備って感じじゃないかな」
 エリオット少尉は、ミサキ中尉を挙げた理由を言った。
「そうか、なるほど。
そういわれてみればそうだな」
 半信半疑だったフリック少尉もその意見を聞いて納得した。
「だろ?
だからうちの艦隊で一番の人気なのは、ミサキ中尉だと思うぞ」
 エリオット少尉は、力説した。
2人は、真剣に聞いていた。

              ※

「オーブ軍の動きは、早いぞ。
奴らめ、アメノハシラの崩壊の責任を我々に着せて反コロニー感情をあおっている」
 ロゴスメンバーの1人がオーブ連合首長国の動きを言った。
「皆さんのお手元にももう届くと思いますが。
第541遊撃艦隊がたいそう面白いものを送ってきてくれました」
 ケルベスは、ロゴスメンバーに第541遊撃艦隊が送ってきたデータを送った。
それには、アメノハシラからナスカ級が出航する場面などが映っていた。
「ん?」
「これは?」
「おいおいなんだ?」
 皆は、最初動揺して何が何だか分からなかった。
「軍事協力か?」
 うち1人が認識できた。
「やれやれ結局そういうことか」
 1人がやっと状況をのみこめた。
「思いもかけぬ最高のカードです。
これを許せる人間などこの世の何処にも居は、しない。
そしてそれは、この上なく強き我等の絆となるでしょう。
『今度こそ奴等の全てに死を』です。
青き清浄なる世界の為にね」
 ケルベスは、そういうとコーディネイター絶滅への記念すべき1ページとしてワインで皆と乾杯した。

               ※

 リーンホースJr.のリクリエーションルームでは、アンディー大尉とキリー中尉がどれくらい食べられるかを話していた。
「キリーだったら頭から人を丸かじりできるな」
 アンディー大尉は、冗談半分に言った。
「そうそう、丸のみ。
ってそんなに食べられないってば」
 キリー中尉がすかさず突っ込みを入れた。
「その前に食べるところから否定しろよ」
 アンディー大尉は、突っ込み部分が違うと突っ込んだ。
キリー中尉は、笑ってごまかしアンディー大尉はため息をついた。
(びっくりしたよ、全く。
キリーって案外大食いなんだな)
 アンディー大尉は、会話内容を思い出しながらそんなことを思った。

               ※

 ブリッジでは、マーカー艦長が窓から外を見ていた。
「やはり駄目です。
Nジャマーが濃すぎて今は、レーザー通信も何も使えません」
 ヘルマン中尉がサイジョウ元帥に報告した。
「そうか、すまない」
 サイジョウ元帥は、残念そうに言った。
「いえ」
 ヘルマン中尉に謝られる理由は、なかった。
突然雨が止み隙間雲から光芒がさした。

               ※

 ミネルバではレイ少尉、メイリン曹長とルナマリア少尉がデッキにある射撃訓練所で射撃訓練を始めた。

               ※

「各艦の各部のチェックが済み次第トリントン基地へ向かいます」
 マーカー艦長がサイジョウ元帥に報告した。

               ※

 ア・バオア・クーにてクーパー中尉たちは、一時帰宅が許され帰路に就いていた。
その時廊下で楽器の音が鳴った。
(艦隊の出航を知らせるラッパだ。
あれを聞くと宇宙へ出るという気持ちになるんだよな。
もうちょっと聞きたいけど帰るか)
 クーパー中尉は、しばしば立ち止まってしんみりしたかったが帰ることにした。
「こんにちは」
 そこにミケイトが敬礼してきた。
「ああ、ミサキ中尉」
 クーパー中尉も敬礼した。
「何してるの?」
 ケイト中尉がクーパー中尉に質問した。
「別に何も。
これから帰ろうとしてたところ」
 クーパー中尉は、なぜかラッパの音を聴いていたことを伏せた。
「そうなんだ」
 ケイト中尉は、まさかクーパー中尉が隠し事をしているとは思っても見ておらずそっけなく答えた。
「そうなんだよ」
 クーパー中尉もそっけなく強調した。
「ケイトは、何をしてるんだ?」
 クーパー中尉は、自分の話題からケイト中尉の話題に移した。
「えっとね、私もクーパー中尉と同じです」
 ケイト中尉が答えた。
「同じか。
ケイト中尉は、休暇中に何か予定があるのか?」
 2人は、帰りながら世間話をした。

               ※

 ミネルバの廊下をシン中尉が歩いているとデッキから発砲音が聞こえた。
見ると外にある射撃訓練所でルナマリア少尉たちが射撃訓練をしていた。
 ルナマリア少尉は、的を正確に狙っているつもりなのに弾が散りなかなか思ったところに命中しなかった。
左を見るとレイ少尉が心臓部と頭部の中心をかなり正確に撃っていた。
それに不満を持っていると不意に背後に人の気配がして振り返った。
シン中尉が腕を組んで立っていた。
「あら?」
 ルナマリア少尉は、消音用のヘッドホンを取った。