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同調率99%の少女(4) - 鎮守府Aの物語

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--- 5 幕間:那珂の休日



 翌日、那美恵は学校を休んでしまった。緊張が解けたからなのか彼女は突然ドッと疲れが出始め、朝起きるには起きたが、とても学校へ行って何かをできる体調ではなかった。その後半日以上も熟睡してしまった。

 昼過ぎに起きた那美恵は、ようやく体調がかなり回復したのを感じた。まだだるさは残っているが、起きてご飯を食べる・シャワーを浴びるくらいはできそうだと。
 那美恵の母親はパートを休んでいた。娘の看病をするためだ。那美恵が1階の居間に姿を現すと、「おそよう」と茶化した言葉を口にして、お昼ごはんを用意し始めた。
 その間にシャワーを浴び、頭を完全に目覚めさせた那美恵は気分が乗ってきたのか、鼻歌と、その流れで流行りのアイドルグループの歌を口ずさみ始めた。気分ノリノリでお風呂タイムを満喫している。体調はほとんど回復していた。

 テレビ番組を見ながら少し遅いお昼ごはんを食べ始めた。那美恵の母親は娘のスタミナを復活させるために肉を使った料理を出した。普段は比較的小食な那美恵だったが、長時間の睡眠と疲れが取れた後だったためか、この時ばかりは普段の倍近くもぺろりと平らげた。

 その後居間にあるソファーでゴロ寝しながら携帯電話を見ると、三千花からメッセンジャーアプリで通知が来ていたのに気づいた。それを開くと、真っ先に心配の言葉が飛び込んできた。那美恵は返事を出して無事を知らせる。
 ふとメールアプリのほうを見ると、なんと五月雨と五十鈴から来ていた。鎮守府にいる艦娘のたちとは仲良くなってすぐに連絡先を交換していたためだが、仕事で普段会っているのでメールやメッセンジャーを出す機会をこれまで逃していたのだ。

 五十鈴こと五十嵐凛花からは次のような文面で届いていた。
「こんにちは、那珂さん。そっちはどう? 私は昨日はあの後学校に行ったのはいいけど、あまりに疲れていたので早退してしまったわ。私が艦娘してることを知ってるのは友人2人だけだったから、他の人にうまく言い訳してもらうのに大変でした。今日は言い訳を手伝ってもらったお礼に友人にお昼をおごっているところです。」

 メールの受信日時を見ると、12時24分と、だいぶ前だと気づいた。
「凛花ちゃんも大変そ〜だなぁ。ってかメールでは口調丁寧だしw ちょっとおもろ〜。」
 凛花からのメールに返すことにした那美恵は寝っ転がっていたので打ち込むのが面倒くさくなり、電話で話し合うかのように音声入力で3〜4文喋って入力した。
「凛花ちゃんこんちは〜。あたしは昨日は頑張って放課後まで出たよ!んで今日は疲れちゃったからお休み。また今度鎮守府でね!」

 五十鈴からのメールに返信し終わると、那美恵は次は五月雨からのメールを開いて見始めた。
「那珂さnおはようございます。昨日はあのあと大丈夫でしたか?私達は昨日はあのあと提督がお昼をごちそうしてくれたんですよ!エヘヘ〜嬉しかったですよ。それからですね・・・」
 那珂の心配というよりも、自身らの先日のその後の行動を長々と書き連ねていた。ところどころ誤字誤変換があるなど、うっかりミスは彼女らしいと那美恵はニンマリと萌えながら画面に表示された文面を眺めていた。

 五月雨や時雨たち、五十鈴たちとは艦娘という仕事上の付き合いではあるが、お互い学生という立場上どうしても仕事というよりも学校という垣根を超えた学生同士の仲の良い関係という感覚を那美恵は感じていた。
 艦娘としての付き合い、隣の鎮守府の天龍が言っていたことを思い出した。プライベートで知り合いや、よっぽど仲の良い間柄でない限り、基本的には艦娘同士は付き合わないと。
 鎮守府Aはまだ人が少ない。それゆえ那美恵は全員と仲良くしたかった。今後人が増えたとしても、その思いは変わらないだろう。せっかく自分が加わって活動している艦娘の活動の場所たる基地、鎮守府にいるのだ。他の鎮守府とは違う演出をしたり、関係性を築きたい。那美恵はここまでの体験を思い返してそう考えていた。

 五月雨のメールにはやや返事を書きづらかったため、適当な挨拶を2〜3語含めるだけにしておいた。

 ひと通りメールやメッセンジャーの確認が終わると那美恵はまた一眠りつくことにした。その後休んではいたが普段通りの生活をし、夜になりふと提督に話したいことを思い出したので、提督にメールを出すことにした。

「西脇さんへ。この前ちょっと言った、お話したいことがあるので明日鎮守府で聞いてもらってもいいですか?」
数分後提督から返信が来た。
「OK けど夕方会社戻るから早めに。」

 あっさりとした返信に那美恵は苦笑した。
「タハハ。提督ったらそっけない返信〜。長文書くの苦手なのかな?」

 (学校外の)男性とメールやメッセンジャーをやりとりするのは那美恵は初めてだったので、大人の男性ってこんなものなのかとなんとなく思い、返信はしないでその時のやりとりを終えた。