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緑と傍らの鷹

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 本来ならば見えないものが見えるPG。
 パスワードを入力し、デスクトップから21.5型の大き目の画面に表示されたものは一年前に行われたある中学の練習試合のデータ。それらは全て、ともすればプライベートに近い情報の塊であるから厳重に保管している。
 とりあえず今はその練習試合を全て確認するのではない。
第一非常に小規模な試合だったので同輩やその他の伝手を借りてもこの映像自体は残っていないだろう。
 ただ、当時自分が書いた記録が残る、ある一文を見たかった。
……○○中学。高さは平均だがフリースローライン以降外側からのミドルシュートを得意とする選手が揃う。C、PF、SF、は先述通り長身ではないがペイントエリアでの位置取りが巧く、チーム全体の持続力もある。
スコアラーはSFの某、
二年生のPGの視野が若干広い。
この末尾の一文を確認したかった。
ほんの小さな破片とも言える切っ掛けから桃井の脳裏に当時が甦る
……一年前。先輩のマネージャーに従い○○中学の練習試合を見に行った。
その中の……現在では三年生になるのだろう。そう言えば小奇麗な外見をしていて、確か同行していた同輩が黄色い声を上げていたPGの持つ視界が……
……
過去を思い起こし、強い既視感が桃井を襲う。
次に戦う四番のそれは更に広く深い。しかし
これだと。
漸く一つの縦糸を掴んだ、その気分だった。
……帝光(ウチ)と四番率いる某校と。
 試合まで、後○日。
作品名:緑と傍らの鷹 作家名:シノ