機動戦士ガンダムRSD 第9話 驕れる牙
だから創り上げる者とそれを管理する者が必要だ。
人が管理しなければ庭とて荒れ誰だって自分の庭には好きな木を植え芝を張り綺麗な花を咲かせたがるものだろ?
雑草は、抜いて。
所構わず好き放題に草を生えさせてそれを美しいというか?
これぞ自由だと」
ザラ前大統領は、世の中の構造を説いた。
「ザラ前大統領」
デュランダル大統領は、言い過ぎだと感じた。
「人は、誰だってそういうものが好きなのさ。
きちんと管理された場所、物、安全な未来。
今までだって世界をそうしようと人は、頑張ってきたんだ。
街を造り道具を作りルールを作ってね。
そして今それをかつてないほどの壮大な規模でやれるチャンスを得たんだ、我々は。
だからさっさと奴等を討って早く次の楽しいステップに進もう。
我々コーディネイターの為の美しい庭。
新たなる世界システムの構築というね」
ザラ前大統領は、今度こそ自分の野望をかなえようとしていた。
デュランダル大統領は、何も言えなかった。
※
アンディー大尉とキリー中尉は、訓練所にて操縦訓練を行っていたがアンディー大尉は早々に切り上げた。
「もう終わりにするんですか?」
それにキリー中尉も気づいた。
「ちょっと寄りたいところがあるからそろそろ切り上げないと」
アンディー大尉は、切り上げる理由を言った。
「じゃあ、一緒に帰りましょう」
キリー中尉がアンディー大尉に提案した。
「一緒にか。
そうだな、じゃあ一緒に帰るか」
アンディー大尉は、一瞬躊躇したがすぐに受け入れた。
キリー中尉は、笑いながら喜んだ。
「そんなにうれしいものか?」
アンディー大尉は、キリー中尉が喜び過ぎではないかと感じた。
「だって1人でいるなんてさびしいですもの」
キリー中尉は、喜んだ理由を言った。
「そんなものか?」
アンディー大尉は、キリー中尉の心が読めなかった。
「そんなものです」
キリー中尉は、なぜか自信満々に言った。
2人は、リクリエーションルームの図書ルームに来た。
「キリーは、どうするんだ?」
アンディー大尉がキリー中尉に質問した。
「私は、あっちの方を見ます」
キリー中尉は、ファッション雑誌を見ようとしていた。
「じゃあ、俺はコミックのコーナーを見てくる」
そうして2人は、各々読みたい本を読んだ。
※
地球連合主力艦隊は、順調に進軍していた。
主力艦隊旗艦には、攻撃命令が通達された。
艦長は、うなづいて伝心した。
それに呼応するように地球連合主力艦隊は、増速した。
※
ベルリ首相は、側近と共にセントラル・ハウスの廊下を歩いていた。
「首相」
そこに血相を変えた秘書が来た。
※
「是より私は、全世界の皆さんに非常に重大かつ残念な事態をお伝えせねばなりません」
デュランダル大統領は、地球市民に向け声明を発表した。
※
「そうだ。
予備機も全て戦闘ステータスで起動しろ」
コロニー軍の軍艦のマン・マシーンデッキでは、整備員があわただしく作業をしていた。
パイロットたちは、急いでブリーフィングルームへと向かった。
※
カガリは、内閣府官邸へ行くため戦闘ヘリコプターに乗り込んだ。
戦闘ヘリコプターは、飛び立った。
※
「第44戦闘団は、搭載機の発進を完了した。
フォックスドロットノベンバー発令。
現時点を以てオペレーションをフェイズ6に移行する。
全ユニットオールウェポンズフリー」
地球連合主力艦隊はストライクダガー、ザクウォーリア、ザクファントム、ゲイツR、ゲイツにジンの混成部隊を発進させた。
※
コロニー軍の迎撃艦隊もマン・マシーンを発進させた。
※
「未だ納得できる回答すら得られずあの未曾有のテロ行為を行った犯人グループを匿い続ける現コロニー政権は、我々にとっては明かな脅威であります。
よって先の警告通り地球連合各国は、本日午前0時を以て武力による此の排除を行うことをコロニー現政権に対し通告しました」
デュランダル大統領の声明は、終わった。
※
それは、α艦隊も確認した。
「総員、第二戦闘配備。
総員、第二戦闘配備。
艦内警備ステータスB1。
以後部外者の乗艦を全面的に禁止します。
全保安要員は、直ちに配置について下さい」
エルヴィン中尉が艦内放送で呼びかけた。
「やはり再戦か」
寝ていたサオトメも起きたが動揺は、しなかった。
※
「第一戦闘群、間もなく戦闘圏に突入します。
全機オールウェポンズフリー」
コロニー軍オペレーターが状況を報告した。
そしてマン・マシーン隊とモビルスーツ隊が戦闘を開始した。
マン・マシーン隊は、乗っていたゲタをモビルスーツ隊にぶつけビーム・マシンガンとビームライフルで弾幕を張った。
その結果1機のゲイツRが撃墜された。
さらに1機のストライクダガーも撃墜された。
※
アスラン中将と出迎えは、車でホワイトハウスに到着した。
※
ア・バオア・クーの司令室では、アダム総帥が指揮を執っていた。
「防衛艦隊の司令官を。
最終防衛ラインの配置は?」
アダム総帥がオペレーターに質問した。
「全市の港の封鎖完了しました」
オペレーターが答えた。
「警報の発令は?」
高官の1人が質問した。
「パニックに備え軍のMPにも待機命令を」
別の高官が答えた。
「脱出したところで我等には、行く所などないのだ」
アダム総帥が静かに言った。
その言葉に高官皆が黙った。
「なんとしてもコロニーを守るんだ」
アダム総帥が絶対命令を出した。
※
1機のシグーがビームライフルで右腕を破壊された。
ゲイツ2個小隊がビームライフルで弾幕を張っていた。
1機のユーピテルがオレンジ色のザクファントムにビームマシンガンを撃ったが回避され反撃にビームカービンを命中され撃墜された。
そのザクファントムは、1隻のマゼランの対空砲火をかいくぐりビームカービンを多数命中させ撃墜した。
※
η艦隊も発進準備を行っていた。
「クレイ隊、発進スタンバイ。
射出システム、エンゲージ」
マーネリー軍曹がパイロットたちに報告した。
「結局はこうなるのかよ、やっぱり。
こちらクレイ隊。
シグマン・クレイ、スダルシャナ出る」
シグマン少佐が新型可変マン・マシーンであるスダルシャナで発進した。
「クレイ隊、アイリス・オバリー。
マールス行きます」
アイリス曹長がマールスで発進した。
※
その戦闘を見つめる者たちがいた。
地球軍奇襲艦隊だった。
「本隊が戦闘を開始しました」
奇襲艦隊旗艦ネタニヤフのオペレーターが報告した。
「よし、予定通りだな。
こちらも行くぞ」
静観していた地球軍奇襲艦隊が発進した。
作品名:機動戦士ガンダムRSD 第9話 驕れる牙 作家名:久世秀一