主人公惣受け物語~アニポケ・ジョウト編~
第35話『渦巻く荒波超えて』
前書き
にじふぁん閉鎖、更新停滞、いろいろありましたが、ようやく100話達成!
今回、サトフルとサトヒカ…なのか!?
アサギシティに到着して、フルーラ、カノンと懐かしい人物とも再会を果たしたサトシ。めまぐるしい一日から一夜明けた朝のこと。
サトシ「昨日はいろいろあったけど、ようやくうずまき列島へ行けるぜ! 楽しみだな、ピカチュウ」
ピカチュウ「ピカピカァ!」
サトシ達は、アサギシティ市内のホテルにて一夜を過ごしたが、昨日の疲れも感じさせることなく気持ちの良い目覚めを迎える。
ケンタ「俺達はもう少し準備に時間がかかるけれど、サトシはどうするか?」
サトシ「それなら、俺は先に下へ行って待っているよ」
デント「そうかい? それじゃあ、また後で」
サトシ「あぁ」
同じ部屋で昨晩共にしたケンタとデントはまだ準備に手間取るとのことなので、サトシはピカチュウとともにホテル1階のロビーにて待機することにした。下に降りるためエレベーター待ちをしていたところへ、
フルーラ「サトシ♪」
サトシ「うわぁ!? なんだ、フルーラか」
フルーラがやって来て、サトシの右腕に抱き着く。サトシは大層驚いた表情をするものの、相手がフルーラであることを確認するとひと安心したようだ。
フルーラ「今の反応は少し酷いわね。人をお化けみたいに…」
サトシ「あっ、ごめん」
フルーラ「ふふふ、特に気にしていないわよ。ちょっとサトシをからかってみただけ♪」
サトシ「あのなぁ…」
フルーラはサトシの反応に対して傷ついた素振りを見せるが、それはサトシをからかうためのものであった。彼女なりの悪戯心である。
ヒカリ「サットシ♪」
サトシ「うわぁ!? 今度はヒカリかよ!」
フルーラに対応中のサトシに休息の暇などなかった。今度はヒカリがやって来て、サトシの左腕に抱き着く。ちなみにポッチャマは、自分の足で歩いて遅れてやって来た。
ヒカリ「フルーラ、抜け駆けは許さないわよ」
フルーラ「うぅ、そうは問屋が卸さないってわけね。でも負けないわ」
ヒカリ「あたしだって負けるつもりはないわ」
サトシ「二人とも、何の勝負をしているんだ? それに抜け駆けって…」
ヒカリ・フルーラ「「サトシは気にしなくていいの!」」
サトシ「あっ、はい…」
突然始まったヒカリとフルーラによるサトシ争奪戦。サトシは二人が何の勝負をしているのか理由を聞くが、ヒカリとフルーラの気迫に押されて聞くに聞けなかった。
ポッチャマ「…ポッチャ」
ピカチュウ「ピカピカチュウ…」
サトシを巡って火花を散らすヒカリとフルーラ、彼女達が何故火花を散らしているのか分からない鈍感なサトシを見て、ため息を漏らすピカチュウとポッチャマ。交わす言葉は人間には分からないが、二体の雰囲気を見れば今ある光景に呆れていることは容易に予想できる。
アイリス「ヒカリ、急に出て行ったと思ったらこういうことだったのね…」
カノン「せ、先手を取られたわ…」
ベル「あ〜ん、あたしもサトシ君の腕に…」
ほかのサトシLOVEな連中は、宿泊部屋の扉から顔を出してサトシの両腕に抱き着いているヒカリとフルーラを羨ましそうに眺めていた。ここで、サトシの下に駆け寄ってもよかったのだが、ここは他の客も宿泊するホテルである。他人の迷惑を考えて自重したのは、彼女達がある意味成長したところであると言えよう。ちなみに、争奪戦を繰り広げている二人も、声のトーンを抑えている。
ケンタ「…改めてみると、すげぇ光景だな」
デント「ハハハ、薄々感じていたけれどやっぱりこういうスパイシーなテイストになるんだね」
マリナ「でも、なんだか楽しそうね。最初はどうかと思ったけれど、見ていくうちに面白くなってきちゃったわ」
ケンタ「おいおい…」
ケンタとデントはサトシ争奪戦が繰り広げられているこの光景に引くも、マリナは少々面白がっている様子であった。その後、エレベーターがやって来てサトシはヒカリとフルーラとともに先に1階へと降りていった。その後、他の面々も身支度を整えて1階へと降りていった。
カスミ「ねぇ、フルーラ。船長さんはどうしたの?」
フルーラ「みっちゃんなら、わたし達より先にアサギ港へ行ったわ。船の準備もしなきゃいけないしね」
朝食を終えてロビーで談笑をしているサトシ達。フルーラによれば、船長・みっちゃんはサトシ達より早くに起床して、今はアサギ港にてうずまき列島へ向かうための船を用意しているとのこと。これだけ大人数を乗せる船を用意するとなると、準備にかなりの時間を要することになる。
デント「これだけの大人数を乗せる船なんだ。相当な船を用意するんだろうね」
ベル「なんだか、うずまき列島に行くよりまずどんな船に乗るのか楽しみになって来ちゃった」
一応説明しておくが、サトシ達はアサギシティの海をクルージングしに来たわけではなく、うずまき列島に行くために船に乗るのである。うずまき列島よりも船自体に興味を示し出した面々もいる中、サトシ達はポケモンセンターを出てアサギ港へと向かう。そして、みっちゃんの用意した船に乗り込み、一行はうずまき列島を目指して海の上を進むのであった。
続く
後書き
次回、大海原で渦巻く島へ…
サトシ達はそこで何を経験していくのだろうか。
作品名:主人公惣受け物語~アニポケ・ジョウト編~ 作家名:天の河