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機動戦士ガンダムRSD 第9話 驕れる牙

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「我等の世界にナチュラルの居場所などないということを今度こそ思い知らせてやるのだ」
 艦長は、部下を鼓舞した。
艦隊からマルチランチャーパックを装備したウィンダムが発進した。
 ナスカ級を直掩していた1機のザクウォーリアがビームライフルで撃墜された。
イザーク少佐が駆るブルデュエルガンダムは、リトラクタブルビームガンを連射しで1機のユーピテルを蜂の巣にして撃墜した。
ディアッカ大尉が駆るヴェルデバスターガンダムは、2丁の大型ビームライフルを連結させた連装キャノンモードで1隻のサラミスを撃沈した。
オレンジ色のザクファントムは、部下と共に1隻のマゼランを撃沈させた。

             ※

 防衛艦隊旗艦を務めるγ艦隊旗艦アドミラル・ティアンムでは、戦況が報告されていた。
「地球軍、モビルスーツ隊20、第二エリアへ侵攻中。
第三管軍はオレンジ、ベータ15へ」
 オペレーターが戦況を報告し的確に命令を出していた。
「敵主力隊の狙いは、やはり軍令部とサイド8か」
 航海長が敵の狙いを推測した。
「だがまだ解らない。
敵艦のどんな小さな動きでも見逃すな」
 副艦長が答え命令した。
「哨戒機からの報告は?」
 イームズ艦長がミチコ少尉に質問した。

             ※

 哨戒機である強行偵察型ユーピテルは、デブリに隠れながら地球軍奇襲部隊を偵察していた。
そしてパイロットは、ミサイルポッドに核のマークを確認した。
「あいつら」
 パイロットは、戦慄した。

             ※

 それは、すぐにアドミラル・ティアンムに報告された。
「極軌道哨戒機より入電。
敵別働隊にマーク5型、核ミサイルを確認」
 オペレーターも動揺を隠せなかった。
「何だと?」
 それは、ブリッジにいた皆が同じだった。
「数は?」
 イームズ艦長が質問した。
「不明ですがかなりの数のミサイルケースを確認したとのことです」
 オペレーターが答えた。

             ※

 それは、ア・バオア・クー司令室にも伝えられた。
「総帥」
 秘書が血相変えて呼んだ。
しかしアダム総帥は、落ち着いていた。

             ※

 核攻撃隊は、どんどんコロニーに近づいていた。

             ※

「全軍、極軌道からの敵軍を迎撃せよ。
奴等は核を持っている。
1機たりともコロニーを討たせるな」
 イームズ艦長が全部隊に命令した。
 シグマン少佐は、ビームライフルで1機のザクファントムを撃墜した。
「核攻撃隊?
極軌道からだと?」
 シグマン少佐も動揺した。
サウス大尉は、ラケーテン・バズで1機のストライクダガーを撃墜した。
「じゃぁこいつらは、全て囮かよ」
 サウス大尉は、彼らの役割に気付いた。

              ※

 核攻撃隊は、順調に近づいていた。
「目標、射程まで距離90」
 隊長が部下たちに報告した。

              ※

 シグマン少佐は、スダルシャナをモビルアーマー形態に変形させ現場に急行しようとしたが間に合わないのは自明だった。

              ※

 グリーンノア2では、コロニーレーザーの発射準備が行われていた。
「全システム、ステータス正常。
量子フレデル、ターミナル1から5まで左舷座標オンライン。
作動時間7秒。
グリッドは、標的を追尾中」
 オペレーターが報告した。
「一発勝負だぞ。
最大まで引きつけろ、いいか」
 司令官が命令した。
「フルチャージオンライン。
コロニーレーザー起動」
 オペレーターが命令した。

               ※

 ネタニヤフでもそれは、確認できた。
「レッド22ベータに見慣れないコロニーが1基あります」
 オペレーターが報告した。
艦長も不審に思った。

               ※

 ウィンダムパイロットもそれに気づいていたが眼中になかった。
「行け。
今度こそコーディネイターが統べる世界を」
 そういうとウィンダム隊は、核ミサイルを発射した。

               ※

 シグマン小隊は、全弾撃ったが命中しなかった。
シグマン少佐たちは、絶望に襲われた。

               ※

「コロニーレーザー、発射」
 司令官の命令でコロニーレーザーが発射された。
コロニーレーザーによって発射された核ミサイルは、全て迎撃された。
さらに発射したモビルスーツ隊も全滅した。

               ※

 それは、ネタニヤフでも確認できた。
「第一攻撃隊、消滅」
 オペレーターが報告した。
「何?」
 艦長も動揺が隠せなかった。
「あのコロニーから何かが来ます」
 オペレーターたちは、その言葉を最期に艦とともに運命を共にした。

               ※

「何だ?
一体何が起きたんだ?」
 シグマン少佐は、眼前で起きていることが理解できなかった。

               ※

 それは、ア・バオア・クーでも確認できた。
「核ミサイルは、全て撃破。
核攻撃隊は、完全に消滅しました」
 オペレーターが戦況を報告した。
皆は、安堵の声を上げた。
「コロニーレーザーは、量子フレデルを蒸発させブレーカーが作動。
現在システムは、機能を停止しています」
 高官の1人が報告した。
「まったく堪らないな」
 別の高官が漏らすように言った。
「コロニーレーザーが間に合ってくれて良かったですわ」
 別の高官がコロニーレーザーが間に合ったことに安堵していた。
「しかしこれで我々の新型大量破壊兵器が知れてしまった。
これでは、ワシントンとモスクワをを直接攻撃しそれに乗じて再度宣戦布告するシナリオが破綻した」
 もともとコロニーレーザーは、地球直接攻撃用に建造された大量破壊兵器であり地球連合の主力たる大西洋連邦とユーラシア連邦の首都を直接攻撃しその混乱に乗じて再度宣戦布告し完全勝利するシナリオがあった。
しかしこの迎撃でそのシナリオがもろくも崩れてしまった。

                ※

 それは、セントラル・ハウスでも確認できた。
「これで終わってくれるといいんですがね、とりあえずは」
 ベルリ首相は、一時的でも戦争が膠着状態に入ることを願っていた。

                ※

 ホワイトハウスの待合室では、アスラン中将が座って待っていたが出迎えの人は落ち着きがなかった。
するとアスラン中将が突然立ち上がった。
「ちょっと顔を洗ってきます」
 そういうとアスラン中将は、待合室を出るとため息をついた。
 手洗い所で顔を洗い終わると鏡の前でいかめしい表情をした。
「ええ、大丈夫ですわ。
ちゃんと解ってます。
時間は、あとどれくらいですの?」
 手洗い所から待合室に戻る途中で聞き覚えのある声が聞こえた。
「ならもう一回確認できますわね」
 アスラン中将は、声の主がどこにいるか探した。
「ラクス」
 ラクスは、階段の上でマネージャーと打ち合わせをしていた。
ラクスもアスランに気付きアスランの許へ向かった。