機動戦士ガンダムRSD 第8話 ジャンクション
「技術者一同のたまものだ」
スティーブ少尉は、鼻を高くしていった。
「お前は、技術者じゃないだろ」
ここでチャールズ少尉は、突っ込んだ。
※
オーブ首長国連合の内閣府官邸では、臨時会が開かれていた。
「なんだと。
大西洋連邦との新たなる同盟条約の締結?
こんな時に一体何を言ってるんだ?
今は、アメノハシラ宙域戦において一体誰が何の目的のために地球軍と共闘したかを突き止めるのが先だろ」
カガリ代表は、思わず立ち上がり今すべきことを言った。
「こんな時だからこそですよ、代表」
閣僚の1人であるタツキ・マシマが言った。
カガリは、タツキを怪訝そうに見た。
「それにこれは、大西洋連邦とのではありません。
呼びかけは、確かに大西洋連邦から行われておりますがそれは地球上のあらゆる国家に対してです」
タツキは、同盟条約が大西洋連邦だけではないことを説明した。
カガリは、その説明を聞き少々驚いた。
「約定の中には、災害に当たっての救助や救援も盛り込まれております。
これは、むしろそういった活動を効率よく行えるよう結ぼうというものです」
タツキは、同盟条約の目的を言った。
「いや、しかし」
カガリは、なお反論しようとした。
「代表には、今一つ御理解頂けてないのかもしれませんが」
ウナト・エマ・セイラン宰相は、そういうと各席に置いてあるモニターにアメノハシラ宙域戦での静止画面がいくつか表れた。
そこには、地球軍モビルスーツであるダガーと共にマン・マシーンと戦うムラサメの姿があった。
その静止画面を見てカガリは、言葉を失った。
「彼等、つまりコロニーに住む者達は皆既にこれを知っております」
ウナト宰相は、実情をカガリに突き付けた。
「こんな・・・・こんなものが一体何故・・・・」
カガリは、唇を震わせながらつぶやいた。
「コロニーから出た情報です。
我々もオーブの理念を守るためムラサメのパイロットが正規軍人であることを事実と大筋で認めました。
代表は、御存知なかったようですね」
ユウナ・ロマ・セイランが説明した。
「でもそれは、反逆者の口車に乗せられたほんの一部の者の仕業で。
現に戦後コロニー連邦共和国と関係改善に尽力したからこそ制裁が一切ないんだぞ」
カガリは、オーブ本国は無実であるといいコロニー政府も同じ意見であろうと推測した。
「それも解っては、います。
だが実際に被災した遺族の方々にそれが言えますか?」
ユウナが厳しい指摘を言うとカガリは、黙った。
「先の大戦のきっかけもコーディネイターが作ったが今回は、大きな大戦を防ぐために我々を許してくれと」
ユウナの指摘にカガリは、厳しい表情をした。
※
グリーン・ノア1では、今なお混乱しており軍病院にはおびただしい負傷者が治療を受けていた。
「許せない。
どうしてこんな酷いことが出来るの?」
破壊された軍施設では、がれきを撤去し必死の生存者救出活動が続けられていた。
「奴等は俺達を皆殺しにしないと気が済まないんだ」
「息子が見つかっていなんです。
あの子がいなくなったら私は、1人になってしまうんです」
遺族の中には、レスキュー隊に親族が行方不明で早く見つけてほしいと訴える者もいた。
「パパは?」
母親は、そう嘆く息子を泣きながら抱きしめる以外何もできなかった。
「やっぱりそうなのさ。
コーディネイターの連中は、俺達のことをどうせ猿程度にしか思っちゃいないんだろうよ」
国民の間でコーディネイターへの憎悪が深くなっていった。
「もう嫌。
何もかも全てあいつらが悪いのよ」
「コーディネイターを皆殺しにしろ。
手遅れになる前にこっちから討つんだ」
「青き清浄なる世界の為に」
「そうよ。
青き清浄なる世界の為に」
「青き清浄なる世界の為に」
コロニーでは、一気に再戦ムードが活発化していた。
※
「今これを見せられ怒らぬ者などコロニーに居るはずもありません。
オーブは、地球国家の中で唯一コロニー軍によって甚大な被害を受けた国家です。
だからこそ尚我等は、より慎重であらねばならんのです」
ウナト宰相の説明に閣僚たちは、同意の言葉を述べた。
「理念も大事ですが我等は、今誰と友好を分かち合わねばならぬものなのか代表にもそのことを充分お考えいただかねば」
ウナト宰相の説明にカガリは、もう一度モニターに映るムラサメの姿を見た。
※
カレン中尉は、リーンホースJr.の自室でシャワーを浴びていた。
※
アンディー大尉は、自室でキリー中尉に手相を見てもらっていた。
キリー中尉は、アンディー大尉の手を見て唸っていた。
「どうだ?」
アンディー大尉は、少々不安に襲われながら質問した。
「思ってたより大きいな」
キリー中尉は、手相とは関係ないことを言った。
「いや、手相を見るんじゃなかったのか?」
思わずアンディー大尉は、突っ込んでしまった。
「え?
はい。
大丈夫です」
キリー中尉は、明らかに動揺しながら力強く言った。
「大丈夫って」
アンディー大尉は、そんな答えにますます不安を抱いた。
「おおむね好調です。
ばっちりです」
キリー中尉は、今度は動揺を見せずしっかりと断言した。
「そうなのか?
まあいいけど」
アンディー大尉は、それ以上突っ込むのを止めた。
※
ミネルバとガーティ・ルーは、オーブ連合首長国の秘密ドックで修理と補給を受けていた。
「ええそうね。
船体の方は、モルゲンレーテに任せて大丈夫でしょう。
でも船内は、全て貴方達でね」
タリア艦長は、メカニックリーダーのマッド・エイブス大尉に命令した。
「了解」
マッド大尉は、了解と答えた。
「資材や機器を貸してくれるということだからちょっと入念に頼むわ」
タリア艦長は、補給と修理と平行してオーバーホールを考えていた。
「でもいいんですか、艦長?
本当に」
アーサー副艦長が不満そうに質問した。
タリア艦長は、怪訝そうにアーサー副艦長を見た。
「補給は、兎も角艦の修理などはスエズ基地に入ってからの方がはよいのではないかと自分は思いますが」
アーサー副艦長は、修理を自軍基地で行うべきだと具申した。
「言いたいことは、解るけど一応日誌にも残しましょうか?」
アーサー副艦長の指摘にタリア艦長は、日誌にも残そうか提案した。
「いえ、そんな」
アーサー副艦長は、それほど大事ではないと思ったのかその提案を聞き取り乱した。
「でも機密よりは、艦の安全ですものねやっぱり。
戦闘艦は、特に常に信頼できる状態でないとお辛いでしょ?
艦長は」
そういいながら男女1人ずつが近づいてきた。
アーサー副艦長は、女性に見とれてしまった。
「誰?」
タリア艦長は、険しい表情をしてアーサー副艦長の左耳をつねりながら質問した。
「失礼しました。
モルゲンレーテ造船課Bのマリア・ベルネスです。
こちらの作業を担当させていただきます」
ラミアス少佐は、タリア艦長に自己紹介すると握手を求めた。
「艦長のタリア・グラディスよ。
よろしく」
作品名:機動戦士ガンダムRSD 第8話 ジャンクション 作家名:久世秀一