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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 24

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 ヒースは天界に存在する、神、神子、天者の三つの種族うち、神子に位置し、剣術においては神にも劣らない力を持っていた。
 一時は天界の聖騎士団副長という立場であったが、ある悲劇が彼を修羅の道へと誘った。
 ヒースは天界に名だたる騎士であったためか、他者との交わりをほとんど持つことなく、ただひたすらに自らを鍛え上げる事に執心していた。
 そんな我が道を行くヒースに、運命的な出会いが訪れる。マリアンヌという天者の少女との出会いである。
 彼女に出会い、ヒースは変わった。積極的に彼女と交流し、いつしかヒースはマリアンヌに対して好意を持つようになった。
 それはマリアンヌとて同じことで、二人は互いに愛し合った。その愛は、二人が現世に転生した後も続く、約束された幸せであった。
 しかし、運命の悪戯か、デュラハンという存在の出現により、二人は永久の別れを与えられてしまった。
 恋人、マリアンヌは、一つ前の代のデモンズセンチネルの手にかかってしまう。
 ヒースは悲しみに暮れ、文字通り血の涙を流し、その後に誓った。必ずやデュラハンをこの手で倒し、マリアンヌの無念を晴らす、と。
 しかし、ヒースのこの強い復讐心は、大悪魔の目に留まり、デュラハンはヒースに枷をつけ、配下としたのである。
 ヒースはデュラハンへ復讐することに全てを懸け、かの悪魔の思惑通りの働きをすることになったのであった。
「……俺は、デュラハンを倒すためならばどんなことでもした。いずれ俺を縛る枷を外せるだけの力を得て、デュラハンを倒す。それが俺の全てだった」
 ヒースは右手を宙にかざした。そしてエナジーを発動させ、空間に一振りの剣を出現させた。
 その剣は、眩いほどの白金色の刀身を持ち、切っ先からは剣に込められたエネルギーがドーム状にあふれでている。
「ソルブレード……」
 それはイリスが、ロビンの持っていたガイアの剣を変化させた神の剣であった。
 ヒースはソルブレードを手に取った。左に漆黒の刀身を持つ魔剣カタストロフを、右に白金色の太陽神剣ソルブレードを握りしめた。
 ヒースの二刀流は図らずも、シンの双刀の色と似たものになった。
「エナジーの全力を出せるのはずいぶんと久しいな。まずは肩慣らしと行こう!」
 ヒースは目をかっ、と開いた。エメラルド色の瞳が鋭く輝く。
 次の瞬間、ヒースはシンへと斬りかかってきた。速さが格段に増しており、シンは側面に飛び込んでかわすものの、頬を掠められた。
「何て速さだ……っ!?」
『プラズマ!』
 ヒースはシンの着地に合わせて落雷のエナジーを放った。
 シンはとっさに剣を片方上に放り投げ、それに雷が当たるようにして避雷針とした。
『颯の術・改!』
 落雷をうまく避けた後、シンも使えるようになったエナジーを発動した。空間を縦横無尽に動けるようになり、シンは瞬発的な動きで宙を舞う剣を取る。
 そしてシンは分身を作り出し、空から急降下してヒースに攻めかかった。
「……あくまで小細工にこだわるか」
 ヒースは右の剣で分身を斬り、分身を囮に後ろから来るシンに左の剣を向ける。
「ぐっ……!」
 切っ先はシンの鼻先ぎりぎりの所にあった。
「左剣聖と呼ばれた俺もなめられたものだな」
 ヒースは切っ先を向けたままニヤリと笑った。対するシンは完全に意表を突かれ、硬直してしまっていた。次の手を考えるものの、動きを見せればそのまま貫かれる可能性が高かった。
