主人公惣受け物語~アニポケ・ジョウト編~
第36話『うずまき列島上陸』
前書き
うずまき列島に向けて、海の上を進むサトシ達。
そんなサトシ達をよそに、うずまき列島ではある人物が待ち構えていた…
ブォォォォォォォォ!
ヒカリ「これ程速いスピードなら、すぐにうずまき列島に着きそうね」
ケンタ「あぁ。それと強い海風のおかげで、眠気も吹っ飛んだぜ」
ベル「でも、しっかり持っておかないと帽子が飛ばされそうだわ。乗る前にしまっておけば良かったわ」
ヒカリ「あ、あたしも…」
ハルカ「わたしもバンダナが飛ばされそうかも…」
海の上を走る船ならではの強い海風をもろに受けるサトシ達。帽子をかぶっている面々は、風に飛ばされぬよう帽子を手で押さえている。サトシとヒカリは、もう片方の手でパートナーポケモンを抱えるのに使わなければならないから尚大変だ。ちなみに、ピカチュウとポッチャマは必死にそれぞれの主人の手にしがみついている。
カスミ「それにしても船長さん。よく、こんな立派な大型クルーザーを用意できましたね」
船長「私のアサギシティの知り合い、結構なクルージングマニアなのよ。仕事が休みの日は必ず海の上を風に当たりながら、船を走らせているの。カスミちゃんはこういう船の話に興味あるのかしら?」
カスミ「えぇ。実は小型船舶の免許を取りまして、こういう話にも興味はあります」
船長「へぇ〜、凄いじゃない。クルージングの技術を身に付けて、水ポケモンと触れ合う機会を増やそうってところかしら。あっ、うずまき列島に到着したら連絡先交換しない? よかったら、船についていろいろと教えてあげる」
カスミ「本当ですか!? 是非、お願いします!」
カスミが小型船舶の免許を持っていると知って、カスミにいろいろと手ほどきをしたいという好奇心に駆られた船長・みっちゃん。カスミのクルージングの技能はこれからも向上の一途をたどりそうだ。
船長「さて、もうすぐ黄岩島着くわ。スピード緩めるから、みんな降りる準備はしておいてね」
カスミ「サトシ、黄岩島ってルカさんがいる島だったよね?」
サトシ「久しぶりだな、ルカさん。オサムも元気にしているかな…」
サトシ達の船は黄岩島に向かっている。黄岩島には以前サトシとカスミがうずまき列島を回っていた時にお世話になった女性・ルカが住んでいる。彼女は黄岩島付近で海の調査をしている研究熱心な人物で、サトシ達と出会ったときは一緒にある事件に遭遇している。
フルーラ「カスミにサトシ。ルカって人と面識があるみたいだけれど、その人が黄岩島に住んでいるのね」
カスミ「えぇ、ルカさんはとても研究熱心な人でうずまき列島付近の海の調査をしているわ。あたしとサトシとタケシがルカさんと出会ったときは、あるポケモン絡みの事件に巻き込まれたりもしたわ」
サトシ「あの時は大変だったな。あっ、そういやそのポケモンはフルーラにとっても非常に関わりのあるポケモンだぜ」
フルーラ「私と関わりのあるポケモンって、もしかして…」
カスミ「そういう事よ」
黄岩島の中心地から離れた場所には伝説のポケモン・ルギアの親子が住んでいるが、以前ロケット団に狙われた経緯からあまり知られていない。サトシとカスミもルギア親子については知っているが、また狙われることを察してか敢えてルギア親子のことは言葉を濁した。サトシ達が下船の準備を整えているうちに、船は黄岩島のオギシティの波止場へと着岸する。サトシ達が下船しようとすると、ある人物がサトシ達の到着を待ち構えていた。
???「あら? サトシ君にカスミさん!」
サトシ・カスミ「「ルカさん!」」
黄岩島に到着したサトシ達を出迎えたのは、先程まで話題の人物だったルカであった。実はルカ、船長・みっちゃんとは友人を介して事前に連絡を取っており、船が来ることを知っていたが、その船にサトシ達が乗っていたことは知らなかったようだ。なので、サトシ達の姿を見かけた瞬間、大層驚いた顔をしている。
ルカ「サトシ君にカスミさん、あの事件以来ね」
カスミ「はい、元気そうで何よりです」
サトシ「オサムはどうしていますか?」
ルカ「私もオサム君もそしてあのコ達も、元気にやっているわ。特にあのコは、以前より人懐っこくなってきたようで私にも大分なついてくれるようになったわ。ところで、あなた達の後ろにいる人たちは…」
サトシ「あっ、みんな俺達と一緒に旅をしている仲間です」
カスミ「今は今度の世界大会に向けて、一緒にジョウト地方を回っているんです」
驚くような再会を果たし、喜び合うサトシとカスミとルカ。ルカがサトシとカスミの後ろにいる仲間達の姿に気づくと、サトシとカスミは自分達の仲間であると説明する。サトシとカスミの説明を聞いたルカは、早速彼らのもとへと歩み寄り、自己紹介をする。
ルカ「みんな、はじめまして。この黄岩島で調査研究をしているルカよ。よろしくね」
デント「こちらこそ、はじめまして。ところでルカさん、先程からサトシとカスミとの会話の内容が見えないのですが…」
ルカ「あっ、ごめんね。ついつい、懐かしい再会だったものだから話が弾んじゃって。今サトシ君とカスミさんと話したことは少しここだと話しづらいから、場所を変えましょう」
デント「…あるポケモンが関わっているみたいですけれど、余程珍しいポケモンなのですね」
アイリス「一体、どんなポケモンなんだろうね?」
カスミ「まぁ、ルカさんについていけば分かるわ」
サトシ達はルカの後に続き、波止場から別の場所へと移動する。移動先にて、サトシとカスミ以外の面々は黄岩島に存在するあの秘密を知ることとなるであった。
続く
後書き
アニメ版のうずまき列島については、無印版210話〜222話あたりを参照のこと。
作品名:主人公惣受け物語~アニポケ・ジョウト編~ 作家名:天の河