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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 24

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「まだまだ余裕ね……」
 ヒナは納刀する。
「センチネル、一体何を遠慮してるの? まさか、本当にあたしに見とれてるのかしら……?」
 ヒナは笑い、完全に挑発するように言った。
「…………」
 センチネルは何も言わない。しかし、その仮面の下の目は、ある人物をとらえ続けていた。
 最初に目にした時、まさかと思った。彼女であれば、もう存在すらしていないはずである。
 それなのにセンチネルは、気を散らされ、ある少女に目を奪われてしまっていた。
 メアリィという少女が、どうしても気になっていた。
 十数年の時が経ったが、センチネルにはほんの一日前の出来事のように思えてならない。そんな悲劇の中消えていった彼女の姿がちらついて仕方がなかった。
 それほどまでにメアリィは、センチネルの知る少女と酷似していたのだった。
「ちょっと、さっきからずっと黙りだけど、どうしたのかしら? 立ったまま、しかも戦いの最中なのに寝てるの?」
 眠っているはずがないが、センチネルはヒナの言葉にはっ、とした。そして邪念を打ち払うべく頭に手を当て、首を大きく振る。
「ヒナ、貴様の言う通り、俺は戦いに集中していなかった。迷いは全て断ち切る。この一撃で……!」
 センチネルは右手を突き出し、ヒナに向けると、電気を放電する。
 空気中に浮遊する塵を発火させた瞬間、巨大な光線として撃ち出した。
『スクランブル・ビーム!』
 小さく帯電した塵は、一瞬にして燃え盛り、超高熱の光線と化した。
「甘いわよっ!」
 ヒナは瞬時に横に飛び込んで身をかわした。しかし同時に、予期しえぬ出来事が起ころうとしているのに気が付いた。
「えっ!?」
 センチネルが照射し、ヒナが避けた光線の先は、あろうことかメアリィに向かっていたのだ。
「逃げてメアリィ!」
 ヒナは叫ぶものの、メアリィはあまりの突然の事に、完全に動けなくなっていた。
 やがて光線はメアリィの寸前まで迫り、その身を消し炭も残さず焼き付くそうとしていた。
 その時だった。空中に漆黒の何かが放物線を描いた。
 その物体はメアリィの前の地面に突き刺さり、エナジーによる熱光線を周囲に拡散した。
 拡散されたエナジーは放射状に広がり、さながらシンメトリーの芸術作品のようになった。
 しばらくして、エナジーの拡散は終わった。そしてその時、メアリィを救った物の正体が明らかとなる。
 それは、センチネルの左手から放られた、黒い刀身を持つ彼の剣であった。
 何故敵であるセンチネルがメアリィを助けるような事をしたのか、疑問にとらわれヒナは何も言えず、また何もできずにいた。
 そしてセンチネルは、一瞬の動作でメアリィの所へ移動した。メアリィもまた不意の出来事の連続で動けなかった。
 センチネルは右手をメアリィに向けた。その瞬間、ヒナはメアリィの危機を予感する。
「メアリィ!」
 ヒナが叫んだときにはもう、センチネルはエナジーを発動した後であった。
『レジスト・スフィア!』
 メアリィは、パチパチと電気の弾けるエナジーの球体に包まれた。
 エナジーによる放電で感電させられるのか、はたまた電気で発火させ、炎に包まれるのか。
 確実に何らかの攻撃される、そう思い目を固く閉ざすメアリィであったが、予想するような事は何も起こらなかった。
 しばしの間が空いた後、体に何も以上を来していないことに気付き、メアリィはゆっくり目を開ける。
 青白い電気に包まれているものの、やはりメアリィの身には何も起こらない。
「これ、は……?」
「……そのオーラはエナジーのみならず、あらゆるものからお前を守る。もちろん限度はあるがな……」
 センチネルは簡潔に自らのエナジーの説明をした。このオーラに包まれている間、メアリィに害が及ぶことはないとの事だった。
「どうしてこのようなものを……?」
「ふん、流れ弾で死なれては面白くないからな。敵は俺自身の手で倒さねば意味がない。もっとも、お前のような弱者を斬るつもりはないのだがな……」
 センチネル自身にも、何故敵にこのような事をしているのか分からなかった。言葉も適当に繕ったものであり、彼の本心ではない。
「ふん、怪我をしたくなくばそこを動くな……」
 最後に一言残し、センチネルは地面に刺さった剣を抜いた。そしてヒナの所へと歩み寄る。
「一体あれは、なんの真似かしら?」
 一部始終全てを見ていたヒナであったが、真意を理解することはできなかった。
「俺は弱い者は殺さん。ただそれだけだ……」
「ふぅん、どうも嘘臭いわねぇ……。まあともあれ、メアリィを助けてくれたことには礼を言っとくわ。ありがとう」
「ふん、敵に礼など言っている場合か? 貴様には助けるような事をするつもりはない」
「あら、それはちょっとえこひいきじゃないかしら? まあ、確かに助けられる覚えはないけどね」
 ヒナは構え直した。
「でも、これでさっきみたいに、メアリィが危ない目には遭わなそうね」
「そうだ。弱い者を殺すのは俺のプライドが許さん。例え事故でも殺さん、絶対にな……」
 センチネルも切っ先をヒナに向けた。
「行くぞ、これより先は全力を尽くす。覚悟しろ」
「そうね、あなたのおかげであたしも周りを気にせずに戦えるわ!」
 二人の戦いは再開した。
「ふううう……!」
 ヒナは腰に刀をあてがい、柄を握って気合いを込めた。ヒナの刀が白い輝きを帯び始める。
 力が限界に達したとき、ヒナは解き放った。
「連突刃・射式!」
 抜刀した瞬間、ヒナは無数の突きを繰り出した。ヒナの圧倒的数の突きは、空気の針となり、センチネルへ襲いかかった。
 センチネルに襲い来る空気の針は、一本一本は小さく、威力も弱いが、避けるには数があまりにも多すぎる。
『プロテクト!』
 センチネルはエナジーを使い、目の前に障壁を作り出した。センチネルを射抜くはずだった風の矢は、彼の障壁の前に次々消滅していく。
「一転集中!」
 再びヒナは剣に力を込めた。
「龍突刃!」
 ヒナは抜刀と同時に切っ先をまっすぐにセンチネルに向け、縮地法で懐へ飛び込んだ。
 気力のこもった刀は音速となり、風をも切り裂く強力な真空の刃と化した。
 辺りに衝撃波を散らしながら進む真空の刃はどこまでも伸び、まるで一匹の龍がその牙を剥き、突撃するかのようだった。
 ヒナの放った突きは、いとも簡単にセンチネルの障壁を打ち砕いた。
「ちっ……!」
 身をかわすセンチネルであったが、突きそのものは避けられたが、真空の刃が放つ衝撃波まではかわせなかった。衝撃波がセンチネルに掠り傷を与える。
 ヒナはセンチネルの懐近くまで飛び込み、すぐに納刀した。センチネルが反撃を試みる前に、ヒナは更に技を繰り出す。
「炸裂刃!」
 空中に青紫の物体を出現させ、それを神速の抜刀と納刀により切り裂いた。物体は爆弾のように炸裂し、爆風と共に無数の風の刃が爆ぜて飛び出した。
「くっ……!」
 センチネルはとっさに剣で防御を試みるが、風に舞い散る大量の砂のような衝撃波に、センチネルの鎧は傷ついていった。
「……下がれ!」
 センチネルは間合いにいるヒナを、何とかどけようと剣を振った。
「八字崩し!」