『爆浸の術!』
 シンが導きだした答えは、爆発によるエナジーでの牽制であった。爆発によってヒースは後ろに下がるであろう。
「……どうした? その程度で俺から逃れられるとでも思ったか?」
「なっ!?」
 ヒースはシンの背後へと回っていた。
 シンは反撃を恐れ、急ぎ空中へと飛んだ。
「逃がさんぞ!」
 ヒースは背中に魔法の翼を出現させ、空へ逃げたシンを追う。
 追われるシンであるが、空中での移動ならば彼の方に分がある。
『レイデストラクト!』
 しかし、ヒースのエナジーで発生した電流の渦により、シンは磁気嵐に閉じ込められてしまった。
『ライトニング!』
「ぐわあっ!」
 電撃に打たれ、シンは地面へと叩き落とされる。
「……教えてやろう、貴様は絶対に俺には勝てないことを……」
 ヒースは地に下り、シンにソルブレードを向ける。
 シンは横に転がりつつ蹴りを放ち、ソルブレードを弾きながら飛び起きた。その後シンは、何度も距離を離そうとするものの、ヒースの素早さに簡単に追い付かれてしまう。
「俺はあの仮面の枷にかけられ、すぐにはデュラハンを殺すことができなかった。あの仮面を外すには奴の力を越えるより他なかった」
 ヒースの双剣による連続攻撃がシンに襲いかかる。
「……故に俺は、表向きは奴の配下となり、十六年前、天界での大戦で数々の者を斬った。神も神子も天者もお構い無くな!」
 ヒースの攻撃は素早く無駄がない。両手に剣を持つことによって手数が圧倒的に増し、シンに反撃の機会を与えない。
「俺が拓いた血路には、かつての仲間もいた。斬ることにためらいはなかった。全てはデュラハンを倒せるだけの力を得る。そのためならばかつての仲間などどうなろうと知ったことではなかった」
「くっ!」
 シンは圧倒され、尻餅をついてしまった。ヒースはすかさず、カタストロフの切っ先を向ける。
「……全ては我が愛しのマリアンヌのため……。デュラハンを倒すことは奴の手にかかった天界の者達への手向けにもなる。俺は必ずや復讐を成し遂げねばならんのだ……!」
 ヒースはカタストロフを振り上げた。
「シンよ、貴様も俺の糧となるがいい!」
 シンに漆黒の刃が襲う。
「シン!」
 ヒナの叫びと同時に、鋭い金属音が辺りに鳴り響いた。
 ヒースのカタストロフを止めたのは、それとは対称的な色であるシンの白銀の刃であった。
「センチネル、いや、ヒース……」
 ギチギチと音を立ててぶつかり合う刃越しに、シンの鋭い視線がヒースに突き刺さる。
「お前の悲しみがどれほどか、それは多分オレの想像を遥かに超えているだろう。同情はするぜ、だが、これだけははっきりと言い切れる……!」
 シンは刃を弾き、反撃に転じた。ヒースは攻撃を避けるべく、ひとまず距離を置く。
 シンは立ち上がりヒースに指さし、言い放った。
「本当にそのマリアンヌって娘がお前に復讐してほしいかって、考えたことはあるか!?」
「何を……」
 ヒースは眉をひそめる。
「悲しかっただろう、悔しかっただろう。本当に血の涙を流したんだからな。だがそれは、マリアンヌへの想いから流れたんじゃない。デュラハンへの憎しみからだろう、違うか?」
 ヒースは答えに窮し、沈黙した。
「マリアンヌの仇を取るなんてのはお前の独り善がりだ。例えデュラハンを倒せたとしても、お前の心から負の感情は消えない、絶対にな」
「……黙れぇ!」
 叫び声と共にヒースは斬りかかる。しかしシンには掠りもしない。
「貴様に俺の何が分かる!? ただ一人、愛した女から別たれた俺の気持ちが!」
 ヒースはソルブレードを突き出した。
『爆浸の術!』
 シンは爆発するエナジーでヒースを迎え撃った。
『風魔手裏剣・一点投!』