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同調率99%の少女(4) - 鎮守府Aの物語

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「うん。実はさ、鎮守府Aとうちの学校を提携させて艦娘部を作りたいの。」
 ストレートに内容を伝えた那美恵。
 その一言で済ませた内容を聞いて、どう反応すべきか3人は途端に困って黙りこむ。数分とも感じられた約1分の沈黙の後、副会長の三千花が口火を切って指摘してきた。

「部活ねぇ。普通に先生に許可もらって作ればいいだけなんじゃないの? なんでそこで鎮守府っていうのが関わってくるの?」

 またしても想定したとおりの反応を三千花がしてきたので那美恵は勢い良く頷いた。

「その言葉待ってました!このあたりのこと、簡単に説明するね。」
 那美恵は改めて調べておいた、学生艦娘の制度について説明をした。

・学生艦娘制度自体について
・普通の艦娘、職業艦娘それらと学生艦娘の違い
・鎮守府や国にとって学生艦娘を取ることのメリットとデメリット
・学校側のメリットとデメリット
・学生(生徒)のメリットとデメリット

 那美恵はこれらを簡単にまとめて三千花らに説明した。泊まりの出撃任務の翌日および朝慌てて登校してきて一切準備をしていない那美恵だったが、何も知らない一般人になんとなく知ってもらえる程度の説明は出来たと心のなかで自負した。

「……という感じかなぁ大体。出撃から帰ってきたばっかりで全然資料ないから、今度提督に相談してもっと詳しく教えてあげるね。」

 本当にざっと説明しただけだが、三千花たちはなんとなく理解できた様子を見せた。確認するように三千花は内容を反芻し始める。
「なるほどね。学生艦娘ねぇ。国から艦娘専用の装備が出てるからおいそれと勝手に人を増やしても行き渡らない。自由に艦娘を増やせないのね。だから鎮守府が学校と提携して、まとめて人を採用したり適切に人数を調整するってことなのね。」
「そうそう、そんな感じ。」
 那美恵は頷いた。

次に和子が質問してきた。
「ところで……高校生はなんとなくわかるとしても、中学生が戦うってどうなんでしょう? それに深海凄艦という化け物と戦うことって、会長も含めてみなさん怖くないのでしょうか?」
 和子は艦娘自体の年齢・年代のことや深海凄艦の怖さを気にしている。
 那美恵は彼女の質問に対して、自身の体験も交えて答えた。

「その辺の艦娘の年齢問題は、私達がまだ生まれてない頃の艦娘制度の初期に結構論争になったらしいよ。どう解決したかはあたしは知らない。今度提督にもっと聞いておくよ。それから艤装つけてるとね、不思議とそういう怖さがなくなるんだぁ。あたしも他の艦娘から聞いたときはにわかに信じられなかったけど、実際体験すると確かに怖くなくなったの!」

 机に身を乗り出してその時のいわば不思議体験を力説する那美恵。3人がビクッとしたのに気づくとすぐに座席に戻り、普通のテンションと口調に戻って言葉を続けた。
「ま、別に接近戦するわけじゃないし、遠くから砲雷撃するっていう環境のおかげもあるんだろうけどね。」
 語りながら、その怖さが減る・なくなるという感情の操作について気にかかるものがあるが、今は触れるべきではないとして心のなかで思うだけにしておいた。

「ふぅん。他の人も?」
「うーん。ま、そこは人それぞれだと思うな。」

 三千花の一言の疑問にも答えると、那美恵は再びその場に立って机に両手を付き、前のめりになるように乗り出して3人に、自身の目的を改めて語りだす。今度は先程よりも勢いを弱めに立ち上がった。

「それでね、私が所属してる鎮守府Aってまだ出来て間もないの。別にそれだけってわけでもないんだけど、とにかくそこに協力してあげたいの。」
「それが、部を作ってその鎮守府っていうところと提携結ばせたいってことなんすね?」
 書記の三戸が確認してきたので、それに頷く那美恵。

「なんとなく興味持ったから始めてみた艦娘だけどさぁ。有名になって目立てるんだよ?それに今なら自分たちが鎮守府の運用に大きく関われるって、なんかワクワクしない? ただの学生がだよ、国や世界を守る鎮守府に大きく役に立って、世界的に有名になれるかもしれないんだよ?」

 熱をあげて語る那美恵だが、三千花の反応は思わしくない。
「理想が高いなぁ。なみえ自身はそれでいいかもしれないけど、他の人を誘うんだったらもうちょっと砕けないとみんなついていかないと思うよ。」

 決して全て否定されたというわけではないが、自身もまずいと感じている点を親友に突かれたのは痛かったので、那美恵は少し弱めに出ることにした。
「うん、それは自分でもわかってるの。だから協力してほしいの! 別にみっちゃんとか書記のあなたたちに一緒に艦娘になってほしいとかそういうことは言わないよ。強制するものでもないし、これは完全に私のわがままだから生徒会本来の仕事とは関係ない。ぶっちゃけ私利私欲のために生徒会を利用しようとあたしがしてるだけだから、無視してくれてもいいよ。」

 那美恵は何段にも重ねて断りを入れてさりげなく協力を求めた。
 そんな那美恵に対して先ほどの三千花とは違う反応を見せたのは和子だった。
「でも、学外の団体との協力っておもしろそうです。生徒会の活動としても、うちの学校の名を広める、課外活動の一環としては良いんじゃないでしょうか。バックに国が関わってるということなら、その鎮守府っていうところも信頼できるでしょうし。私個人としては会長に協力したいです。」

 書記の和子は少し協力的な方向に向いてきた。しかし見つけた問題点も指摘してきた。
「けど、このことをどうやって学校に伝えて説得して、なおかつ生徒にもわかってもらうかですよね。」

 那美恵は和子の指摘することにウンウンと頷く。
「そうなんだよ〜。前に鎮守府Aに見学に行った後ね、教頭と校長先生に提督とじかに会って話してもらったんだけどさ、その時はダメだったんだよね。」
 那美恵が最初の説得に失敗していたことを暴露すると、まさかと思った想像を三千花は口にして確認する。
「あんたまさか一人で校長に話しつけに行ったんじゃないでしょうね?」
「うん、そーだよ。」
 さも当然かのように返事をする那美恵。三千花は右手で額に手を当てて呆れた様子をする。

「さすがのなみえでも単独で教頭と校長相手は無理よ……。なんでその時せめて私に話してくれなかったの?」
「うーん、その時はまだ艦娘着任前だったし。正直みっちゃんに話しても状況変わると思わなかったから話さなかったのよ〜」
那美恵は対親友であってもサラリと悪びれもなく言い放つ。
「……あんた、変なとこでものすごくクールに振る舞うよね……まぁいいけど。」
 三千花は親友のそんな態度に深くツッコむのを諦めて、彼女の次の言葉を待った。

 那美恵は気を取り直し、空気を変えるために3人に目的のためすべきことを語った。
「ともかく。あたしがやらなきゃいけないことは2つあるの。一つは校長の許可を取り付けること、それからもう一つは艦娘になってくれそうな生徒を2人以上集めること。」
 三千花らはやることと言われた2つのことを聞いて相槌を打った。

「その2つの問題はわかるけど、生徒を集めるのって言っても普通に集めてたんじゃダメなんでしょ?」