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同調率99%の少女(4) - 鎮守府Aの物語

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 その日の放課後、生徒会室には那美恵の他、副会長の女子生徒と書記の二人という4人が集まっていた。その日は生徒会の仕事はなく、付き合いのある別の友人と帰ろうとしていた副会長の女子生徒だったが、会長からのお願いということでその友人には断りを入れ、しぶしぶながら生徒会室に姿を現すことになった。

 一番最後に入ってきた副会長の女子生徒はバッグをテーブルの足元に置き、一息ついたのちに口を開いた。
「で、話ってなに?」
 副会長の女子生徒がぶっきらぼうに質問する。それに対しタイミング良く連続で頷きながら那美恵は答えた。

「うんうん。実はね、書記の二人には話したんだけど、あたし実は艦娘やってるんだ〜」
「ふぅん……って!?なみえあんた艦娘やってるの!?」
 副会長は那美恵を名前で呼んで素で驚く様子を見せた。

「清々しいまでの驚き方ありがと〜みっちゃん!実はそうなんだよぉ。」

 那美恵がみっちゃんと呼んだ副会長の女子生徒は、実は那美恵の親友である中村三千花という名の少女である。想定通り驚いてくれた彼女に対して那美恵はペロッと舌をだして親指を立ててグッ!のポーズをし、軽くツッコミ混じりの返事を返した。

 親友の那美恵から艦娘という存在の名を聞いた三千花。決して全く知らないわけではなく、三戸や和子と同程度の認識であったため、物珍しいと世間的には評価される艦娘に親友がいきなりなったことに本気で驚いたのだった。しかしそこは那美恵のことを知ってる親友である。すぐに友人としての納得の様子に反応を切り替えた。

「よく艦娘なんてやれるわね……ってなみえなら不思議でもなんでもないか。でもなんで?どうして急に?」
「急ってわけでもないけど、始めてからもうすぐ2ヶ月経つよ。」
「私に相談もなしに……少しくらい打ち明けてくれたっていいじゃないの。」
 親友である那美恵がこの2ヶ月近く、自分に黙って物珍しい艦娘として活動していたことに心配の気持ちを多分に含んだ憤りの念を抱いて三千花は那美恵に食って掛かった。
 それを受けて那美恵は両手を合わせてオーバーリアクション気味に謝るポーズをした。

「ゴメンって。これから話してあげるから許して〜。」
「はぁ……。今回呼んだのは艦娘のこと話したくてしょうがなかったのね?」
 三千花が那美恵の気持ちを察するかのように発言すると、那美恵は特に口を開かずコクリと頷いて肯定した。

 その後那美恵は事の発端と、これまでの艦娘としての活動をかいつまんで3人に説明しはじめた。

「ふーん、なるほどねぇ。艦娘って人たちが戦ってるとはなんとなくわかってはいたけど、そういう風になってるんだ〜。」と三千花。

「海が危険だとは結構前から言われてましたけど、海なんてめったに行かないし普通に俺らには影響なかったから知らなかったっすね。」
「そういえばうちの母が以前言ってました。20年位前とは比べ物にならないほど海産物の値段上がってるって。私達の生まれてない時代からだから……。これも深海凄艦という化け物のせいなんでしょうか?」至極真面目に状況を分析する和子。

 三千花と三戸、和子は三者三様の反応を示したが根本の驚き様は一緒だった。彼女らは那美恵という身近に艦娘になった存在を通して、改めて昨今の海の状況とそこから影響してくる日常生活について思い知ることとなった。

「あの、会長。艦娘らしいなんか格好とか活動?の様子の写真見せてもらえないっすかね?」
「おぉ!三戸くん乗り気だね〜。実はあるんだよぉ〜。」

 三戸は艦娘としての那美恵の様子を知りたくてたまらなかった。那美恵はもともと見せたくてたまらなかったため、三戸の反応は想定していた通りの嬉しい反応なのである。つまりお互いの欲求が一致したのだ。
 那美恵はその言葉待ってました!と言わんばかりに早速携帯電話を取り出し、今回の出撃の際に依頼元の東京都と隣の鎮守府の艦娘から出撃の記録としてもらっていた写真や動画のいくつかをスクリーンに映しだして三戸たちに見せた。

「はい。これがあたしの艦娘としての格好だよ。それからね〜こっちは同じ鎮守府っていうところに所属している娘たちで、こっちは今回一緒に活動した隣の鎮守府出身の艦娘。○○高校の人で、同学年の子だったんだよ。すっかり仲良くなっちゃった。」
 那美恵は次々に写真を見せる。三千花・三戸・和子はそれを興味津々に覗きこんで食い入るように見つめた。

「へぇ〜艦娘ってこんな感じで活動してるんだ〜。なみえカッコいいじゃん!」
「会長かっけぇ〜!あ、それとこの娘かわいいっすね?この娘も……」
「会長の着てるのって艦娘の制服なんですか?かっこ良くて可愛いです。私は一番好きかもしれません。」

 三千花、そして書記の二人はそれぞれの反応を見せた。おおむね好印象だ。携帯電話に映しだされる写真に見入る3人の様子に鼻高々にして少しふんぞり返り、控えめな主張しかしない胸を強調して那美恵は誇らしげな顔をした。

「話も聞いたしあんたの活躍もわかった。けど、それだけじゃないでしょ?」
「さっすが副会長兼親友のみっちゃん。わかってくれてる〜?」
 阿吽の呼吸のように反応のやりとりをする三千花と那美恵。二人の様子を見て三戸と和子はワンテンポ遅れて「え?え?」とキョロキョロして二人の様子を確認した。

「長年友人やってりゃわかるわよ。あんた、お願いごとしたいんでしょ?」

 書記の二人も決して那美恵とは浅い関係ではない。生徒会メンバーとしても、普通の先輩後輩の関係として健全で、わずかな付き合いではあるが頻繁に接するためかなり密な関係だ。しかし三千花と那美恵は10年来の友人関係であるため雲泥の差。
 三千花は那美恵の行動が何を表すものなのか、察しがつきやすい。