機動戦士ガンダムRSD 第8話 ジャンクション
タリア艦長も自己紹介すると握手に応じその瞬間彼女がなにものなのか分かった。
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カガリ代表は、自室で難しい判断を迫られていた。
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「アークエンジェルの艦長は、歴戦を戦い抜いた指揮官ですからおそらくこのミネルバがあればあの艦隊も全滅できたでしょう」
2人は、ミネルバを見上げながらタリア艦長が言った。
「残念ながら違うわね。
アークエンジェルが戦い抜いた理由は、乗員が優秀だったから。
艦長は、むしろ無能だったわ」
マリアは、悲しそうに言った。
「いつだってそうだけど大体戦争には、勝敗が存在します。
でも兵士の勝敗は、生死にあると思います。
どんな理由でも生き残った者が勝者。
死んだ者が敗者。
だからアークエンジェルの生き残った乗員は、皆が勝者だと思います」
タリア艦長は、自論を言った。
「そうですわね」
マリアは、先と打って変わって明るく言った。
「本当は、あなたもこうやって地球軍艦の修理になんか手を貸していられる場合じゃないんじゃないの?」
タリア艦長は、マリアに鋭く質問した。
「そうかもしれません。
でも先のことは、分かりませんので私達も今は今思って信じたことをするしかないですから」
マリアは、ある意味逃げの回答を言った。
「なるほど。
私は、いつかアークエンジェルと共闘できるような気がするんです」
タリア艦長は、自分の勘を言った。
「私は、それはないと思うわ。
ミネルバは、充分『アークエンジェルに代わる地球軍の象徴』として輝いていますから」
マリアは、ミネルバをほめたたえた。
「そうなるといいわ」
タリア艦長は、今一度ミネルバを見てそういった。
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ミネルバの船内をレイ中尉が1人で歩いているとリクリエーションルームで皆が楽しく話していた。
「本当?」
メイリン軍曹が興奮気味に言った。
「いや、まだ分からないけどさ。
修理で数日って事になるんなら案外出るんじゃないかって。
上陸許可」
ヨウラン兵長が落ち着かせる意味を含めて詳しく言った。
話題のテーマは、上陸許可だった。
メイリン軍曹は、歓喜した。
「ちょっとここまできつかったからなぁ実際。
なんか夢中で来ちゃったけど滅茶苦茶だったもんな、ほんと」
ヴィーノ兵長がここまでの経緯を回想しながら言った。
レイ中尉は、目線を前方に戻すと再び歩き出した。
自室に入るとシン中尉がベッドで横になっていた。
そして軍服を脱ぎ始めた。
「上陸出来るのかな?」
シン中尉は、つぶやくように言った。
「さあな」
レイ中尉は、そっけなく答えシャワー室でシャワーを浴びた。
シン中尉は、両親の墓参りに何を持っていこうか考えていた。
※
シグマン少佐とハイマン軍曹たちは、ア・バオア・クーへの上陸許可が出たため上陸した。
「そういえば知ってますか?
基地近くにある大食いチャレンジの店があるのを」
ハイマン軍曹がふと思い出したようにシグマン少佐に質問した。
「『超大盛りの料理を制限時間内に食べればタダ』みたいなやつか?」
シグマン少佐が考えながら確認した。
「そういうやつです。
その店で出てくるのは、『驚天動地風林火山パフェ』なんです」
ハイマン軍曹が超大盛り料理の料理名を言った。
「きょ、『驚天動地風林火山パフェ』?」
シグマン少佐は、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして聞き返した。
「40分以内に食べきればタダでおまけに景品もつくんです」
ハイマン軍曹がクリア条件を言った。
(40分で食べきれないパフェって一体どんな大きさだ?)
シグマン少佐の理解の範疇を超えておりパフェの大きさを想像することが出来なかった。
「パフェは、風・林・火・山の4層構造で今までの最高記録は火の層までらしいよ」
ハイマン軍曹がパフェの構造と現在までの最高記録を教えた。
(そういわれても全然想像できないな)
その時シグマン少佐は、あることに気付いた。
「今まで間食できた人は、いないということか?」
シグマン少佐は、確認してみた。
「その通りです。
プロレスラーの人が挑戦して泣きながら帰ったという伝説まであります」
ハイマン軍曹が半分都市伝説となっている噂話を言った。
「それは、すごいな」
シグマン少佐もそれが半分作り話だとすぐに判断したがそれに匹敵するほどのボリュームに変わりはなく圧倒された。
「でもミサキ中尉だったら完食できそうだな」
シグマン少佐は、初の完食者候補にミサキ中尉を挙げた。
「絶対できますね。
でも最近ちょっと太り気味だと感じて今ダイエット中なんです」
ハイマン軍曹も同意しミサキ中尉の今の状況を伝えた。
「そうなのか。
でも怖いみたさなのか一度くらいは、見てもいいかな」
シグマン少佐は、好奇心から見てみたくなっていた。
「本当ですか?
でも見たからには、挑戦しないとだめですからやめた方がいいですよ」
ハイマン軍曹は、やめた方がいいとアドバイスした。
「後景品も何か気になるな」
シグマン少佐は、景品も気になっていた。
「景品は、賞金170ドルに月に一度驚天動地風林火山パフェが無料で食べられるそうです」
ハイマン軍曹は、景品の正体を言った。
「ここです」
2人は、目的地に着いた。
「ここでいいのか?」
シグマン少佐が確認した。
「はい、では行きましょう」
2人は、店に入った。
「これで全部か?
荷物持ちが必要な程では、なかったな」
シグマン少佐は、てっきり大量の荷物を持つ覚悟でいたがそうでもなく拍子抜けだった。
「別に持ってくれなくてもいいです」
ハイマン軍曹は、シグマン少佐が持っていた荷物を自分で持った。
「これくらいなら俺が持つよ」
そういうとシグマン少佐は、荷物を再び持った。
「ありがとうございます」
ハイマン軍曹は、嬉しそうに礼を言った。
「さて、それじゃあ帰るか」
シグマン少佐は、帰ろうかと提案した。
「そうだ、忘れてた」
ハイマン軍曹は、はっとなった。
「どうしたんだ?」
シグマン少佐は、怪訝そうに聞いた。
「すみません、買い忘れがありました」
ハイマン軍曹は、少々あわてながら言った。
「それじゃあここで待ってるよ」
シグマン少佐もそれほど多くは、ないだろうと推測し待とうと判断した。
「ごめんなさい、すぐに戻ってきます」
そういうとハイマン軍曹は、再び店に入って行った。
(珍しいな。
ハイマン軍曹がうっかりをするなんて)
シグマン少佐は、そう思った。
シグマン少佐は、待ち続けたが待てど待てどハイマン軍曹は来なかった。
(遅いな)
シグマン少佐は、そう感じ始めた。
(まさか何か事件に巻き込まれたかな。
少し探すか)
シグマン少佐は、悪い方向に考え自分も店に入ろうかと考えた。
直後あわてて店から出てくるハイマン軍曹が見えた。
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モルゲンレーテ秘密ドックでは、ミネルバとガーティ・ルーの修理が夜通しで行われていた。
シン中尉は、眠れぬ夜を過ごした。
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作品名:機動戦士ガンダムRSD 第8話 ジャンクション 作家名:久世秀一