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同調率99%の少女(4) - 鎮守府Aの物語

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--- 2 艦娘から日常の少女へ



 那珂と五十鈴が焦りを感じて率先して帰ろうと五月雨たちを引っ張って帰ろうとすると、海上自衛隊の基地の正門を通って、駐車場を突っ切って進んでくる一台のワンボックスカーを見かけた。その車は駐車場脇の歩道を歩いている那珂たちの近くで止まり、運転手と思われる人物が顔を出した。

 それは、6人全員が知っている人物だった。その人物は助手席の窓を開け、身体を伸ばしてその窓から外を見る姿勢で6人に声をかけた。

「よぉ!無事帰還してるな。遅れてすまない、迎えに来たぞ。」

「「「「「「提督!!」」」」」」


 眠気と疲れにまみれていた6人全員の顔が一斉にほころんだ。艤装を手に持っていたり、わざわざ同調して背負って歩道を歩いていた那珂たちは知っている顔を見つけたので取るものも取り敢えず、提督の車が留まった駐車場のところまで、歩道との間にある草地を駆け抜けて駆け寄った。

 同調して自身の艤装と、時雨の代わりに壊れた艤装を腕に抱えて持っていた五月雨も駆け寄っていた一人だが、草地を駆け抜ける最中に足を取られて転びかけた。

「きゃっ!」
 五月雨が片手に担いでいた時雨の艤装は五月雨の腕からすっぽ抜け、提督の車めがけて宙を舞った。

ドスン!!

「うわぉ! あぶねぇ!!」
「ぎゃーー!?」
「あっ、提督、ゆうちゃんゴメンなさい!!」

 時雨の艤装は提督の乗ってきた車スレスレの場所に落ちていた。あやうくぶつけそうになっていた状況に五月雨だけでなくその場にいた全員があっけにとられる。提督は車の中から冷や汗をかいていた。それから我先にと駆け寄っていた夕立も艤装が近くに吹っ飛んできたために、同じく人一倍冷や汗をかいて呆然としていた。
 夕立は五月雨に文句を言った。

「さみってば!同調しながら陸でコケないでよぉ!! こんなもの飛ばして危ないっぽい!!」
「ゆうちゃん〜ゴメン〜!」

 五月雨の必死の謝罪を聞いてもなおプリプリ怒っていた夕立だったが、すぐに興味が移り変わり、提督の乗ってきた車と提督の方を振り向いて提督に話しかけた。

「まぁいいや。それよりもてーとくさん、お迎えありがとー! その車行きとは違うっぽいけどてーとくさんの?」
 夕立は飛び跳ねて喜んで助手席の窓に顔を突っ込み、提督に顔を近づけた。
「いや、親の借りてきたんだ。俺小さいのしか持ってないし、今回はトラック借りられなかったからさ。でもまぁ、これくらいの車なら6人全員乗れるだろ?」

「私達はいいですけど……私や時雨、夕立の艤装は大きいから乗せられますか?」
 村雨が夕立の後ろから車を覗き込みながら、艤装のことを気にして尋ねた。
「詰めればなんとかなるだろ。まぁ少しの間だ。」
 軽く答える提督。それに対して夕立がゆったり乗られなくなるなどブチブチ文句を垂れるが、提督は夕立の扱いに慣れているのか軽く頭を撫でてサラリとスルーする。
 夕立は途端にエヘラエヘラと顔をにやけさせておとなしく下がった。
「狭くなるけどちょっと我慢してくれ。さ、俺積み込むからみんなは乗ってくれ。」
「「「「「「はーい。」」」」」」

 提督は車を降りて艦娘たちの艤装を車に積み始めた。村雨の心配したとおり、3者の艤装はかなりスペースを取ったがパズルのように詰め込み、座席は前から2・3・2人になることでなんとか全員・全部車に入った。
 艤装と同席になるという割を食ったのは、夕立と那珂だった。

「いやまぁ、じゃんけんで負けたからいいっちゃいいんだけどさ、花の女子高生が鉄の塊に頬ずりしながら座ってるってどういうことなのさ?」
 最後尾から静かに文句を垂れる那珂。それに助手席に座っていた五月雨が助け舟を出す。
「あの……、私代わりましょうか?」
「いいよいいよ!五月雨ちゃんに座らせるくらいならあたしは艤装に頬ずりしつづけるさぁ!!」
 おどけつつも五月雨を気遣って言葉を返した那珂。深夜〜早朝のためかいつもよりテンションがおかしいことに他の6人はなんとなく気づいたが、皆あえて突っ込まずに苦笑いだけしてスルーした。

 同じく艤装に頬ずりしそうな形になっている夕立はすでにうとうとしかけている。
「ふわぁ〜むにゃむにゃ……あたしは気に…しないから平気っぽぃ……。」
「うんうん。ゆうはもう寝ちゃっていいよ。」
 夕立の前の座席に座っていた時雨は夕立をあやしながら彼女を一足先に眠りに誘った。

 その後数分間はワイワイ雑多な事を話していた艦娘たちだったが、
「さ、行くぞ。みんな寝てていいぞ?鎮守府着いたら起こしてあげるから。」
の一言により、先に眠りについていた夕立に続いて残りの5人も、それぞれの席で思い思いの眠りにつくことにした。

 提督が車を動かして、海上自衛隊の基地の正門に戻る頃には、艦娘たち6人はスヤスヤと寝息を立てていた。
 少女たちの寝顔をミラー越しに見ていた提督は、6人を起こさないような小声で労いの言葉をかけ、車の運転に集中することにした。

「フフッ。よっぽど疲れてたんだな。安心しきった寝顔だわ。みんな、ご苦労様……。」