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主人公惣受け物語~アニポケ・ジョウト編~

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第62話『前日』

前書き

タンバシティにて、カスミとハルカはパフォーマンスチェックとミノリとの出会い、サトシとケンタはバトル練習とシンオウ出身連中との出会いで一日を過ごす。



その夜、ポケモンセンターのロビーにて皆集まるのであった。








「いやぁ、参ったぜ。なにせ久しぶりのバトルだったからさぁ」


「練習どころか本格的なバトルだったな。休憩するのも忘れるくらいに」


「はぁ、休憩くらいとりなさいよ。ホント子供なんだから……」


「まぁ、三度の飯よりバトルを体現したような二人だからね。休憩を忘れるくらいっていったいどんなポケモンバトルをしたのよ」


 うずまき列島にてポケモンバトルらしいポケモンバトルが出来なかった鬱憤がたまっていたのか、サトシとケンタの合同トレーニングはかなり熱の入ったものになったようだ。その様子を聞いて、アイリスとマリナは呆れた様子で2人を眺めている。


「ヒカリにマリナ、2人とも体調の方は大丈夫なのか?」


「えぇ、おかげさまで。だいぶ楽になったわ」


「みんなが看病してくれたおかげよ。今回のコンテストに出られなかったのは残念だったけど、次からはダイジョーブ」


 はっきりとした声で話をする様子からして、ヒカリとマリナの体調は快方に向かっているようだ。まだ大事を取ってデントお手製の消化に良い料理しか口にしていないが、食欲の方も良好である。ただ、ヒカリにとっては体調面の他に気がかりなことが一つある。


「マリリンはコガネシティのコンテストに出場しているけれど、ヒカリンはあたし達との旅を始めてから一度も実戦経験がないよね?」


「ヒカリちゃん、最後に出場したコンテストからかなりブランクあるでしょ? うずまき島でもトレーニング出来なかったから、大丈夫なの?」


 そう、サトシ達がカントー地方から旅を初めて以来、今回のタンバシティでのポケモンコンテストを含めればヒカリは唯一コンテストの実戦経験がないのだ。ハナダシティでの水中ショーでパフォーマンスの経験は積んでいるのだが、コンテストバトルの経験は皆無である。さらに言えば、世界大会予選まで今のところこのタンバシティでのコンテスト以降別の都市でのポケモンコンテストは予定されていない。最悪、ヒカリはぶっつけ本番で世界大会予選を挑むことになる。


「ダイジョーブ……と言いたいところだけど、あまりだいじょばないかも。内心焦りがあるかな」


 さすがのヒカリもこの窮地には動揺を隠せないでいた。それに加えて、ヒカリは調子の悪さをやや引きずる傾向がある為、自分一人ではどうにもできない心境に陥っているようだ。


「それなら、俺がヒカリの練習相手になるぜ。俺もコンテストの経験ならあるし、コンテストバトルの動きはバトルにも応用できるしな」


「えっ?」


「もちろん、わたし達も練習相手になってあげる。コンテストの実戦経験が積めないのだったら、その分練習すればいいもの」


「僕もできる限りのサポートはするよ。仲間のピンチは見過ごせないからね」


「みんな、ありがとう。あたし、こんなに素晴らしい仲間を持って幸せだわ」


「オーバーね、これくらい当然のことよ」


 ヒカリの実戦不足は、サトシ達との練習の量を増やすことで補うことになった。サトシ達の粋な計らいに当のヒカリは涙ぐみながら、サトシ達にお礼を言う。大げさかもしれないが、多くの仲間に支えてもらえるヒカリはかなり恵まれた環境の下にいるといえよう。


「サトシさん、ケンタさん、それぞれにお電話が入っております」


「俺たちに、ですか?」


「サトシさんにはお母様から、ケンタさんにはウツギ博士からのお電話です」


「わかりました、今すぐいきます。ということだから、俺たちはこの辺で切り上げるからまた明日な」


「あっ、うん。また明日」


 ジョーイがサトシ達の下にやってきて、サトシにはサトシの母親のハナコから、ケンタにはウツギ博士から電話が入っていると伝える。サトシとケンタは自分たちにかかってきた電話に応対するため、サトシとケンタは皆のもとを離れる。その後デントも離れたため、残ったのは女性陣のみとなる。彼女たちは引き続き、ロビーでの談笑を楽しむようだ。


「あっ、そうそう。わたしとカスミがパフォーマンスチェックをしていたら、同じようにコンテストに出場する子に出会ったの」


「ミノリという女の子だったのだけれど、とても落ち着いた印象の子だったわ」


 カスミとハルカは、今日初めて会ったミノリのことをみんなに話す。ミノリが遭遇した出来事のことも話したが、やはりミノリ達を助けた人物について食いついたようだ。


「そのミノリちゃんたちを助けた人の人物像、サトシ君にどことなく似ているわね」


「やっぱり、みんなもそう思う? わたしもピカチュウを連れたポケモンバトル好きのトレーナーで真っ先に思い浮かんだのは、サトシだったもの。わたしが出会ったその人物像にあてはまるのがサトシだけってのもあるけれど」


「それにしても、似すぎているわ。そのミノリって子、助けたトレーナーのことについては聞けなかったのね」


「うん、ミノリ達が名前を聞く前にその場を後にしたみたい」


 その場にいる全員が思ったことは、ピカチュウを連れたバトル好きのトレーナーの人物像があまりにもサトシと酷似していることだ。普段目にしているためというのもあるのだが、一つ引っかかったのが名前を名乗らずに立ち去ったことである。サトシの行動を考えれば、相手に名前を名乗らないのは皆無に等しい。


「ミノリのプライベートのことだから話すのはどうかと思ったけれど、そのことが気になったからみんなに話したの」


「そうだったのね。でも一体誰だろうね、そのトレーナー」


 悩みあぐねた結果、ミノリが出会ったトレーナーの正体はわからずじまい。謎は深まるばかりであった。


「それよりも、カスミとハルカは明日に向けて休んでおかないと。明日はアタシ達総出で2人を応援するから」


「アイリス、ありがとうかも。カスミもわたしも頑張るから」


「2人とも、出られなくなったあたしとマリナの分までしっかりね」


 明日は、コンテスト本番。今日ここで悩んでいる暇は、カスミとハルカにはない。女性陣はここでガールズトークを切り上げて寝室へと向かい、明日のコンテストのためにぐっすりと睡眠をとるのであった。その頃、ポケモンセンター内の電話ボックスにて誰かと会話する者がいた。先ほどまで電話ボックスにはサトシとケンタもいたのだが、すでに済ませて自分たちの寝室で深い眠りについているようである。


『あのホウエンの舞姫とカントーの人魚姫(マーメイド)に自分から声をかけることができたとはね。ついこの間までは人から話しかけられても上がっていたのに、姉としては最愛の妹の成長が感じ取れてうれしい限りだよ。ミノリ』


「ふふ、わたしだって努力はしているのよ。このままだったらダメだってことぐらい、自分でもわかっているんだから。お姉ちゃん」