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同調率99%の少女(4) - 鎮守府Aの物語

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 玄関先に戻ると五月雨たちは掃除をまだしていた。まだ小さく狭い施設や敷地とはいえ一般的に見ればそれなりに広い。五月雨たち中学生4人ではそう早く終わるものではない。その様子を見た那美恵は五月雨に見学の話を話す前に、彼女らの仕事を手伝うことにした。

「みんな!あたしもお掃除手伝うよ?」
「那珂さん!那珂さんが手伝ってくれるなら鬼に金棒っぽい!」
 まっさきに夕立が振り向き反応したので、那美恵は逆に言葉を返した。
「それを言うなら夕立ちゃんに魚雷ってところでしょ〜?」
「那珂さんお上手ですぅ〜!」と村雨がヨイショする。
夕立は
「那珂さん魚雷っぽい?むしろあたしが魚雷になって突撃したいっぽい!」
などとよくわからないノリ方をしてその場の笑いを誘った。


 その後那美恵は制服の上着を脱ぎ、セーターとYシャツ、そしてスカートだけになった状態で五月雨たちから掃除用具を借りて掃除に加わった。

「じゃあ那珂さんはむらさんとお願いします。」
 掃除の音頭は時雨が取っていた。
「村雨ちゃんだね。おっけ〜。」

那美恵は村雨とともに、時雨から任された範囲の掃除を始めた。しばらくして那美恵は何気なく感じた疑問を投げかけてみた。
「ところでさ、いつもこういう活動のときは4人の中では時雨ちゃんが仕切ってるの?」

「学校では、ホントは白浜さんっていうもう一人友人が僕達を仕切ってることが多いです。」少し離れたところにいる時雨が答えた。
「あ〜確かそっちの中学校の艦娘部で一人だけまだ着任できてない娘だね?」
 那美恵は以前聞いたことを口に出して確認すると、五月雨・夕立・村雨たちは苦笑いをしながらもコクリと頷いた。

「別に着任してなくたって来たっていいんじゃない?どーせ人少ないんだしあの提督なら怒らないでしょ?」
「提督というよりも彼女に問題がある気がします……。一応誘ってはいるんですけど、彼女意地っ張りなところがあるから何度誘っても来ないんです。だから僕達早く彼女に会う艤装が配備されないかなぁ〜って待ってるんですよ。」
 那美恵は何気なく思ったことを述べ、時雨がそれに答える。五月雨たちはというと、白浜という子のことをよく知っているのか、彼女のことをワイワイと語りはじめた。

 雑談が多くなり始めたことに少し危機感を覚えた那美恵は掃除が終わらなくなるといけないと思い、適当に盛り下がってきたところで一声号令をかけ、自身らは先程の時雨の指示通りの分担で掃除をしながら、件の同級生のことを引き続き聞いた。
 五月雨たちが評価するその白浜という娘の人となりも気になった那美恵だが、それよりも彼女らの中学校の艦娘部の有り方や、白浜という娘の置かれた状況のほうが気になっていた。これから艦娘部を設立するために調査し、活動するにあたって参考になるかもしれないと考えていた。

 那美恵が加わって数分後、玄関まわりとロビーの掃除を終えた5人は掃除用具を片付けてロビーの一角で休憩をすることにした。
 提督という男性はいるがその場には女しかいなかったため、五月雨たちはロビーの端っこで堂々とジャージや上着を脱ぎ、学校の制服に着替えた後のんびりし始めた。
 那美恵は4人からは1テーブル隣のソファーに座って髪を整えたり携帯をいじっていた。タイミングを見計らい、五月雨に声をかけた。

「そーだ五月雨ちゃん。ちょっとお願いがあるんだけどいい?」
「はい?なんですか?」
 コクリと飲みかけていたお茶のペットボトルを置いて時雨たちのほうから那美恵のほうに振り向いた。
「あのね。うちの学校の人達に鎮守府を見学させてあげたいんだけど、いいかな?」
「えぇ、いいと思いますけど、提督はなんて?」
「提督は五月雨ちゃんに任せるって。」

 提督から任されてるという信頼感に五月雨は顔を少しだけほころばせたがすぐに真面目な顔になり、那美恵からの見学の相談を快く承諾した。
「わかりました。一応誰が来るか来たかメモしてますので、あとで一緒に執務室に来てください。」
「りょーかい!」

 休憩を終えた5人は時雨・夕立・村雨は艦娘の待機室へ、那珂と五月雨は執務室へとそれぞれ向かった。那美恵は見学の人数、見学メンバーの名前や学校名などを書類を書こうとしている五月雨に伝える。

「……っと。はい。OKです。日にちは?」
「日にちは提督が都合の日を伝えるから待てって言われたの。」
「そうですか。じゃあ私からはここまでです。提督から連絡もらったら、お伝えしますね。」
「うん。お願いね〜。」

 その場でできることを済ませた那美恵はその日はそれで終わった。翌日提督は鎮守府へ出勤してきたときに五月雨と話し合い、自身と五月雨の都合が良い日を決め、それを那美恵に伝えた。